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ボルネオ島の伝統を日本へ――ボルネオ島手工芸品ショップ「ラヤンラヤン ボルネオクラフト」

2023年初投稿。あけましておめでとうございます。ボルネオ島の手工芸品店を営んでおります「ラヤンラヤン」と申します。毎週金曜にボルネオ島に関する記事を投稿させて頂いておりますが、新年一発目の投稿は改めてお店について紹介させて頂きます。

ボルネオ島の手工芸品
「リナゴ」と「マニック」

私が運営させて頂いてる「ラヤンラヤン ボルネオクラフト」というお店では、マレーシア・ボルネオ島サバ州に位置するクダットという地域で作られる手工芸品を販売させて頂いております。主にこの地に暮らす先住民ルングス人(Rungus)が作る伝統の「リナゴ」と呼ばれる編みかごや通称「マニック」と呼ばれるビーズネックレスを取り扱っております。

ボルネオ島では、ルングス人だけではなく、様々な先住民が昔から天然素材を使用したかごや傘、楽器など、そして装飾品や銅鑼などの手工芸品を作ってきました。

私はかつてサバ州にある大学院で社会人類学を専攻し、先住民ドゥスン人(Dusun)の研究をしておりましたが、先住民の村で長期滞在したり、指導教官に付いて各地の村々を巡ったりする中で、伝統技術を受け継ぐ人が減ってきている村を目の当たりにしました。

大学院を卒業後にこのお店を開かせて頂きましたが、そのように至ったのも、現地で人類学を学び、先住民の村で現地の方と生活を共にした経験から、生活にとけこんだ手工芸は先住民の文化を象徴しており、後世に伝えていくことが先住民のアイデンティティを守ることにも繋がるのではないかと考えたからです。

リナゴ編み

編みかごの「リナゴ(rinago)」は、ルングス人の言葉でリンコン (lingkong) と呼ばれるシダ植物の茎の表皮と籐(ラタン)を用いて編まれています。ラタンを軸に細いシダの紐を一つ一つ丁寧にきつく編んでいるため、とても硬く丈夫なかごが出来上がります。リナゴは、その技術が先祖代々受け継がれ、ルングス人コミュニティの中で文化的遺産として大切にされてきた伝統のある手工芸品です。

「リナゴ」の代表的な形

リナゴには、3つの代表的な伝統の形があります。丸みを帯びた蓋付きの形――「トゥバウ(tubau)」、平たい円形の「ティノンポック(tinompok)」、楕円形の「サラパ(salapa)」です。

職人さん方は、これらを踏襲しつつもビーズやモチーフを加えたり、新たなデザインを生み出し続けています。進化し続けるリナゴの可能性を感じたことも、手工芸品の店をオープンするきっかけになった一つの理由です。

ルングスの伝統衣装

ルングス人の伝統衣装の特徴の一つに肩から腰にクロスしたビーズの装飾品があります。ルングスの言葉で「ピナコル(pinakol)」と呼ばれています。

伝統モチーフと幾何学模様があしらわれたピナコルは、先祖の魂が宿るスピリチュアルなものとして信じられており、ルングス人コミュニティの中で先祖代々母から娘に受け継がれる貴重な遺産とされてきました。

これをアレンジし、様々な長さや幅、色で作られた「マニック(manik)」と呼ばれるビーズアクセサリーも当店では扱っております。伝統のモチーフを活かしたまま普段のファッションにも合わせられようなデザインとなっております。

無地のトップスに合わせるだけでアクセントになり、首元にデザインがあるタイプのネックレスは、「スカーフを巻いているようだ」というお声も頂きました。

ボルネオ島で受け継がれてきたこれらの伝統技術。熱帯の地で一つ一つ丁寧に作られた温かみを感じる作品の数々が日本でもご購入頂けます。

この活動が少しでも「ボルネオ島先住民の伝統文化を守ること」また「皆さまの暮らしに温かみをもたらすこと」に繋がればと思います。

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