防災のために心がけているのは、「部屋で災害時の生活を可能な限りできるようにする=在宅避難」である。 津波の浸水予想地域に近いのだが、住んでいる集合住宅の周囲に高い建物は少ない。そこで、共用部分は近隣住民向けの津波避難場所になっている。 ここからどこかに避難するよりも、ここに留まって避難生活をしたほうが良さそうな環境に暮らしている。 そういう事情で、ここに住み始めた当初から、万が一に備えて在宅避難の準備を進めていた。 またコロナ禍により、従来のように体育館で衝立を挟んだだけ
私が生まれてから、早半世紀となる。 この世に生を受けたその時から、私の生きる意味が始まった。 私が私であることが、価値そのものであるためである。 生まれてすぐ、私は他の同志と共にいた。 同志は、同じ価値観を共有できる唯一の仲間であるのだが、こうして一同に集まっていられるのはこの一時期しかない。 卒業のときを迎えると、一斉に封を解かれて堰を切ったように飛び出す。 そうして、広い世界に散っていく。 初めての勤務先は、ある家庭であった。母親は私を、その息子に渡した。 少年は私を
この前、フィルムカメラが急に欲しくなり、買ってしまった。 ニコンFである。 ニコンのレンズマウントの名前の由来でもあるこのカメラが、最近日本機械遺産に認定された、という記事を読んだのがきっかけである。 昭和を代表する工業デザイナーの亀倉雄策氏によるデザインであり、ニコンのみならず日本のカメラ史を語る上でとても重要なモデル、だそうである。 このカメラの歴史期的な価値にも惹かれたのだが、実際のところはFマウントのカメラだからというのも大きい。 実は別にニコンのデジタル一眼レ
窓が無く、外から周りが見えない店がある。飲食店で、こうした店を見かけた時に入ろうかどうかを悩む時がある。 ある日、昼時になったので店を探していたのだが、全然見つからなかった時がある。そのとき見かけたのが、外から中を窺い知れない定食屋だった。こうした店に入るときはちょっと勇気がいる。 そういう時に、窓が多くて外から中が見えると安心感がある。店内や店員の様子がわかり、雰囲気が掴める。こういう店ならば、入る時のためらいもない。コンビニはこの原理を応用して、ガラス張りにしているの
在宅勤務が浸透し、通勤時間が無くなって時間を有意義に使えるようになった、という良い意見が聞かれる。確かに、本を読むのも音楽を聴くのも、移動中より家のほうがより集中したりリラックスしてできる。 しかし、通勤という行動がなくなってから、一つ気づいたことがある。 それは、仕事のオンオフの切り替えが、在宅勤務だと非常にやりづらいことである。 朝の身支度をして、出勤するまでの道中が、実は身も心も仕事に向かう準備時間だったのである。 会社の机に座るまでの移動時間が、「仕事モード」に切り
夏は、水出し紅茶を楽しむ季節である。すごくお手軽なのは、ティーバッグ数個をポットに入れて水を注ぎ、冷蔵庫に一晩入れておくというものである。 しかし、今年はまだ水出し紅茶を作っていない。 というのも、今年は外にでる時間が大幅に減り、涼しい部屋で過ごすことが多くなったからである。 冷たい飲み物を飲まないことはないが、多量にがぶ飲みすることが減った。 もう一つあるのは、家にいるのなら水出し紅茶よりもアイスティーが作れるということである。 アイスティーは、氷を入れたグラスに濃い目
クラスターという言葉を聞くようになってしばらく経つ。 感染拡大を防ぐために、クラスター感染が起こりそうな場所に行かない、そもそも体調が悪い時には外を出歩かない、などの意識が根づいてきている。 しかし、よく考えるとこのクラスターというのは今に始まったことではない。 例年冬によく聞く「学級閉鎖」である。これは、インフルエンザのクラスター感染ではないか。 インフルエンザの蔓延は、冬の寒くて乾燥した環境も影響しているのだろうが、冬の教室の三密環境、寒さを防ぐために密閉した教室に、
人との関わりの中で、言葉が占める領域はとても大きい。そして、ちょっとした言葉の与える印象で、人に対する関わり方が一変することもある。 些細な言葉だとしても、それを聞いた人が不快だ、気に触ると思ったら万事休すである。 それ以外の言葉がどんなに優しかろうとも、ある一言のせいで逆効果になってしまったりする。 そうなると、それ以外の言葉の印象など全くもって忘れ去られてしまい、その一言が魚の小骨のように 心に引っ掛かったままになってしまう。 ふとした時に、ああ嫌だなと感じる言葉がある
30分以内の仮眠をすると、とてもすっきりと目覚める時がある。これは医学的にも効果が認められているらしく、短期間の睡眠によって脳の働きを活性化させることができるそうだ。 こうしたうたた寝のような睡眠を、日々の仕事で取れたらどうかということで、最近の企業は休み時間に仮眠を取りやすい工夫をしたり、推奨する例もあるらしい。 しかし、この仮眠を望んだ時にできるかというと、不明確である。 休み時間が決まっている場合、どうしてもその時間に睡眠して目覚める必要がある。1時間の昼休みに、15
しばらく前から、Apple製品では「ダークモード」という、画面を黒基調に変更して目への負担を減らすという機能が備わっている。 サードパーティのアプリも対応しているものがだんだん増えており、最近では夜画面を開けば大体がダークモード化したので目にも優しくなった気がする。 思えば、白基調の画面は白い部分が発光しているので非常に眩しく、ずいぶん目にとっては過酷な状況だったのだなあと感じる。 そんなことでとても良いダークモードであるが、一つだけ困ったことがあった。 ある時、「この白い
この前、募金への協力依頼があった。趣旨に賛同できるので、募金をしようと思って鞄から財布を出そうとしたのだが、見当たらない。 家に忘れたのだと気づき、どこかに10円玉が無いか探そうとしたのだが、鞄の奥にも机の中にも、どこにも小銭が見当たらない。 昔は、飲み物を買った時のお釣りをどこかにちょっと置いたまま忘れたりしていたのだが、普段キャッシュレス決済しかしなくなってから、小銭に触る機会はほとんど無くなっていた。 そうなると困るのが、こうした募金である。 ここまでキャッシュレス
最近話題のプラスチックゴミの削減で、ビニール袋と並んで取り上げられる機会が多いのがペットボトルである。 夏になって、ペットボトルの飲料を飲む機会がふえて、気づいたことがある。 ペットボトルの厚みが、どれも薄くなってきているということである。 ひと昔前まで、ペットボトルはそれなりの厚みがあった気がする。足で強く踏まないとなかなか潰れないくらい耐久性もあったから、ペットボトルにカバーをかけて水筒がわりに持っている人もよく見かけた。 それがここ10年くらいで大きく様変わりした気
リモートワークや在宅勤務が広がり、プライベートな時間と、仕事の時間がシームレスに繋がる。そして、仕事が生活の一部に組み込まれていく。そうした中で、ライフサイクルを今まで以上に気にするようになった。 仕事に適した時間帯やスタイルというのを否応にも考えはじめた。朝起きて食事や朝のルーティンを終えると、出勤時の定時であるが、正直そこから仕事に取り掛かるよりはもうすこし家事をしてからにしたい、という気にもなる。 今までフレックス出社があったにせよ、出社という行為がなくなると本当の意
今日、緊急地震速報が鳴動した。幸いなことに、体感する揺れはなかったが、改めてどういう行動をとるか考えさせられる機会だった。 緊急地震速報は、揺れが来る十数秒前に警告音が鳴るシステムであり、そのわずかな時間を活かして身を守る行動をするという趣旨のはずである。 しかし、私を含めたほとんどの人は、アラームのなったスマホの画面に目を落とし、何が起きたのか、何が起ころうとするのかを確かめていただけだった。 本当に揺れが来た場合は、天井板が落ちてきたり思いがけないリスクがあるのは、これ
昔取った杵柄という言葉がある。 昔身につけた技能が、歳を取っても衰えない様を表す言葉である。 人生経験が多いにせよ少ないにせよ、誰しもが少なからず何かしらの知識・技能を身につけて成長していく。それを、その時だけのものにせず、ずっとそのままに伸ばしていけば、いろいろな可能性が広がるはずである。 昔よくやっていた作業や、仕事でも、時が経つと忘れてしまうことがある。 それも、なるべく維持できれば、その人のスキルとして活かしていける。 そのためにも、知識技能を忘れぬうちに、たまに思