社会課題に向き合う会社のデザイナーが、ダンスと共に世界に伝えたいこと#01
こんにちは。LIFULLのアートディレクターの森です。
このnoteでは全3回で、ジャケット制作における背景と、
各ジャケットの”発想”と”表現”をアートディレクターの森と、各担当デザイナー8名(岡野、谷口、大信田、小泉、東、長谷部、瓜田、上垣)の対話形式で、紹介したいと思います。
みなさんは、プロダンスリーグ「D.LEAGUE(Dリーグ)」をご存知ですか?
LIFULLはダンスを通じて「世界で最も多様性を認め、社会課題解決に向き合う企業」であることを表現すべく、2021年より「LIFULL ALT-RHYTHM(ライフル アルトリズム)」としてD.LEAGUEに参戦しました。
D.LEAGUEは、1シーズンで、全チームが12ROUNDをそれぞれのオリジナルパフォーマンスで競い合います。
パフォーマンスで使用した楽曲も全てオリジナルで、楽曲のジャケットはLIFULL社内でデザインを担当しています。
担当したデザイナーは普段、コミュニケーションデザインやサービスデザインなど様々な専門領域を担っていますが、専門領域以外の分野で横断的にコラボレーションすることがあります。
今回のジャケットデザインもそのひとつです。
LIFULLのデザイナーの働き方をみなさまに少しでも感じ取っていただけたらと思います!
LIFULL ALT-RHYTHM(ライフルアルトリズム)とは
「LIFULL ALT-RHYTHM(ライフル アルトリズム)」は、多様な個性・表現を通して、ファンや観客だけでなく、パフォーマンスを支える”あらゆる人”のために、活動するダンスチームです。
21-22シーズンからの新規参入チームでしたが、社会課題や多様性をテーマに、高いスキルと豊かな表現力をもって作られたパフォーマンスは、Dリーグの舞台に新しい風を吹き込みました。
LIFULL ALT-RHYTHMが表現するテーマ
LIFULL ALT-RHYTHM(以下アルトリ)のダンスの中で表現するテーマは
LIFULLが掲げる”LIFULLアジェンダ”と関係の深いものです。
「自分らしく生きられる選択肢を」「多様性を認めあえる社会基盤を」「自然環境と地域社会に調和を」...などLIFULLの実現したい未来像をディレクターである野口量さんや森井淳さんをはじめ、ダンサーの皆さん、チームに関わる全てのメンバーと共に各ROUNDで表現していました。
ROUNDごとのオリジナル楽曲とオリジナルジャケット
前述の通り、ROUNDで使用していたオリジナル楽曲に合わせ、
配信用の楽曲ジャケットもLIFULLのデザイナーによって、作られます。
パフォーマンスの表現するテーマ
曲の持つ世界観
アルトリらしさ
LIFULLが実現したい未来像
これら4つを一つのクリエイティブにまとめあげていきます。
アルトリらしさ
見た目での“アルトリらしさ”を出すために
気をつけていたことが4つあります。
チームカラーであるオレンジとブルーを基調とすること
LIFULL FONTを使うこと
テイストを決めないこと
あらゆる人を想い、誰一人取り残さず、傷つけないデザインを目指すこと
”らしさ”を作るにはテイストを決めたり、しっかりとしたテンプレートを作ってしまう方法もあります。
しかし様々な個性あふれる楽曲や、多ジャンルを盛り込んだパフォーマンスを一つのテイストにはまとめきれないですし、無理やりにまとめることはチームのテーマである多様性を認めるというところと正反対です。
そのため、統一感を作るのはカラーとフォントにまかせて、曲ごとの個性をイラストレーションや、合成など様々な表現方法で展開しようと思いました。
アルトリのフィルターを通して、多様さに触れ、その魅力が伝わるのが理想です。
ここからは、各ROUNDのジャケットを通して
アルトリらしさや、込めたメッセージをお伝えできればと思います。
ROUND.1 Option
「Latidos del corazón (feat. Buchi"EL CARNICERO")」
LIFULLの実現したい未来「自分らしく生きられる選択肢を」
ジャケットで表現したこと
規則や慣習に縛られてしまう世界の中で、
自らの「鼓動」に従い、自分らしさを認め、表現することで生まれる
豊かさ・美しさを表現しました。
担当デザイナーより(森 × 岡野)
森:かなり内側の事情ですが、ダンスと並行して作っているので、パフォーマンスの全体像がわからないまま、かつ初回からエスニックな曲調に加えて、”自分らしさのための選択”というテーマはかなり難易度が高かったですね。
岡野:そうですね。全ての指針を多少なりとも決める最初の1枚である時点で難しいのに、その上、曲調のクセが強くて本当に難しかったです!
森:”Latidos del corazón”=鼓動というのもどう表現しようか迷いましたね。
岡野:鼓動という意味からストレートに心臓を使うという案もありましたが、生々しさや怖さから、LIFULLが作っていきたい世界観とは違うという社内のフィードバックがあり、見送りました。
このタイミングでアルトリのクリエイティブはどんなテーマでも人を前向きにするポジティブさが必要だなというのが見えてきましたね。
森:”自分らしい選択”ということでかなり個性的な孔雀になりましたが、この孔雀に対してどんな印象をもってますか?個人的にはとても、魅力的だし、力強く見えて良いなと思ってますが。
岡野:僕もそう思います!
自分らしい選択・自分自身の意志といった曲のテーマとエスニックな曲の雰囲気を、一様な孔雀の柄の中に佇む一匹の鮮やかなアルトリカラーの孔雀で描いたのは、ストーリー的にもビジュアル的にも合致していて、この曲ならではの唯一無二のジャケットに仕上がったと思ってます。
森:パフォーマンスと合わせてみた時に感じたことはありますか?
岡野:曲・パフォーマンス・ジャケット全てが”自分らしさのための選択”というテーマで繋がって一つの作品になっていると感じました。パフォーマンス後にはダンサーの方々のSNSでジャケットに対するお褒めの言葉も見受けられめちゃくちゃ嬉しかったです。
ROUND.1 Optionはこちらから
ROUND.2 Splendor
「 Fate(feat. Celeina Ann) 」
LIFULLの実現したい未来「安心できる住まいと地域づくりを」
ジャケットで表現したこと
不自由さ、息苦しさのある世界の中にも、
寄り添い、共に暮らし、世界を鮮やかに見せる存在がいること。
担当デザイナーより(森 × 岡野)
森:パフォーマンスの中にある障がいという部分をどう描くかは悩みましたね。歌詞や曲の中にはそういった言葉もないですし、どこまでどちらに寄せようかはかなりバランスの取り方も難しかったと思います。
岡野:そうですね。結果的には障がいというのも曲の中ではあくまでも不自由さ・息苦しさの比喩でしたので直接的に描くことはしないように決めましたね。
森:かなり個人的な話ですが学生時代、聴力に障がいがある友人がいて、それでも二人で、筆談をしたり、絵を書いたりと楽しく過ごした記憶があって、このジャケットを作るときに、中心にいる女性と魚がいる世界を、とても澄んだ綺麗な印象で表現したいなと思いました。
岡野くんが気にした部分とかありますか?
岡野:不自由さや息苦しさを感じさせつつも、やはり世界を鮮やかに見せるポジティブさを必ず感じさせることが最も重要だと考えました。薄暗い水中・魚に目を隠された女性と、天上から差し込む光・女性がほんのわずかに見せる笑顔・美しい魚の対比。相反する2つの意味を女性と魚と水中の3要素でシンプルに描くことができたと思っています。
森:水中の奥行きの見せ方も、綺麗ですね。
岡野:光、影、くすみ、ぼやけ、ブレ、気泡など水の中を不均一に描くことで、リアリティがある幻想的な水中を描くことができました。また曲のタイトル文字は実際にその空間に浮いているかのように魚や女性との前後関係をつけて、空間の奥行きをより強調しました。
森:パフォーマンスと合わせてみたときに何か感じたことはありましたか?
岡野:衣装の白い布と長い髪をふわりと舞わせながら踊るIkuma Murakamiさんは、水中の中を泳いでいるようで本当に素敵でした!その軽やかさと純真な美しさがジャケットとマッチしているように思います。楽曲自体もとても気に入っていて、今でもよく聴いてます!(笑)
ROUND.2 Splendorはこちらから
まとめ
本noteでは、全体方針とROUND.1、2のジャケットについてお話しさせていただきました!ダンサーの皆さんがきっとドキドキしていたように、
デザイナーもドキドキしながら作っていた2つのジャケット。
どちらも思い出深く、大切な作品です。
これから、ROUND.12までの全ジャケットの制作秘話をご紹介していきますので、ぜひご覧ください!
#02、#03はこちら!
是非ともスキ♡&シェアのほどよろしくお願いします!
採用について
LIFULLでは、LIFULL ALT-RHYTHMに関わるデザインをはじめ、ブランドデザイン、コミュニケーションデザイン、サービスデザインなど、幅広い領域でデザイナーを募集しています。少しでも興味を持っていただけたら、カジュアル面談からでも!ぜひご連絡ください!お待ちしております!
森 瑶子
株式会社LIFULL
クリエイティブ本部 デザイン部
コミュニケーションデザインユニット
コミュニケーションデザイングループ
2011年新卒入社。デザイナーとして、LIFULL HOME’Sのキャラクター「ホームズくん」のデザイン、LIFULLのリブランディング、EarthCuisine #1、LIFULL ALT-RHYTHMなどを担当。時短で働く2児の母です。