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無力を焚べて【詩】

 尽きることない炎を囲み
 陣太鼓を轟かせながら
 原始の挫折は
 業火を拒否して燃え盛る

    その子は暗闇のうちに
    きちんと座り
    祭り火を睨みつけていた

 身じろぎもなくぶつかり合い
 躍動する人と人と人
 思念の火花は縦揺れの持つ反撥で
 祭り火へと飛び込んでいく

    孤独な老獪の学者が
    傍に寄ってきて
    顕教を懇々と諭した

 通り過ぎていく幻影よ
 火に連鎖する者共を
 支配者が一笑する
 その声には
 慈愛の影がチラついていた

    草むらの影では
    揺れる乳房の持ち主が
    誰彼かまわず慰めていた

 無力への抵抗だ
 見えない敵への威嚇は
 心の拍動と連結し
 その同期にこそ安堵する

 火は膨らんでは
 飲み込んでいく
 厳めしい名が付く前に
 無力への怒りを
 踊らせていく
 命の派生物を焚べに焚べ
 あらゆる命を躍らせていく

#詩 #ポエム #創作 #文芸

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