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徹底分析!アメリカと中東の対立からプレイヤーまでも巻込む問題作!徹底解説動画の仮原稿冒頭部を先行公開!【Spec Ops: The Line】

《前略》

 今にも崩れ落ちそうな、むき出しのビルのフロアの端に掲げられた、ボロボロに破れ、傾いた逆さまの星条旗。アメリカでは、命などに極度の危険が迫っている場合を除いて、国旗を逆さまに掲揚することを法律で禁じられています。つまり、逆さまに掲揚された国旗が意味するのは一般的に『救難信号(Distress Signal)』とされています。日本語では救難信号と言いますが、英語では『Distress Signal』と言います、Distressというのは救難という意味よりも『苦悩』であったり『苦しみ』を意味する言葉です。そしてもちろん、その逆さの星条旗は場合によってはアメリカに対する『反抗』を意味することもできるのです。

 また、コンラッドは第33大隊の旗には、自らが星条旗の星を黒く塗りつぶしたものを用いたという情報がゲーム内のコレクティブルズから読み取れます。この旗のデザインからは、確実にアメリカへの反抗的な意志が見られ『苦悩』と『反抗』の両方の意味が伺える描写になっています。

 そして、逆さまの星条旗の向こう側には、砂に埋もれたドバイが見渡せます。ジョセフ・コンラッドの『闇の奥 “Heart of Darkness”』は、『文明』化された人間が、『未開拓』の土地を植民地化していく帝国時代を舞台に、人間の奥底には『闇』があるということを描いていました。また、それを描く過程で強調されたのは、アフリカ大陸の『外側』と『内側』だった気がします。そして、映画『地獄の黙示録』は、『共産主義』と『資本主義』の衝突、『西側』と『東側』の衝突を描く過程で、互いに恐怖し合う姿が描かれたのです。
 では、今作はどうでしょうか。まずは、今作の舞台がなぜドバイなのか、ということを紐解く必要があります。ドバイといえば『ブルジュ・ハリファ』現在最も高いビルがそびえ立つ場所ですよね。アラブ首長国連邦(UAE)に含まれる首長国の1つで、お金のある国で富裕層が多そう、みたいな印象の強い国です。しかし、今作ではもう少し踏み込んでおく必要があります。

 今でこそ、オイルマネーで潤う国ドバイというイメージが確立されていますが、実はドバイは石油埋蔵量が少なく、石油に頼ることを諦めた国なのです。そもそも、ドバイはインドがイギリスの植民地だった頃から、その貿易の中継地点として栄えたり、1985年には今も現役の世界トップクラスの人口港『ジュベル・アリ』を開港したりする『ザ・貿易の国』なのです。また、その港が開港すると、その周辺にフリーゾーンと呼ばれる自由貿易地域、ようは外国企業を誘致する地域を設けるなど堅実に成長を目指してきた国なのです。
 しかし、それほど知名度があったわけでは無いドバイは、外国企業の誘致に苦戦していたのです。そんなドバイに新たな展開が訪れます。1990年に湾岸戦争が始まったのです。するとアメリカのCNNがドバイを報道拠点にし、世界中に『ドバイからお届けしました』と戦況を報道するようになったのです。これが世界中にドバイの名前が知れ渡るきっかけとなったのです。また『近くのクウェートでは戦争をしていても、ドバイは『安全』なんだ』というイメージを作り上げたのです。その結果、ドバイのフリーゾーンにも多数の外国企業が進出するようになっていったのです。
 そして、さらには2001年9月11日、同時多発テロ事件が起きると、持て余したオイルマネーをアメリカやイギリスで資金運用していた中東系の人々は疑惑の目を向けられる羽目になったのです。するとどうでしょうか、彼らはアメリカやイギリスから撤退し、ドバイで資金運用を開始するようになったのです。こうして、ドバイにオイルマネーが流れ込む仕組みが完成し、投資家たちがこぞって集まる場所へと成長していったわけです。

 映画『地獄の黙示録』では、『資本主義』と『社会主義』の対立、『西側』と『東側』の対立を描いていたわけですが、今作は『アメリカ』と『中東』の対立がテーマなのです。
 ドバイは社会的にも経済的にも、アメリカ人が安全に暮らせる中東国家の1つであり、アメリカが流入し、侵食していく中東への玄関口でもあるわけです。

《続きは実況シリーズ後の徹底解説動画で!》
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本記事は Spec Ops: The Line 実況動画の投稿が完了次第制作予定の『徹底解説』動画の(仮)原稿冒頭部分です。また、楽しんで頂ければ、チャンネル登録・高評価、そしてスキ♥フォローもよろしくお願いします!

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