緑の香りが鼻を掠める、黄金色の寂寞を優しさが包む
トルコの南東部、マルディンに来て半日が過ぎた。お昼ご飯を食べよう、とKemarが言ったので、レストランへ向かった。マルディンの旧市街は、どこを見ても黄金色に輝いていた。砂造りの建物が通りの向こうまで連なっている。時折見られる、建物の屋根に広がっている葡萄の葉は日の光に照らされて宝石のように眩しかった。知らなかった場所に来た、それは寂しいことではなかった。人々が歩いている、それぞれの店番の人と話す声が聞こえる、建造物や向こうに見える山の美しさが心を揺らす、乾いた土の匂いが自分を