記事一覧
急病のため、次回の投稿は十月になる予定です
Q四企画
連載小説 hGH:12 終
マジック一で迎えたホームのナイトゲームの当日、私は選手たちよりも早い午前中に球場入りした。きのうの夜にテキストメッセージを送った柴田はすでに一塁側のダグアウトで待っていた。グラウンドに選手やコーチやスタッフたちの姿はまだない。グラウンド整備の職員が数名いるだけで、球場はがらんとしていつもより広く感じられた。
「どうしたんですか、GM。こんな早い時間から話があるとは。しかもきょうこれから優勝が決
連載小説 hGH:11
ペナントレースの優勝マジックが一になった。
私はきょうの自軍の試合をGM室の大型モニタで観戦していた。ビジターのナイトゲームで見事な逆転勝利をおさめた試合だった。今回の遠征は、スケジュールの都合上チームに帯同せず、地元に残って球団業務をこなしていた。遠征中のすべての試合に勝っても優勝は決まらない状況だったこともあり、むりにスケジュールを調整する必要はなかったのだ。
逆転勝利とはいえ、きょうの
連載小説 hGH:10
ベンソンのほんとうの帰国理由がわかった。
委託企業に調査を依頼して二週間ほどで報告が入った。調査員が直接球団事務所にやってきた。書面と口頭の両方で詳細に報告を受けた。
私はその調査結果にすくなからずショックを受けた。予想していたものと内容がかなりちがっていたからだ。帰国と退団の原因はベンソンにはまったくなかった。すべて、ベンソンの妻にあったのだ。
ベンソン夫妻はもともと日本の文化にリスペク
連載小説 hGH:9
ベンソンの帰国理由がわかった。
ベンソンの代理人から連絡が入ったのは翌日で、ベンソンの完全帰国と正式な退団の意向を聞かされた。球団としては本人と話したかったが、法を駆使した文言を盾に、直接ベンソンと連絡をとることを禁じられ、本件を深く追求することも禁じられた。年俸は、日割り計算で早急に振込むよう指示してきた。随所に米国の法をちらつかせての要求だった。どちらが被害を被っているのかわからない、ずい
連載小説 hGH:8
ペナントレースの公式戦がはじまった。
チームは開幕から好調なスタートを切り、同一カード三連戦を二勝一敗のペースで順調に勝ち星を重ねていた。どの試合も投打の歯車がしっかりとかみ合った理想的な戦い方をしていて、敗けた試合でも内容は悪くなかった。現在ペナントレースで首位を独走している。戦力的にもうちが頭ひとつ抜けた状態で、とくに攻守のバランスに秀でたチーム編成になっていると私は自軍の現状を分析してい
連載小説 hGH:7
六億でも落とせなかった。
足もとを見られた。選手本人にではなかった。代理人と代理人の会社にだった。
結局、出来高をふくめて七億円で契約が成立した。むこうのいい値が通った形になる。うちの球団のなかではダントツで最高年俸だった。ほかの選手のことを考えると、契約は『裏』にせざるを得なかった。
代理人は一時期日本に住んでいたこともあるという米国人だった。うちの戦力を詳細に分析していた。うちがベ