見つけた! 浦島太郎な生き物たち
竜宮城で少し過ごしただけなのに、帰ってくるとあたりは全く違う光景が広がっていた…! な〜んだ、有名な昔話か。
だけど、今この瞬間にも浦島太郎伝説を体験している生き物たちがいた。
別に竜宮城にいたわけではない。ただ、人間がいただけだった。
【まず結論】
ホタル・セミ・サケなどが浦島太郎な生き物だった
【本題】
「生き物の死にざま」「生き物の死にざま はかない命の物語」(著:稲垣栄洋)を読みました!
ホタル
なぜホタルが浦島太郎なのか。
ちょっと試しに近くの川まで行ってみた。
護岸工事を行っていた。土手や堤防が工事で綺麗になると、散歩している人や犬もうれしそう!
だけどホタルにとっては?
ホタルのママは、子供にとって一番良い場所を探す。やっと見つけたその場所が。この工事中の川だったら。
ホタルはさなぎになるときに土に潜る必要がある。水の中で生まれて、土の中で大人になる。
もうすぐ大人になれる、そう思い、水の中から出てきた。
あれ? おかしいぞ。土が硬くて潜れない。卵が産み落とされた時は、土だったはずなのに、水中から上がってきた時にはあたりが一変。アスファルトになっていた。
大人になれずに死んでいく。
セミ
セミも似たような状況だけど、ホタルの逆。
セミは長い間土の中。大人になるために、羽化をするために、地上へ出てくる。
生まれた時は土だった地面。だけど、7年経って地面から出てこようとした頃には。地面がアスファルトで固められてしまっている。
大きく育ってね。
セミのお母さんがそんなことを願うかはわからないけど、産み落とされたセミの赤ちゃん。
だが、そのセミの赤ちゃんは出てくることができない。今頃地上は住宅地。木がなくなっていて、主婦が忙しそうに自転車を走らせ、子供たちが元気に登下校している。
まさに辺りは一変している。その下でセミは大人になれずに死んでいく。
サケ
ホタルやセミは赤ちゃんを産むところまではよかった。
でもサケの場合はもっと過酷な浦島太郎を経験することになる。
無事大人になれたサケは、産卵のために生まれ故郷に戻ってくる。サケは自分が生まれた川がわかるという。
もうすぐ産卵だ。懐かしい故郷の匂い。
上流に向かって頑張って登っていく。あと少しで自分が生まれたふるさとだ…!
そう思った瞬間。
目の前に立ちはだかるコンクリートの高い壁。人間が水の流れを抑えるために川を階段上にしている。
もしくは、ダムをつくっていたりする。
そう、サケにとって、ふるさとはいつの間にか生まれた時とは変わってしまっている。海と川は繋がっていない。
ふるさとに帰れないサケは産卵できずに死んでいく。
【余談】
浦島太郎を実際に経験している生き物が、たくさんいる。
そういう人間も、震災や感染症で今日世界が一変するかもしれない。
その恐怖を毎日味わっている生き物、例えばイワシ。
隠れる場所のない海の中では昨日も一昨日も仲間が誰かに食べられていった。次は自分の番かもしれない。
イワシになる前の、シラスの段階で人間に引き上げられて、ご飯の上に山盛りに乗せられるかもしれない。
ちなみにイワシが生まれて2、3ヶ月の状態をシラスという。
せめて、しらすご飯を食べたら、最後の1匹まで残さずに食べよう。
最後まで読んでいただきありがとうございますっ!
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