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会社の存続を掛けた新事業は、人に言えない裏家業だった。ワンマン社長に振り回されなごら、…

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会社の存続を掛けた新事業は、人に言えない裏家業だった。ワンマン社長に振り回されなごら、裏の世界に引き込まれてしまった経験を、フィクションぽく伝えます。 *お金やビジネスに関する情報や小言も並行していきます。 https://mobile.twitter.com/KakeruTak

最近の記事

田宮という男

トップ同士の採用面談の翌日から、僕のオフィスで田宮が働き始めた。 「善は急げ、だ。すぐにでも始めろ」 と仲介にたった大物社長の鶴の一声で、僕とゲンさんは受け入れの準備を前夜のうちに行った。 そして翌日。 始業は9:30からとは伝えたが、田宮が来たのは9時29分だった。 間違ってはいない。 オフィス到着後に手洗い用足し、自分のお茶を淹れるまでがルーティーンで、実際に仕事を始めるのは9:45を過ぎてからだ。 これも、間違い、とは言わない。 当然、僕もゲンさんも既にその日の仕

    • 反面教師-1

      ゲンさんが来て早1週間が経った所で、大迫の本業において早速成果が出始めていた。 「ゲンさんの言う通りにサイトの構成を変えたから、問い合わせの件数が増えて対応しきれねえよ」 朝から電話対応をしっぱなしの大迫が、昼過ぎに漸く一息つくタイミングで笑いながら呟いた。 「そりゃ良かった。でも困るなら元に戻すんでいつでも言ってくださいね」 ゲンさんはPCに向き合いながら、本気か冗談か分からないトーンで返すと、大迫も「そんなわけないだろ」とムキになって切り返した。 親子ほどに年が離れ

      • チャレンジに年齢は関係ない〜Srエンジニアゲンさんとの出逢い

        大物社長・山田さんとの出逢いに感銘を受けたことで、気持ちを新たに僕は現場での仕事に邁進していた。 介護、人材紹介、夜の仕事…何であっても現場で起きている事に目を向け、自分が正しいと思うことを実現できるように、もがきながらも前進している感覚を持ち始めてもいた。 「自分もいつかはああなりたい」 改めて、野心に火が付いていた。 そんなある晴れた春の日、赤坂オフィスに珍しい来客があった。 ドアベルが鳴り、Excelに集中していた手を止めドアを開けると、白髪を五分に分けた、小柄な

        • 大物社長の教え「正解は作るもの」

          大迫に連れられ会うことになった"西の大物"社長は、しばしばビジネス誌にも取り上げられており、僕も何度か見た事がある顔だった。 「山田様、今日はありがとうございます」 驚きと、じわりとくる感動を味わっている僕をさておき、大迫はいつも通り淡々と挨拶を済ませていた。 3人でロビーのソファセットに腰掛け、大迫が今日お連れする女性の"特徴"を伝えると、山田社長は満足したようなにこやかな表情を浮かべ、自身が取っている部屋番号を教えてくれた。 「ありがとうございます。それでは私が女性をエス

        田宮という男

          本社乗っ取り計画〜信用はビジネスの礎

          東田のスパイ依頼の件を経て、僕は大迫の壮大な計画を目の当たりにすることになった。 コンサル業を営む本社は同族経営で、親族しか役員には入っていない。しかし、60越えの夫妻と社会経験やビジネスセンスがあるとは言えない若造しかいない状況のため、東田には経営面で貢献性や将来性のある者を1人役員に加えたい、という意向が以前からあった。 大迫には少し前から水面下で相談を受けていたのだが、現在のビジネスで充分潤っている大迫の目からすると、受けるメリットがあまりないと映ったのか返答をしかね

          本社乗っ取り計画〜信用はビジネスの礎

          出過ぎた杭は打たれない

          東田のスパイ依頼を受けた経緯を一通り打ち明けると、大迫は腕を組み俯きながらしばし沈黙を貫いた。 東田が僕の退職の噂を流した張本人である事を話した時は、珍しく大笑いをしていたが、打って変わって今はただ押し黙ったままだった。 後輩の久保山に後で聞いたところ、社内でも半分以上の社員がその噂を聞いており、情報源である数名の社員は、東田の定例会議のメンバーで、そこから"東田から聞いた"情報として流していたとの事だった。 大迫は大きく息を吐くと、PCの画面を見つめながら思案した事を

          出過ぎた杭は打たれない

          裏ビジネスの真髄

          東田との会合にて、僕は差し障りない範囲で、大迫のサポートをしたことを伝えた。 とは言っても、これまで会った何人かの女性と、男性の客層について位で、この程度のことは話した所で大迫の運営には支障は出まい。 「ノウハウを知る人間が必要だから、その時に君の力がいるんだよ。」 東田のこの言葉に対して、信憑性は微塵も感じていなかった。 東田には僕より2歳年上の息子が一人いる。 今は出版会社で翻訳の仕事をしているのだが、元々僕がいた本社の取締役にも名を連ねている。 新事業を立ち上げる

          裏ビジネスの真髄

          二重スパイ~ビジネスの肝:情報戦

          久保山が唐突に切り出した話しは、僕に小さくない衝撃を与えた。 彼は新卒で入社してから半年間、僕がトレーナーとして面倒を見てきた社員で、飛びぬけてはいないが、比較的優秀な社員だった。 半年後には僕と異なる部署になり、直接的に業務で関わる局面は少なくなっていたが、月1回は飲みにいく間柄で、良い関係性は築けていた。 だからこそ心配になって声を掛けてくれたのだろう。が、最も状況を知らないのは僕の方であった。 「社長が言ってた、っていつ?俺が辞めるっていう事だけを言ってたの?」 僕は

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          持続化給付金で不利にならないために

          こんにちは、副業サラリーマンのTakです。 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が5月末まで延長されました。 幸いなことに、自分は本業としてサラリーマンをしており、影響はあるにはあるものの、「来月は収入が半減!」「ボーナス全額カット!」という悲劇的な事はありません。 この点は、本当に本業万歳だな、と感謝しています。 と同時に、自分で事業をされている方や副業にシフトチェンジされている方はモロに影響を受けられていて、他人事ではないな、と本心から感じています。 僕自身、ファ

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          国際結婚したらもらえるお金!

          本noteをご覧頂き、ありがとうございます! 副業サラリーマン、Takと申します。 今は、本業だけではなく副業をしてでも収入を確保する方法を考えなければならない時代です。 僕自身、日々汗水流して仕事を頑張って稼いで、余暇や成長を楽しむことが、人生の醍醐味だと思っています。それでも、執筆中の現在流行している新型コロナウイルスの影響で、仕事すらままならないという方も多いかと思います。 そういう時のために、公的助成金や給付金など、申請すれば合法的にもらえるお金もあるので、頑

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          きっかけ

          屈託のないナオの笑顔に、束の間の安らぎを覚えた僕は、ベンチに隣がけ会話を楽しんだ。 男って単純なものだ。 「自分には色々話せそう」 優しくそんな風に言われれば、恋はしないまでもその人のことが気になってしまうものだ。とりわけ、気持ちが整理できないような、悶々とした気分の時など、尚更だ。 「私、お母さんしかいなくて、そのお母さんも家にいないから話す人いないんだよね。」 「へえ。日中は何してるの?」 「事務のアルバイトしてる。女ばっかで、毎日ギスギスしてて、ほんとストレ

          きっかけ

          2つの戸惑い〜ナオとの出逢い

          サラリーマンの悲哀、受け入れざるを得ない上司からの業務命令は僕を戸惑わせ、悶々とした気持ちのまま赤坂へ戻った。 大迫不在の昼下がりの静かなオフィスで、一人淡々とパソコンに向かいながら、僕は肘を付き、考え込んでいた。 初めから、大迫のスパイが狙いだったのか… 東田が僕が始めている新事業に興味がない事は分かっていた。東田はある意味非常に正直な男で、以前から介護事業の報告をしていた時からどこか上の空な態度を隠そうとしなかったので、大した驚きや残念な気持ちは全くなかった。 大

          2つの戸惑い〜ナオとの出逢い

          スパイ大作戦

          大迫に叱られた日から1週間程後の平日午前10時、僕は久々に本社の応接室にいた。 始まったばかりとはいえ、新事業が本格的なスタートをきってからの進捗見込みや、実際に取り組んでみての感想報告などは、まだ行っていなかった。 何より、東田社長からの意味深なメールが気になっていた。 「タクくん、落ち着いたら一度本社に来てください。一人で。」 新事業開始の時にも感じたことだが、東田は非常に老獪で、良く言えば機転が利く、悪く言えば姑息な所があった。そのお陰で、本社のビジネスはこれま

          スパイ大作戦

          悪魔の怒り~覚悟と謝罪

          医師からは数日から1週間程の入院を勧められる程の内容で診断を受けたものの、仕事においても人生においても大事な局面で、数日でも穴を開ける訳にはいかなかった。 その日は一先ず点滴で静養させてもらった後になるべく多くの薬をもらい、落ち着き次第なる早で病院に戻る旨を医師に伝えた。(無論、そういう訳にはいかないよ、とかなりの問答があった) ラケルさんやチョナさんを信用していないわけではなかったが、大事な時は自分のケツは自分で拭く、その決意は自分の中で固まっていた。 "てめえがやる

          悪魔の怒り~覚悟と謝罪

          9月下旬〜"悪魔"の所以②

          アミの一件は、荒波の社会において青二才だった僕の心に、大きな傷となった。 泣いて許しを請う世間知らずの若い女性を冷徹に食い物にしたのだ。 と同時に、付け入る甘さを見せた彼女が悪くもあるのだ。そもそも、大迫が僕に言わせた法的措置など、根拠はどこにもないのだ。 手慣れた女性が相手だったら、大迫もそんな手は使わなかっただろう。 弱肉強食嫌な思いを抱えながら、また一つ学んだと思い、時間を掛けて頭を切り替えようとしていた。 そんな矢先、アミ・ショックの尾を引いたまま、9月最終

          9月下旬〜"悪魔"の所以②

          9月中旬〜"悪魔"の所以①

          カリファとの切ない夜の翌日、大迫は僕が何も知らないと思っているのか、「あいつとヤッたのか?」などと、あっけらかんと尋ねてきた。 実際、僕がカリファと寝ていようがいまいが、気にはしないだろう。カリファが、大迫の気持ちを煽るためにそうすることはあったとしてもー… そんな日を経てからも、僕の日常は変わらなかった。 朝から夕方までは介護事業立ち上げに奔走、夜は書面関係の準備をしながら、大迫の手伝い。 時にはカリファのビジネスのヘルプもあり(やってることは大迫と同じ)、土日祝関

          9月中旬〜"悪魔"の所以①