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チャレンジに年齢は関係ない〜Srエンジニアゲンさんとの出逢い

大物社長・山田さんとの出逢いに感銘を受けたことで、気持ちを新たに僕は現場での仕事に邁進していた。

介護、人材紹介、夜の仕事…何であっても現場で起きている事に目を向け、自分が正しいと思うことを実現できるように、もがきながらも前進している感覚を持ち始めてもいた。

「自分もいつかはああなりたい」
改めて、野心に火が付いていた。

そんなある晴れた春の日、赤坂オフィスに珍しい来客があった。
ドアベルが鳴り、Excelに集中していた手を止めドアを開けると、白髪を五分に分けた、小柄な男性が立っていた。

「こんにちは。ちょっと早く来ちゃったんですが、大迫さんもう来てます?」
「いや…今日はまだですが。どちら様で?」
こちらの質問に答えもせずそのままズカズカと入ってきた男は、許可も取らず我が物顔でソファにドカッと腰を掛けた。
「これからしばらくこちらで一緒にやらせてもらえる事になったので、タクさん、よろしく頼みますね」
「そうですか…って、え?」
無邪気な笑顔をこちらに見せ、僕の驚きの反応など意に介さず一方的に話を続けた。
「サイトの運営とかは僕に任せてくれたら大丈夫ですから。歳は取ってても、まだ使えますよ。ハハハ」
そのままMacBookとiPhoneを出し、会話は終了と言わんばかりに作業をし始めた。

一応、悪い男ではなさそうと判断し仕事に戻ると、15分後に大迫がオフィスに現れた。
「おぉ、ゲンさん。来てたのか」
大迫は、ゲンと呼んだ男と一礼を交わすと自席に着き、いつも通り顧客からの問い合わせ対応にしばし時間を取られたため、30分以上は僕とゲンという男と無言の作業の時間が続いた。

大迫が、恐らく大物社長の山田さんらしき方との次のアポイントの電話を終えると、思い出したかのように僕とゲンさんに声を掛けた。
「2人は初対面だっけか?」

「そうですね、お話は何度か伺ってますが会うのは初めてですね」
ゲンさんは屈託のない笑顔で、僕の方に目線を寄越し、「どうも、ゲンです」と軽い自己紹介を済ませた。
僕も「タクです」とだけ軽く挨拶すると、大迫から今後の仕事について説明がなされた。
「ゲンさんは俺の仕事をよく理解してくれているエンジニアだ。宣伝やら集客を任せるが、タクの仕事でも使えることがあるだろうから、相談して連携取ってくれ。ゲンさんはしばらくこのオフィスで働いてくれ」

「え、ここで、ですか?まぁいいですが…」
ゲンさんも働く場所までは聞いていなかったようだった。
どこまで大迫とゲンさんの間で取り交わされていたのかは分からないが、思わぬ形で仕事仲間が増えるかたちとなった。

大迫は夜のアポイントに向け外出し、残された僕とゲンさんは再度自分の仕事に取り掛かった。
途中数時間の外出などを経て、間もなく20時を迎えた所で、休憩なのか大迫がいない事で気が抜けたのか、ゲンさんは独り言か僕に話しかけているのか分からない調子で呟いた

「いや〜、60過ぎたシニアエンジニアには、夜の作業はキツいなぁ」
椅子に仰け反り天井を仰ぐようにして、ストレッチをするゲンさんを見て、僕も少し休憩を取ることにした。
「ゲンさんは60過ぎてるんですか。もう少しお若いかと思ってました」
「ありがとうございます。よく言われますが、もう65ですよ。偉そうにエンジニアと言ってますが、コンピューターいじり始めたのなんてこの2、3年ですから、毎日毎日分からない事だらけで大変ですよ」
そう言いながらも目を細め楽しんでいるような笑顔を、ゲンさんは僕に向けた。


「まぁ、キツい事ばかりですけどね。」
「何事もチャレンジですよ。チャレンジに年齢はないと、この歳になって日々感じていますよ」

毎日学ぶ事が多いが、ゲンさんはそれを楽しんでいるという。
「最初はコードやらSEOなんてよく知りませんでしたがね、若い子達に色々聞いてるうちに、自分で作るのが楽しくなってきちゃって」

お喋り好きなゲンさんは、その後も僕のリアクションなどお構い無しに話し続けていた。

僕が50、60になった時に、同じ事を思えるだろうか。
いつまでも、新しい事にチャレンジする精神を持てる自分でありたい。
そのためには、今が大事。今、チャレンジする気持ちでいる事が何より大事だ。

また、新しい出会いから僕は刺激を受けたー

続く

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