四月十九日 芍薬は待ってはくれない
ぱき、ぱち、ぱちり。
物言わぬ花と言うけれど、それはそのはず口を切り取られてるんだもの、花の顔ってどこにあるのか、考えたことはおありかしら、ほらあの公園をご覧なさい、犬と子犬とがじゃれ合っているよ、お尻を嗅ぎ合っている、人間と犬とは親戚かしら、始終私達の股座に、嬉しげに鼻を寄せたりするでしょう、大食漢の花なれば、根こそぎ抜かれたあの日から、飢えて死ぬは決まりごと、はははは植えて死ぬでもいいわ、私達って大体だあれ、わたしとあんたの垣根はどおこ、おひさま追いかけ見渡して、右の鴇