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三郎 丸
2024年6月13日 05:40
もし僕たちが猫だったらずっと一緒にいられたのにね日がな窓の外を眺めたり鳥を追いかけてみたりそうやって一日の終りに一緒に眠ることができたりして。一度だけかけちがったボタンの間で苦しむことやちょっと性格が違うくらいで進む道が正反対になってしまうことや自己肯定感みたいなややこしいものにとらわれてあなたが大切だという気持ちを見失うことが、なくて。僕たちが道で偶然出会った野良猫同士だった
2024年4月3日 03:28
花の芥希望の芥眼窩の奥に散り積もる光の芥若葉の芥鼓膜の裏に積もりおるのどけき、春の光さやけき、青々しい始まりかしまし、春の始まりむず痒し、初々しい暖かさ鈴懸の木よ氷のかけらのように光の煌めきのようにそういえば聞こえは良いがたんぽぽの綿毛のしつこいののように砂埃の厄介なやつのように頭蓋の奥の奥の方まで海馬の表層まで百会が噴火するまで粘膜を侵す鈴懸の子
2024年4月1日 04:22
彼の人のいない、世界が始まる。うろろろろ うろろろろ底の抜けた 慟哭の向こう側で夜が口を開けているうろろろろ うろろろろ風が 丘を吹きすさぶ朔風がこの風穴の空いた顔を無遠慮に通り抜けるうろろろ うろろろろろろ声のない 喉の代わりにしつこく、それはすさまじく生身をば弄ぶ白い身体は血の抜けた証閉じた瞳は解放されたやすらぎ薄く開いた唇のこのごろ見ない穏やかさは 息
2024年3月31日 05:11
私が口を開くともうずっと止まらないからサヨナラを先に伝えて夕暮れまで座っている私がボールを持つと周りをみんな跳ね除けてしまうからサヨナラを先に伝えて一人毬をついている私が鉛筆を持つと全部真っ黒になるまで塗りつぶしてしまうからサヨナラを先に伝えて君と違うノートに向かっている私が靴を履くと夕日のその袂まで歩いていってしまうからサヨナラを先に伝えてお友達になんかならな
2023年3月21日 05:51
早春の訪れを告げる雹と嵐が去ってまだぐずぐずとした蒼色の東の空に特別に許された高度で人間の愚かな建物群を見下ろす高さで、西の丘から覗く最後の日の光を受けた海鳥が隊列をなして白く金色に輝く洞穴に暮らして久しく陽光を見れば視力を失う人間たちはその眩い背中を見つけて1日の終わりを知る雨の底にわずかな腐臭を漂わせる小さな街の小さな日曜日が百合鴎の背中に乗って明日へと去
2022年11月19日 02:09
赤褐色の太陽を見た古い血の色をした暗い青空に浮かぶ而して夜行性動物の瞳を焼く生まれたばかりの卵黄のような輝き。地上を追われた歩くだけしか能のない猿は空を飛ぶ翼に乗って終わりのない旅をしているあのころ青空に輝いていた白銀色の若い太陽は死に飛ぶ鳥もいない空に打ち付けられた鈍色が人工的な彼らの目を焼くそんな腐った太陽の輝きにも光は未だ残っているらしく他に行く場所もしらな
2021年9月23日 03:23
秋の夜長のだらだらした街に雨が降っている時に書いたものたちです。なんだかいつも五七五七七にはならない都会になりきれない街の大きな公園にて
2021年4月14日 16:48
吐き、飽きが違えて鳴く空の夏季、呼気が途絶えて明く空の絞り絞れて千切れるほどに筋は違えど血の色深し新緑もまた新緑の溶けぬ声こそぼとりと落ちて不格好な手足をバタバタさせて、目がくらくらするほど若い山。絶え絶えなる息をするほどばらばらと、結びの管は解かれて汗と脂と糞の流れ出たる、からだ、体が溶け出して指の先、足の先、一つ一つの管が窒息で泣いて、破れて割れて流れ出す。ひっ
2018年11月26日 22:54
20平米もない小さな居間に一人分の布団を敷いて高くはない天井をじっと見つめるように二人の体が横たわる雨戸越しに、虫の声が聞こえてくる絡み合う指先の柔らかな冷たさにただ二人当てもない静かな夜の海を板戸の上で漂っているかのような底のない心細さを思わされるオレンジ色の暗い明かりが四方の壁を鈍い灰色に照らすのを見ると誰もいなくなった暗い暗い夜の海を二人箱舟で彷徨っているかの
2019年11月26日 08:47
深く差し込んだ橙色の光が、濃い群青の砂漠の空を執拗に照らしている。西の丘はその背後に背負った橙色の光に焼かれて、真っ黒な影を砂漠に落とす。群青色と橙色とが争って、濃厚な卵白のごとく浮かぶ雲を一つ二つと染め上げる。暗い暗い夜がやってくるのを知りながら、今一時はその迫り来る孤独を忘れて回り続ける地球を見ている。シンとした、うるさいほどの沈黙。騒がしいほど無口な黄昏の色。その手