静かな退職をした従業員が求めているもの (When Quiet Quitting is Calling...)
さん、こんにちは。Slackと組織コミュニケーションの専門家、ラボラティック株式会社でCEOを務めている、野口麗奈です。
今日は、静かな従業員が求めているものについて、考えてみます。
米国で広がる、静かな退職ー大転職時代の次フェーズ
前回、米国で広がる静かな退職(Quiet Quitting)についてご紹介しました。
静かな退職とは、以下のような状態の従業員のことを言います。言い換えると、心は退職済みの状態で、会社で淡々と業務だけはしているようなイメージでしょうか。
ところで、先日、この記事を書いていて、この静かな退職について1つ疑問が湧きました。
組織において、静かな退職を選んだ従業員の方々は、なぜ今の組織を退職し、転職するという道を選ばないのでしょうか?
今日は、そのことについて、キャリアの観点からも思い巡らしてみたいと思います。
退職の真因は、人間関係の悪化、昇給低さ、風土不一致、自己成長欲求
静かな退職は、ある種、今いる組織への感情的なつながり(従業員エンゲージメント)を卒業してしまうことにも見えます。従業員エンゲージメントは、離職率と相関があると言われていますし、静かな退職も、心の離職に近いと私は考えています。
個人のキャリアで「退職しようかな」「転職しようかな」と言う理由の引き金になるものはいくつかあると言われます。
リクルートホールディングスのリクナビNEXTの「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10」の調査結果を見ると、退職の本音が10個ほど掲載されていました。
ざっくりとではありますが、理由の真因は、人間関係、昇給、風土、自己成長にあるのかもしれません。特に、人間関係や風土については、「場所を変えない限り、自分では変えられない」と言う要素も強いです。そして、こういった内容は、キャリアカウンセリングでキャリアに悩む方があげる相談内容とも親和性が高いと言う印象を持ちました。(あくまで印象です)
転職したら、ご自身は今とは違う状況になれそうでしょうか?
これは、キャリアカウンセリングで、相談者の方が「ちょっと転職も考えています」と話される時に、私が、相手の状況次第で伺う質問です。回答として、わからない人も、今よりはマシと話される人もいます。
相談者の方で、実際に転職される方は、そこまで多くはないのも現実です。私たちにとって、転職活動は、転職の目的が明確な人であってもリスクと労力がかかるんですよね。
転職は、スイッチングコストが高い、ゆえに静かな退職を選ぶ
私は、静かな退職者には、こんな前提があるのではと想像しています。
そもそも転職しても今と状況は変わらないか、面倒
結局、どこで働いても提供する労働は変わらない
会社の待遇もそこまで悪くない
そこそこ仕事も慣れているし、社内の人も知っている
別に会社やメンバーが嫌いというほとでもない
ちょっと強い物言いですが、要は、転職のスイッチングコストが高く、優先度を上げて取り組む必要はないと捉えているのでは?
こんな目線や働くスタンスも、その人の価値観であり、良い悪いがあるわけでもないと私は思うのです。
ところで、その静かな退職、今はそう思っているだけでは?
静かな退職者が、心の奥で待っているのでは?
今は、静かな退職。でも、その退職は、永遠とは限りません。
1日8時間程度は労働に時間を使っている私たち。
その労働を通して、「XXXな経験」を重ねていくことは、その人の生き方にも大きく作用すると思います。組織で働く誰かが、静かな退職を選んでいる時、その人の可能性や、心の火は、永遠に消えてしまうのでしょうか?
私は、もしかしたら、静かな退職者は待っているのではないかと思っています。
もう一度、面白く働くことや、何か自分を広げていける経験を。
そして、仕事を面白くしてくれる人や仲間を。
「いざ、鎌倉」となったら、腕まくりすることも。
自分が考える、面白い仕事や共感を。
チームでの成功体験を。
それが、私たちが考える「働く」に、本当の自由を。に繋がるのではないかと、一人思い巡らしています。
また、次回、お読みいただけたら嬉しいです。
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ラボラティック株式会社
野口 麗奈
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