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矢口れんと
2021年3月30日 10:18
* 尽きることない炎を囲み 陣太鼓を轟かせながら 原始の挫折は 業火を拒否して燃え盛る その子は暗闇のうちに きちんと座り 祭り火を睨みつけていた 身じろぎもなくぶつかり合い 躍動する人と人と人 思念の火花は縦揺れの持つ反撥で 祭り火へと飛び込んでいく 孤独な老獪の学者が 傍に寄ってきて 顕教を懇々と諭した 通り過ぎていく
2021年3月28日 18:31
波音を掻き消すプロペラ音旋回するブレードがたびたび頭をかすめるも完璧な設計のもとに造られた重機がやすやす落ちてくるはずもなくギロチンみたいに斬り落としてはくれないなにも切り離さないプロペラはむしろ与えられた役目に忠実だった燻りきった風の表皮を洗い磨いて(enhanceして)そうやって生き永らえさせてきたのか送電線の一束すら繋がっていない心の錆をいずれこの羽根はな
2020年12月21日 08:01
「海岸線の裸足」 冬至の微光を追いかけて 阻む海岸線には裸足 線をなぞるように並ぶ裸足 誰もが何かを待つ人だった 去ってしまったひとを 追いかけてくるひとを 待つ人だ 微光は薄雲に弱められ 海鳥の群れに散乱されて ひとつ またひとつと 内陸へと歩み出す裸足を見た 海岸線が疎らになっていき わたしは 目の届くところにいる人たちを 勝手
2020年12月8日 17:00
「四行詩???」 心臓に腕 腎臓に目玉 などと書かれた メモの旅立ちを見送る窓辺 歳月に裁断される言葉たち 赤らんで ──歩み出す── 背を飾る花吹雪** #詩 #ポエム #詩歌 #文芸 #創作
2020年12月1日 15:25
12.ㅤ 衣の裏でそっと抱きしめた 薄紅のまま残された心 くすんだ紅と秋の空色は 今宵 別の色恋へと向かうㅤ* 薄紅(うすくれない) 紅(べに)◇14.ㅤ 蜜も涙も溶けて溢れて 小さい器を恨めしく見ていた 月影も届かない窓下の長夜 明ける頃には 海の一部でいたかったのにㅤ◇9.ㅤ 過ぎ去ったとて ここにあります 高ぶるほどに留まる
2020年11月30日 06:44
影が焼き付いて表紙を飾った つきまとう霧を払うのをやめ 立ち尽くす頼りないシルエット 僕がこのボロいノートを接ぐさ* #詩 #ポエム #文芸 #創作
2020年11月25日 14:54
「最後尾のダンス」 僕を見る僕、を見る僕、を見る僕── ──最後尾だね 名もない小惑星に立つ 僕から遠いところで僕らが 勝手気ままに踊っている サンバ、ロックに、あれはゾンビか 膝を抱えて眺めていると 独りでに口が尖ってしまうよ 誰にも知られず肩を揺らす 銀河に深く沈み込む振動 これは、いつまでもやまない音だ 僕だけずっと眠れないのか なあ、
2020年10月5日 10:35
*「恥じらいのあらわ」流行りのシャツに袖を通して裸になっていく少年少女夕闇にいちど溶け朝日に散りゆく逆光のシルエット粒子がたなびいて代弁したかの人の健勝とかの人への羨望を裸になれないわたしは恨めしそうに衣を脱ぎ去り草をまとって 朝露の羊水へ……空よ あなたに甘えるように仰向いた誰もわたしの背中を見ませんように* #詩 #詩歌 #ポエム #文芸