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葬舞師と星の声を聴く楽師【完結】

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新連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』のマガジンです。中世西アジア風の架空世界を舞台にしたBL小説。伝統的な舞師と楽師の過去の因縁、ある宮廷舞師の思惑、国同士の勢力争い。様々な運…
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2022年7月の記事一覧

37 継がれた魂の邂逅 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

37 継がれた魂の邂逅 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』です。
前話の振り返り、あらすじ、登場人物紹介、用語解説、などは 【読書ガイド】でご覧ください↓

前話

37 継がれた魂の邂逅

 ハーヴィドの入団、アシュディンの帰還から数日後、ジールカイン老師長がふたりを宮廷庭園に呼びつけた。
「ハーヴィドどの、エル・ハーヴィドさまの日記をお貸しくださりありがとうございます」
 ジールカインは丁寧に言って、書をハーヴィド

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38 変革は未来を担う子のために 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

38 変革は未来を担う子のために 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』です。
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前話

38 変革は未来を担う子のために

──────────────

【ディ・シュアンの日記】

帝国暦92年3月31日
 親愛なるハーヴィド。明日は継承の儀か。あまり気が進まないな。お前は私のことを〈ディ〉の称号をつけて呼んでいたが、正直そんな戯れはやめて

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39 極秘会議の妙な韻律 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

39 極秘会議の妙な韻律 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』です。
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前話

39 極秘会議の妙な韻律

 何の気なしに廊下を歩いていたら、広間から女性たちの声が響いてきた。普段めったに声を張る事のない正統補佐の女性ふたりだ。
「正統、帝都第7街区に舞師を配置できません。この地区は世俗舞師らの経験が浅く、人員を出さないわけにはいきま

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クライマックス目前! 『葬舞師と星の声を聴く楽師』を3000字で振り返る

クライマックス目前! 『葬舞師と星の声を聴く楽師』を3000字で振り返る

連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』がクライマックス目前まで来ています。
本記事は「しゃーねー、今からでも読んでやっか!」という奇特な方や、「長編って読みにくいのよね、以前の話なんて忘れたわ」という読者に向けて書いています。

本作は、葬送の舞を得意とする青年舞師アシュディンと、撥弦楽器ヴィシラを巧みに操る放浪の楽師ハーヴィドの物語で、愛と謎に満ちたBLファンタジーです。ふたりの時代と、舞台のおよ

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40 ドゥ・セレナーデ(R18, BL) 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

40 ドゥ・セレナーデ(R18, BL) 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』です。
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前話

【ご注意】ネット小説レーティング同盟の定義に賛同しており、本話はR18(性描写そのものに重きを置き、具体的に描写しているもの)に該当します。

40 ドゥ・セレナーデ

「ハッ──」上体を大きく反らし、後ろの床を見やるように首を捻る。上げた左腕と肩の間から

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41 星天陣に華のコラージュ 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

41 星天陣に華のコラージュ 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』です。
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前話

41星天陣に華のコラージュ

「えっほっ、えっほっ」
 巨大な鉄製の鉢が宙を浮いていた。鉢は上下にゆっさゆっさ揺れながら水平移動していく。
「アシュディン、この辺?」
「あ〜、もうちょっと右、いや左、やっぱ右」
「どっちだよ!?」
 運ばれているのは祭火台

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参考ダンス動画集 【葬舞師と星の声を聴く楽師】

参考ダンス動画集 【葬舞師と星の声を聴く楽師】

小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』で、クライマックスの舞踊である〈星天陣の舞〉が無事敢行されました(わ〜ぱちぱちぱち👏)。
ここで、作者がどんな舞踊を思い浮かべながら書いているのか、またどんな舞踊に触発されて書いているのかを紹介しようと思います。
舞踊は門外漢ですので言葉は少なめに、ぜひ動画でダンスを楽しんでください!

Sergei Polunin - Merch “Bolero”
〈星天陣の舞

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42 苦しみは天秤に乗るか 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

42 苦しみは天秤に乗るか 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』です。
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前話

42 苦しみは天秤に乗るか

 市街の方で3発立て続いた爆発音。
「ん、花火か?」とハーヴィドが訊ねた。
「いや、勤労感謝祭では花火を上げたりしない……よな、姉さん」
 アシュディンは念のため、取り仕切りをしているラファーニに確認した。しかし姉はあれほどの

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43 めいめいに魂を売れよ 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

43 めいめいに魂を売れよ 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』です。
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前話

43 めいめいに魂を売れよ

「あ、あなたは!?」
 部屋の戸を叩いたのは、まさかの皇帝陛下だった。寝間着と思しき緩やかなローブを纏い、立ち尽くす君主。アシュディンは恐縮して直ちに跪いた。
「皇帝陛下、こんな時間にこんな所へ、いったいどうされたというのです

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44 その花道は荊棘の道 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

44 その花道は荊棘の道 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』です。
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前話

44 その花道は荊棘の道

 アシュディンは悲痛な面持ちで姉を問いただした。
「姉さん、まさか全部知ってて……」
「……いいえ」
 ラファーニは首を横に振って、歴代正統舞師の肖像画が並ぶその部屋を一望した。
「何年もずっと、週に一度、ここでお祈りしていたの

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〈ラスト3話〉 45 未知は山路に吹き荒ぶ 【葬舞師と星の声を聴く楽師】

〈ラスト3話〉 45 未知は山路に吹き荒ぶ 【葬舞師と星の声を聴く楽師】

連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』です。
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前話

45 未知は山路に吹き荒ぶ

 帝国伝統舞踏団の残党12名は帝都から南南西の方角へと進路を取った。そこは穏やかでない山路を含む未開の地だったが、ハーヴィドの旅の経験によればその先に穏健な小民族が隠れ住んでいるとのことだ。西の国の息がかかっていない地が望まれ

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〈ラスト2話〉 46 証明せよ 流れの楽師たち 【葬舞師と星の声を聴く楽師】

〈ラスト2話〉 46 証明せよ 流れの楽師たち 【葬舞師と星の声を聴く楽師】

連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』です。
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前話

46 証明せよ 流れの楽師たち

「──!?」
 前方に投げ出されたワーグラムは左胸を射抜かれていた。その身が庭園の石畳に落下すると、すぐさま血が沼地を作り、彼を死の淵へと引き摺り込んでいた。
 惨状のずっと後方に男の影が立ち現れた。おもむろに近づいてくる

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〈最終回〉 47 狭間の葬舞 〜 エピローグ 【葬舞師と星の声を聴く楽師】

〈最終回〉 47 狭間の葬舞 〜 エピローグ 【葬舞師と星の声を聴く楽師】

連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』です。
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前話

47 狭間の葬舞 〜 エピローグ

 深い霧の中で目を覚ました。幾重ものヴェールが水平に過ぎてゆく。間断なく流れる白に包まれている。ここは、どこだ?
 ハーヴィドは身を起こして胡座をかいた。
 霧の向こう側で小さな人影が揺れた。あれはもしかして……舞か?

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継統の章(34〜47最終回)振り返り【葬舞師と星の声を聴く楽師】

継統の章(34〜47最終回)振り返り【葬舞師と星の声を聴く楽師】

連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』の第4章〈継統〉の振り返り記事です。作品自体は長くてなかなか読めないという方に向けて書いています。サラッと見て頂けるだけでも嬉しいです!

本作には、同性愛の内容、過度ではないにせよ性的表現・暴力表現が含まれております。これらには差別・暴力を肯定し助長する意図は一切ございません。該当話ごとにネット小説レーティング同盟の定義に対照させたR指定をつけております。ご参

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