![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/31042611/rectangle_large_type_2_5d711fe0e2df9901e231f0a611119f5f.png?width=800)
Libya Updates #16 JULY 2020 Week 4
こんにちは🕊
今週もリビア情勢を整理しました。
リビアのこれまで
40年以上続いたカダフィによる独裁体制が2011年に崩壊。新たな政府樹立を巡り、衝突が続いてきた。
現在は首都トリポリを拠点とし、国連の仲介で2016年に樹立した国民合意政府 (GNA)と、東部の都市トブルクを拠点とする政府 (HoR) が分裂している構図だ。
HoRが支持するハフタル将軍率いる勢力が2019年4月、トリポリへの侵攻を開始した。GNA側の民兵組織らが応戦し、武力衝突に発展。GNAにはトルコ、ハフタル勢力にはUAEやロシアなどがつき軍事支援などを行ってきた。
6月はじめにGNA勢力がトリポリを奪還し、ハフタル勢力は同地域より撤退。停戦へ向けた協議が進んでいる。
☞リビアについて、背景はこちらから
☞先週のアップデートはこちらから
1. 戦闘
北部中央に位置するシルトでGNAとハフタル両勢力による戦闘が続いている。GNAは兵力を増強し、同地を奪還することを狙っている。
シルトはリビアの主要な油田へつながる町。
シルトの位置はこちら
紛争は人びとの生活にも影響を与えている。
GNA政府は20日、ハフタル勢力がトリポリ南部の150箇所に仕掛けた地雷を撤去したと発表した。
地雷の多くは同勢力がトリポリから撤退した際に残していったものと見られている。国連リビア特別ミッションUNSMILは7月、ハフタル勢力の地雷で5月以降、148名が死傷・負傷したと公表した。この中には市民のほか、地雷撤去のスタッフも含まれている。
紛争中の市民への人権侵害などについて、追求する動きもある。
国連人権委員会は6月、国際事実調査団を発足する決議を可決した。
ヒューマン・ライツ・ウォッチをはじめ、多くのNGOなどがリビアの人権侵害が不問に付されてきたことを指摘してきた。この決定を多くが歓迎した一方、今後の動向に注視する見方も強い。
リビアの女性議員、シハム・セルジワ氏がベンガジから民兵組織により誘拐されて7月17日で1年となる。
セルジワ氏はトリポリの軍事侵攻を止め、両勢力の「過激派」を非難してきた。HoRとGNAはともに、同氏の開放を求めてきたが、同氏の所在や安否は明らかになっていない。
これに合わせてUNSMILは6月25日、声明でリビアの女性が政治や平和構築に関与すること重要性を強調した。
UN Womenとカナダ大使館は17日、共同でオンラインイベントを開催。ステファニー・ウィリアムズ暫定特使らがリビアの女性の政治への参加のほか、女性への暴力について議論した。
1/3 Protecting women's political participation and ending violence against women in politics in Libya was the theme of a webinar organized today by UN Women and the Embassy of Canada to Libya, commemorating the 1st anniversary of the enforced disappearance of MP Siham Sergewa. pic.twitter.com/oPSSyvqtbT
— UNSMIL (@UNSMILibya) July 17, 2020
だが、登壇者にリビア人の女性が含まれていなかったことに対して、批判の声が上がった。
リビア出身で同国のジェンダー問題に取り組むハジェル・シャレイフ氏は、「誰ひとりリビア人の女性が登壇していないのはなぜなのか。とても失望している」と発言した。
#Libyan_women_voices_matter with all due respect to the panel,but there are Libyan women who lead campaigns for Seham such as @FairouzNaas and for Salwa such as @zlanghi and yet not a single Libyan woman spoke! Why? This is deeply frustrating! #Libya @UNSMILibya @unwomenarabic https://t.co/UoNTkvk9YV
— Hajer Shareif (@hajershareif) July 18, 2020
リビアに暮らすタマジグト人のジェンダー問題に取り組むイナス・ミロウド氏もイベントについて言及。「リビアに関わる国際社会の人びとは、守護者として私たち女性に良い活動家になることや、協力することを教えなくてよい。自分たちが何をするべきか、私たちはよくわかっている」
Members of the international community in Libya can not act as guardians, and teach us how women can be good activists or how we should work together. We know what to do. #LibyanWomenVoicesMatter #DontTalkAboutUSWithoutUS pic.twitter.com/SX9xkHf9Vd
— Inas Miloud (ⵉⵏⴰⵙ) (@inas_miloud) July 18, 2020
2. 国際社会の動向
エジプトがリビアへの関与を強めている。
同国議会は20日、「国家の安全保障」を目的とした軍の海外派遣を認める法案を可決した。「犯罪組織や海外のテロ分子から国境を守るため」としており、リビアへの介入が念頭に置かれていると考えられる。
エジプトのシシ大統領は6月20日、軍事作戦を展開する準備ができていると発表。ハフタル勢力側につき、GNA政府へ支援を続けるトルコを牽制することが狙いと見られている。
ハフタル側の部族の指導者らも15日、シシ大統領と面会し、協力について話し合った。
シシ大統領は同じく20日、トランプ米大統領とリビアの停戦を守り、戦闘の激化を避けることで合意している。
トルコはエジプトを非難する姿勢を一貫してきた。
エルドアン大統領は16日、エジプトがハフタル勢力へ接近していることについて「違法だ」と断言した。
ハフタル勢力を支援するロシアと進めてきた停戦交渉についても、強硬姿勢を見せている。
両国は22日、交渉を続けていくことで合意。だがトルコ政府はハフタルが主戦場から撤退しない限り、停戦は実現しないという見込みを示した。
欧州はリビアへの武器流入の阻止を呼びかけている。
ドイツは17日、国連によるリビアへの武器禁輸を徹底する必要性を強調した。紛争に参加している両勢力へ向けたものであるとともに、シシ大統領が同国への関与を強めていることを受けた発言。
リビアにはUAEをはじめ、トルコ、ロシアなどが武器や傭兵を送っている。武器禁輸の厳守は今年1月、ベルリンで行われた国際和平会議で確認されたことだ。
ドイツのほかフランス、イタリアは18日、共同で声明を発表。国内外の勢力に対して戦闘の停止を呼びかけるとともに、武器輸出を続ける外国勢力へ制裁をかけることを検討していると明らかにした。
3. 新型コロナ
リビアでは23日(現地時間)時点で、累計2,176名の新型コロナ感染者が確認されいている。前の週から新たに587名の感染が確認された格好だ。
死者は53名で、1週間で10名の増加。
情勢不安の続いてきたリビアでは、パンデミック以前より医療保険制度自体が弱い状態が続いてきた。感染者に対応するための病床や医療器具なども不十分だ。
4月から5月にかけては医療施設への攻撃も多発。6月からは、地雷の爆発に市民が巻き込まれる事態が相次いでいる。
┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈
Also read:
リビアの4月からの新型コロナの感染拡大状況を整理しました。
6月20日は世界難民の日でした。リビアの難民・移民について、一緒に考えてみませんか。
お金がないことによって、機会を奪われることのない社会へ。大切にしている考えです。そのため、コンテンツは原則無料で公開しています。一方、もう少し資金があれば足を運べる場所、お伝えできることもあると考えています。お気持ちをいただけましたら、とても嬉しいです🙇🏻♀️