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はじめての恋人に「風俗に行って」と言ってしまったことを思い出した。【1122】

AmazonPrimeでドラマ『1122いいふうふ』を観て。
大切な人を深く傷つけたことを思い出した。
出来れば思い出したくなかったな。

私のはじめての恋人。
高校3年間を同じクラスで過ごした友達が、卒業を境に恋人に変わった。
少女漫画みたいだった。

はじめての恋人に戸惑う気持ちはあったものの、なんとなく幸せだった記憶が遺っている。

付き合ってから約1年が経って、温泉旅行に行こうと誘われた。
〈旅行=そういうことも込み〉なんだと分かり、当時まだ性行為に抵抗があった私は怯んでしまった。
「私は、、、旅行先でそういうことできないと思うけど、それでもよかったら行きたい」
と言葉で伝えた。
彼は「うん、了解」みたいな感じで普通に承諾してくれた。
だから、私は安心しきってノコノコ温泉旅行に行った。

温泉旅行当日。
なんか手を繋いだりして温泉街で楽しく散歩していた気がする。

そして夜になって。
電気を消して、寝ようかという時に、
恋人は私の布団に入ってもいいか聞いてきた。
いいよ、と言うと、入ってきて抱きしめられた。
そのうちキスもされた。
少し緊張したけど、そこまでは全然良かった。ちょっと照れていた。

でも、しばらくも経たないうちに、彼の手が私の身体を、抱きしめる以上の意志を持って触り始めた。
私の脳内では突然SOSが大音量で鳴って、
心地良い時間が、恐怖の時間に変わった。

裏切られたと思った。
「え?待って待って、そういうのは無しって言ってたやん、、、!?」と逃げようとした。
彼は、「そうやけど、ごめん、したい」と、
もっと強い力でその先へ進もうとするから。
私、必死で怒って。
ちょっと泣いて。
はげしく抵抗して。

そしたら。
彼は我に返ったみたいな
興ざめみたいな
悲しいみたいな
苦しいみたいな
そんな顔をして。
「好きだったら、1年も付き合ってたら、誰だってそういうことしたくなる、、、!」って訴えて。

私は、好きと性欲がどう関係しているかなんて今まで考えたこともなくて、
他人が自分の中に入ってくるなんて
気持ち悪くて、きっと痛いし、
ただ怖くて、意味不明で、
気づいたら、
「私は!絶対に!むり!そういうことしたいなら、風俗に行ってよ!!」
って叫んでた。

彼は、
信じられない、みたいな、
宇宙人を見るみたいな顔で
呆然と私を眺めていた。

私は、
彼が背伸びして予約した綺麗な温泉旅館が、
なんだか気の毒だと思っていた。

ごめんね
一番可哀想なのは、あなただった。
傷つけてごめんなさい。
自分は間違ってないって思ってたの。

あれからもう7年が経って、
今は誰よりも愛する人がいて、
とてもとても幸せで。

だからね、
あの夜のあなたの気持ちが痛いほどわかる。
ごめんなさい。

どうか、幸せでいてください。



かしこ



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