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No more Spiritual(4)−見える世界と見えない世界のはざまで−

(前回のあらすじ)すっかりスピリチュアルの世界を信じこんだ私。ついに自分でもその「見えない力」を習得し、簡単に言葉を信じる人たちを見て、得意になっていく。

目次

第1回  見えない世界との出会い
第2回  見えない世界を初体験
第3回  見えない世界への傾倒
第4回  見えない世界に対する嫌悪【★今回はここ】
第5回  見えない世界の消滅
第6回  見えない世界との再会
第7回  見えない世界と平凡な人間
第8回  見えない世界からのサイン
第9回  見えない世界と迷い
第10回  見えない世界との終着駅
あとがき 宇宙から受け取ったメッセージ


4. 見えない世界に対する嫌悪



お金を払って私の言葉を聞きにくる人がいる一方で、心にはひとつの大きな疑念が浮かんでいました。



「私が伝えているものは、本当に求められるに値する言葉なのだろうか?」




シーターヒーリングは、「すべてなるものの創造主」とつながることで、言葉や癒しを起こすことができると言われています。

しかし、実際にやっている自分自身が、

「本当に私はその存在と繋がっているのだろうか?」

「私の頭の中で、勝手に作り上げた言葉を伝えているだけなのではないだろうか?」

と思い始めてしまったのです。

なぜなら、「言葉」を聞きに来た人の反応が、あまりにも素直で信じ切っているのを見て、怖くなったから。



私には、他人の人生を左右するような力が、本当にあるのか?


そんな頃でした。

ある日、いたずら心で、何も知らない夫にもそのヒーリングをしてみようと、彼の手をとって目をつぶりました。すると、彼が言ったのです。



「まさかこんなことで、お金をもらったりしてないだろうな?」




私は、頭をカナヅチで殴られたようなショックを受けました。冷や汗が吹き出て、手が震え、血の気が引きました。


「やっぱり、これは悪いことだったんだ。」


自分の中から湧き出る疑念を、何とか押さえ込んでいた壁が、一発で打ち砕かれたのです。


私は、平凡な主婦だ。
生まれつきのサイキック能力があるわけでもない、ただの凡人だ。
それなのに、宇宙とつながって言葉を伝えるなんて、できるはずなかったんだ。
私は、悩みを何とか解決したいと来てくれる人をカモにして、お金を受け取ってしまったんだ。



時を同じくして、オーナーの旦那さんが病に倒れます。末期のガンでした。

「もう十分に生きた。思い残すことはない。」と、ご自宅での療養を選んだ旦那さんに対し、奥様であるオーナーは「ヒーラー」の力を信じていました。

知り合いの「病を癒し、治すことができる」とうたうヒーラーに、たびたび旦那さんのヒーリングをお願いしていたようです。

そのヒーラーが言うには、

「ガンなんて風邪と同じ。大丈夫ですよ」

しかし、その言葉の甲斐もなく、数ヶ月後に旦那さんは息を引き取りました。数日後、お葬式の受付をした私の前に、そのヒーラーはいつまで経っても姿を現しませんでした。

オーナー曰く、


「電話のひとつもないわ。どう思っているのかしらね。」


あれほど懇意にしていた旦那さんが、数ヶ月でこの世を去ってしまった。人の命を「ヒーリング」でなんとかできると信じさせてしまう「ヒーラー」の存在意義とは何なのか。


夫に言われた言葉が、頭の中を反芻します。


「こんなことで、お金もらってないだろうな。」


それ以降、私は「シータヒーリング」を人にすることも、口にすることも、二度とありませんでした。


第5回  見えない世界の消滅 に続く


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