御堂狂四郎

たくさんの人に読んでほしくて、文章を書いています😄 よろしくお願いします✨

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最近の記事

御堂狂四郎と運命の暗号

 ザム氏が青ざめた表情で俺に言った。 『こ、これは…!御堂君!君はなんと不幸な男なのだ!』   『えっ、なにがですか?』 『ワシが今、占いを学んでいる事は知っているね?』 『ええ、知っていますよ。今やってるあみだくじもそのひとつでしょ?』 『そうだとも!その占いの結果、とんでもない事が分かったのじゃ!おお、なんという事だ…』 『な、何が分かったのですか?』 『それはワシの口から言うわけにはいかん…。恐ろしい事になる…』  俺があみだくじを覗こうとすると、ザム氏は大急ぎで紙を

    • 御堂狂四郎のタイマー談話

       おや。  ソファーに横になっていると、スピーカーから流れてくるYUKIの歌が、やけに鮮明に聴こえている事に気付いた。  これはすごい!それまでは気付かなかった部分に気付いたり、あの時のアレと今のコレの共通点に気付いたりする。  どうせすぐに忘れるんだろうけど、今この瞬間に限れば大発見なのだ。 …  トロみのある煙の向こうで、ヒロがニヤニヤとしまりの無い顔でこっちを見ている。なにがそんなにおもしろいの?と聞くと、プッと吹き出し、ゲラゲラ笑い出した。ねぇ、何がそんなにおも

      • 御堂狂四郎のトイレアレコレ

         トイレはすごい。  人間の汚い部分を一手に引き受けている。ヤバい時に助けてくれる頼もしいやつだ。  実際、僕は危機を人間よりトイレに救われた回数の方が多い。人間はどちらかと言うと危害を運んでくるけど、トイレはいつ行っても助けてくれる。高額なお金も取ろうとしない。本当に優しいやつだ。  そんなトイレにも、たまに良くないのがいる。もちろん、トイレに人格は無いので、良くないようにしているのは作った人間か所有している人間なのだが。刃物や金やロボットと同じで、悪い人が持つと良さが

        • 御堂狂四郎、強敵達への宣戦布告

           絵描君、やはり来たね。  ここでこんな形で再会するなんて、やはり僕らは生まれついての敵同士、どうやったって戦う運命にあるらしいな。    まったく不思議な話だと思わないか。  だって、考えてみてごらんよ。僕と君に、何の違いがある?同じような町に住み、同じような物を食べて、同じような服を着て、同じような恋をし、同じような事をしてる。本当なら、そんな人同士は、友達や仲間同士になると思うんだ。  ところが、僕らはそうはならなかった。互いを意識し、水面下で批判し合った。手を取り合

        御堂狂四郎と運命の暗号

          御堂狂四郎、愛したゲームにまつわる小話

          ロックマン8 メタルヒーローズ  ロックマンシリーズはどれも面白くて大好きだが、8には特別な思い入れがある。  保育園の頃、僕の家で一緒にロックマン8を遊んだY君が『僕も買ったよ、ロックマン』と、自分でも購入するぐらい気に入ってくれたからだ。  自分が良いと思って紹介した物を、誰かが良いと思って手にしてくれる。当時からそうした事に喜びを感じていたのだなぁ、と思う。    ロックマンはゲームより先に、漫画家の有賀ヒトシさんが描いた『ロックマンメガミックス』を読んで好きにな

          御堂狂四郎、愛したゲームにまつわる小話

          御堂狂四郎、親愛なるマイノリティの仲間達へ手紙を書く

          『しかしなんでもああ言えば通ると思ってるんだから。何ていうか、かわいくないよね。僕は、ああいう人は、味方したいと思わないな』 『バカだなぁ、御堂君。人間はみんな同じだよ。そもそもかわいくもなければ、かわいそうでもない生き物なんだから。傲慢で、欲張りで、弱くて、目立ちたがりで、みんな同じだよ。どんな人であろうと差別しちゃいけないよ。気が狂ってようが、手足がなかろうが、生まれついて不利な立場に居る人だろうが、悪は悪だ』 『君の言う通りだ』 『もちろん、その逆もね』 …

          御堂狂四郎、親愛なるマイノリティの仲間達へ手紙を書く

          御堂狂四郎、南へ

           北へたどり着いた御堂。淀は、ボウメイ!ボウメイ!とキャーキャー言ってる。他の名前も知らないメンバーは旅を楽しむ感じでもなく、怪しげな文庫本を読んだり、難しい顔で独り言を言ったりしている。御堂は、辺りを見渡した。日本とあまり変わらない風景、少しガッカリした。もっと、雲海に包まれた古代遺跡や角笛の音色響き渡る大自然を求めていたのに、これじゃあ何もつまらないと思った。  一行は廃校になった学校の校舎を根城に当てがわれた。で、ここで何をするのかと案内役の男に尋ねると、聞いた事の無

          御堂狂四郎、南へ

          御堂狂四郎、北へ

           パスポートで受付を切り開き、難攻不落の身体検査を潜り抜け、命からがら13番ゲートに辿り着いた御堂狂四郎。ようやく北行き便の飛行機に搭乗した。  エコノミークラスに座って、一息。人造人間さながらの黒髪スチュワーデスが繰り広げる、飛行機が墜落した際のレクチャーも上の空、機内食もそっちのけ、御堂狂四郎はアイマスクの下で北への旅に思いを馳せていた。  御堂は北が好きだった。まさに寒くて幻の世界。グーグルマップが地球を解剖した今、この地上に残されている秘境といえば、人間に備わる神経の

          御堂狂四郎、北へ

          蟹と戦争

           とにかく俺は蟹の夢に脅かされてた。  起きたら砂漠のど真ん中に建ってる真四角の塔に寝てて、強烈な光で目が覚めたんだ。何事だと思って、窓から地平線を見ると、遥か彼方に虹色のキノコ雲がひとつ。そして、無数の巨大な蟹が津波のようにガチャガチャガチャガチャ、灼熱の熱湯と化した海から逃げ、泡吹きながら、そのクレーンみたいな脚をゾゾめかしてこちらに走ってくる。目は正気じゃない。蟹の正気も狂気も区別はつかないけど、その状況だと何もかも狂気に見えるよね。俺は世界の終わりを見た気分だった。実

          薬の花

           夜のカフェテラスでアブサンを飲んでいると、ミズキが言った。  僕と君が死んだら、みんながありとあらゆる罵詈雑言を使って罵るだろうね。だってさ、僕らの骨は青いエクタールで染められてる。血は緑色だし、隠し通せやしない。僕らのひみつは暴かれる運命なんだよ。  俺は、こいつはバカだなと思って笑った。気取っていて、詩人気取りで、何も分かってないくせに知性を振り撒こうと必死になっている。俺はこういうやつが一番バカだと思っていた。ただし、それは俺も同じだった。  折れ曲がった針や、カプ

          新兵器

           新兵器がついに完成した。  ボロボロになった技術者達、ビタミン不足をアンフェタミンでどうにか補い、不眠不休であらゆる神経を擦り減らしながらやった。  完成の瞬間、技術者達は血を吹いてバタバタと倒れた。まるで戦争だった。黄色い目を回し、痙攣したかと思うと失禁し、血混じりの糞と崩れた内臓を一緒くたに排泄し、役目を終えて地へと吸い取られていった。  立札が有る。  人殺しの手口を生み出しておきながら、天国へなど行けるわけがない。  これを見た技術者達は震え上がった。そして技術者

          I Fought The Law

          〜金が欲しかったんだ、だから法律と俺は戦った〜  …    あんたが何でその事を知ってるのか知らないけど、こんな犯罪者の昔話が聞きたいってくらい退屈してんなら話してやるよ。  そうだ、あの日は夏の無茶苦茶に暑い日だった。よく覚えてるよ。  俺は十五か十六だった。仲間のルディと二人で、俺がガキん時に入れられてた施設に盗みに入ったんだ。  筋書は決まってた、施設の裏口から入って、施設長のジジイの部屋から金をいただく。裏口の錠前は常にロックされてんだけど、あそこの錠前は他んとこ

          サイボーグとクローン人間のカップルの健康診断

           慎吾は開かれた自分の左腕を見つめていた。  赤くて艶のあるグリセリンのような塊と無数のコードが剥き出しになっている。  赤い塊は彼の細胞と特別な有機体を掛け合わせて作られた人工の筋肉、コードは神経の束。それらがとても小さな歯車やシャフトと複雑に絡み合い、金属の腕の中に収められている。  そこから、彼の主治医であり制作者でもある佐山愛泉博士が、摩耗した歯車や錆びた部品を摘出し、新しい物に取り替える。  静かな部屋に『チ…チ…』と、とても小さな金属音が響いた。慎吾はこうして自

          サイボーグとクローン人間のカップルの健康診断