静かな退職(Quiet Quitting)が組織に起きる時
皆さん、こんにちは。Slackと組織コミュニケーションの専門家、ラボラティック株式会社でCEOを務めている、野口麗奈です。
今日は、最近、アメリカで取り沙汰される、Quiet Quitting(静かな退職)について考えてみました。
静かな退職ー米国では50%の従業員がその兆候。日本も人ごとではありません。
静かな退職(Quiet Quitting)については、9月に日経の記事でも取り上げられたようです。
この静かな退職。実際は、以下のような状態の従業員とのことです。
・現在所属する企業に勤務している
・必要最低限の仕事をする
・仕事への熱意が低い
・会社への帰属意識も低い
これらの状況が、ギャラップ社の調査では、従業員割合の半数を占めるとの報告が上がり、全米で取り上げられる事態となりました。
ところで、このデータは、従業員エンゲージメントの低さと言い換えても良さそうです。そうなると、日本は全くもって他人事ではありません。むしろ渦中です。日本の従業員エンゲージメントは最低水準で推移しているので、組織内に前述した状態が恒常化してしまっている可能性の方が高いです。
この兆候は、今後、更に生産性の低下を導くかも?
これらのデータを牽引する、さらなる衝撃データというのが、米国の生産性が1948年に米国労働省が生産性の追跡調査を開始して以来、最も大きな下降線を辿ったことにあります(参考)。さらなる詳細データでは、農業以外の従事者は、前年比2.5%の割合で生産性が低下。米国の4−6月期は、4.6%の低下だったそうです。
これらの生産性のデータを別の観点から捉えたのが、「静かな退職」という現象です。実際に退職はしていないけれど、心は退職済みな人が組織に蔓延るということ。もちろん、彼らのエンゲージメントは低く、エンゲージメントと相関する指標に軒並み影響があると言えます。影響する指標の1つは離職率なのですが、心で離職して社内に人員が留まるのが静かな離職。結果的に、そのような人員が多い組織の生産性が高いとは言い難いでしょう。
静かな退職の背後にあるのは、「過ぎた!?」働き?
米国では、静かなる退職はHustle Cultureの反動と捉えられてフシもあるそうです。スタートアップ企業などの、Purpose/Cultureなどに強く魅了され、そこに自らを投じて、あたかも人生と仕事が同義のようになってしまったことへのテーゼと捉えることもできるのです。
CNBCでは、24歳のエンジニアのTiktok Videoから以下のような引用がされて
いました。
これらの状況を、私たちはどのように考えていけば良いのでしょうか?
大事なパーパス、文化、ミッションーそれすらも、過ぎたるは及ばないのか?
私は、古臭いと思われそうですが、こんな諺を思い浮かべました。
「過ぎたるは及ばざるが如し」
Cutlure/Purpose/Missionは大事です。この強力な想いをドライバーとして使い、駆り立てて事業成長をする。これだけでは、いつかは終わりがきて、燃え尽きてしまうのかもしれません。狂信的または盲目的なカルチャーへの陶酔は大事ですが、いずれ魔法が冷めて、組織が息切れするのでしょう。
正気に戻ったメンバーの心は「離職済」な状態。言われたことに対して忠実に働くものの、それ以上の熱量は持ち得ない。組織のメンバーの心も萎んだ状態とでも言いましょうか。「〜しよう」という志などは到底産みにくい状況に陥ってしまいます。
なんだか、味気ないな・・・・とも、もったいない・・とも思います。
上記のような状況では、Cutlure/Purpose/Missionも浸透しにくく、会社としての輝きも失われてしまいそうです。
そして、個人の大事な人生の時間が、「静かな離職」に使われていることに、私自身は危機感を覚えます。
従業員の目線で考える「静かな退職」ー次回予告ー
ところで、静かなる退職を選んだ従業員の方々は、なぜ退職という道を選ばないのでしょうか?
これについては、キャリアコンサルタントの視点で次回、考えてみたいと思います。
また、次回、お読みいただけたら嬉しいです。
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ラボラティック株式会社
野口 麗奈
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