移動時間の効能
在宅勤務が浸透し、通勤時間が無くなって時間を有意義に使えるようになった、という良い意見が聞かれる。確かに、本を読むのも音楽を聴くのも、移動中より家のほうがより集中したりリラックスしてできる。
しかし、通勤という行動がなくなってから、一つ気づいたことがある。
それは、仕事のオンオフの切り替えが、在宅勤務だと非常にやりづらいことである。
朝の身支度をして、出勤するまでの道中が、実は身も心も仕事に向かう準備時間だったのである。
会社の机に座るまでの移動時間が、「仕事モード」に切り替えるスイッチの役目を果たしていた。これは在宅勤務になり、家でパソコンの前に座っても、会社のようにすぐに仕事に向かう気持ちにならなかったために、気づいたことである。
もう一つ、会社を出て家に帰るまでの時間は、逆に仕事モードからリラックスモードへ切り替える時間でもあった。仕事で嫌なことがあり、どうしても考えてしまう時がある。しかし、会社を出て家路につく途中で、徐々に落ち着いていく。そして家に着き玄関のドアを開ければ、会社ではなく家についたのだ、と身も心も認識し、仕事のことは一旦置いておくことができる。
いくら在宅勤務時にPCの画面を消したからとはいえ、すぐに家事に取り掛かる心境にはならない。しばらくは仕事のことが頭の半分くらいを占める中で、家事にとりかかっているので、家に仕事を持ち込んでいる感じがしてならない。
在宅勤務は、個人の時間を有効活用できる点で、通勤に割いている時間を無駄にしない取り組みなので賛成ではあるが、「いかに仕事モードとリラックスモードの切り替えを上手くするか」が、これからのビジネスパーソンにとって大切になるに違いない。
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