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クライマックス目前! 『葬舞師と星の声を聴く楽師』を3000字で振り返る
連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』がクライマックス目前まで来ています。
本記事は「しゃーねー、今からでも読んでやっか!」という奇特な方や、「長編って読みにくいのよね、以前の話なんて忘れたわ」という読者に向けて書いています。
本作は、葬送の舞を得意とする青年舞師アシュディンと、撥弦楽器ヴィシラを巧みに操る放浪の楽師ハーヴィドの物語で、愛と謎に満ちたBLファンタジーです。ふたりの時代と、舞台のおよそ170年前の時代と、物語が始まる数ヶ月前とが交錯しながら進んでいます。
というわけで、クライマックスに向けて経時的に各時代ごとの要点をギュッと纏めていきたいと思います。
今後どんな展開が待ち受けているか、どんなラストになるのかを想像しながら楽しんで頂けたら幸いですm(_ _)m
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先住民の時代〜ファーマール帝国建国
祭祀としての舞踊と楽器の文化を持つ先住民がいた。その舞楽はダアルと呼ばれ、災禍や天変地異を予見するための秘儀が含まれていた。
ダアルの真髄は、舞師の舞と楽師の音で互いの神経を昂らせ、トランス状態で未来を予見し、ふたりの占断を〈一致〉させるというもの。
ファーマール帝国建国後、皇族たちは先住民のダアルを保護し、国家安泰のために自国文化に取り入れた。こうして帝国伝統舞楽団という芸能集団が生まれた。
帝国伝統舞楽団第5代正統の時代
帝国暦92年、ディ・シュアンという名の舞師とエル・ハーヴィドという名の楽師が、同時に第5代正統に就任する。それぞれ天才と称されるふたりだったが、ディ・シュアンはダアルの占断を恐ろしく感じており、一方でエル・ハーヴィドはダアルの力を疑うことがなかった。恋人同士でもあったふたりは、祭祀にて占断を一致・的中させ、数々の危機から国家を救った。
〈星天陣の舞〉
帝国暦97年、ディ・シュアンの精神はダアルへの恐怖で蝕まれていたが、大規模な祭祀〈星天陣の舞〉を控えていたため我慢して続けていた。
そして〈星天陣の舞〉で恐ろしい未来を予見し、発狂し昏睡状態に陥る。予見した内容が生前に語られることはなかった。
一方でエル・ハーヴィドは、その祭祀で半年後に訪れる〈隕石襲来〉を予見した。しかしディ・シュアンが発狂したことから、呪術使いの汚名を着せられ、帝国伝統舞楽団を除名され国外追放されてしまった。
〈隕石襲来〉と正史改竄
帝国暦98年、星天陣の舞から半年後。隕石がファーマール帝国を遅い帝都が半壊した。エル・ハーヴィドの占断の通りになった。
しかし帝国伝統舞楽団の老師たちは、ディ・シュアンが占断を的中させずに昏睡状態に陥ったことや、的中させたエル・ハーヴィドの方を追放してしまったことなどを理由に、星天陣の舞と隕石襲来を歴史から抹消した。
ディ・シュアンのその後
ディ・シュアンの精神状態が改善したのは祭祀から4ヶ月後。後遺症により舞えない体になったが、不屈の闘志で返り咲いた。その後、自らの心身を破壊したダアルの占術を封印し、穏健な儀礼文化としての舞ダアルを再構築した。
そして星天陣の舞から168年後にさらに恐ろしい〈隕石群襲来〉が訪れるという予言を日記にしたため、その生涯を閉じた。
彼の血筋は舞踏団の中で引き継がれていき、第12代正統になるはずだった本作主人公アシュディンまで続くこととなる。
エル・ハーヴィドのその後
舞楽団を追放されたエル・ハーヴィドは放浪の旅に出た。様々な人々が彼の旅に同行することになるが、盗賊・障がい者・被差別者などばかりだった。
孤児院からトルシカという名の少年を引き取り育てた。彼に楽器ヴィシラを教えているうちに、自身がダアルの伝統を捨て切れないと悟る。
最終的にはトルシカにハーヴィドの名前を継がせた。ダアルの真髄が記された日記と楽器ヴィシラを渡し、独り立ちさせるために民族の外に出した。
このような移動民族とヴィシラの系譜が、本作主人公のハーヴィドにまで至る。
第12代正統舞師を決めるための演舞会
時は流れて、帝国暦265年。帝国伝統舞踏団では成人を迎えたアシュディンが第12代正統舞師を継承する予定だった。しかし目前になって、彼の姉ラファーニが女性の自分にも正統になるチャンスを貰えないかと老師団に頼み込む。通例通りアシュディンが継承することを想定しながら、正統を決めるための演舞会が開かれた。ラファーニはアシュディンの恋人ワーグラムと共謀し、アシュディンを精神的に追い詰めて勝利をもぎ取った。
正統となったラファーニは敗北した弟アシュディンを団から追放した。またその後、男舞師を中心とした数多の団員たちをも不当に除名しはじめた。
ラファーニとワーグラムがなぜこのような下克上・横暴を働いたのかはまだ明らかにされていない。
アシュディンとハーヴィドの出会い
舞踏団を追放されたアシュディンと、放浪の旅を続けていたハーヴィドは、ファーマール帝国とラウダナ国の国境付近の村落で偶然出会った。これはディ・シュアンの子孫とエル・ハーヴィドの末裔の再会でもあったが、アシュディンはそのことを知らない。
アシュディンは自ずとハーヴィドの持つ楽器ヴィシラの音に惹かれ、またハーヴィドはアシュディンの名前がディ・シュアンのアナグラムになっていることに気づき、2人は縁を感じて共に旅をすることになる。
旅の途中でハーヴィドが西の軍事国家による集団暴行を受け瀕死に陥る。それをアシュディンが介抱したことで2人の距離が縮まった。
アシュディンとハーヴィドの蜜月
ラウダナ国に到着した2人には、それぞれの達成すべき目標があった。アシュディンはラウダナ国の奇妙な貴族三兄弟に翻弄されつつ、何とか踊り手としての職を得ることになる。
そして西の国の武器を持つ凶賊たちによる誘拐事件にも巻き込まれながら、ハーヴィドは楽器ヴィシラの素材となるマホガニーを得た。
これらの事件を乗り越えていく中で2人は気持ちを通わせ、恋人のような関係に落ち着いた。
アシュディンの異変とハーヴィドの告白
ハーヴィドの楽器ヴィシラが修繕されてから、ダアルの最中にアシュディンの精神に異常が現れるようになる。かつてディ・シュアンが精神崩壊したのと同じようなものだ。
ハーヴィドはエル・ハーヴィドが残した日記をもとに、168年前の出来事、星天陣の舞やダアルの占断についてをアシュディンに教えた。にわかには信じられないアシュディン。しかし自身に起きた精神異常の真相を突き止めるため、また2人ともが近い未来に不穏な空気を感じていたこともあり、2人で帝国伝統舞踏団に戻る決意をする。
2人の正統の末裔の帰還
ついに帝国伝統舞踏団に帰還したアシュディンとハーヴィド。姉ラファーニ、元恋人ワーグラムと対峙し、なんとか団にいることを許されたが、アシュディンは国内で舞うことを禁止されてしまう。
一方で老師長のジールカインは2人を快く受け入れ手助けをしてくれる。正史改竄を証拠を突き止め、隕石襲来が実際に起きていたことが分かった。そしてエル・ハーヴィドの日記と対をなすディ・シュアンの日記を発見する。そこで目にしたのは、〈隕石群襲来〉というより悍ましい災禍が今年中に訪れるという予言だった。
間近に控えている〈隕石群襲来〉の詳細を予見するために、アシュディンとハーヴィド、そして協力者のジールカインは〈星天陣の舞〉を再演することを決意した。
しかし何かと邪魔をしてくる姉ラファーニと元恋人ワーグラム。
果たしてアシュディンたちは〈星天陣の舞〉を敢行できるのか、そしてその先に何を見るのか?
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『葬舞師と星の声を聴く楽師』
火曜日12時、木曜日12時、日曜日9時に更新
最後の最後までどうぞお楽しみください!
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