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フランス退屈日記

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19歳からのフランス生活
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フランス退屈日記♯7: 恋

フランス退屈日記♯7: 恋

日本に帰るまであと2ヶ月と少しとなった。ずっと更新しようと思っていたこの日記の存在も宇宙の向こうに置いてきてしまっていた。それでも書きたいことは山のように。

3ヶ月間仏語学習にのめり込んだ僕は疲れ切って、南へ行った。憧れの南仏。電車を乗り継いで意外と簡単に着いてしまったそこには、静けさと、嬉しさと、哀しさと、太陽と、大きな川に、海になんでもあった。

アルルのローヌ川、写真祭、大きな船なんかに泊

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フランス退屈日記♯6: Une vie rangée

フランス退屈日記♯6: Une vie rangée

あー、夢かな。「まって、”夢”って漢字の形って面白くね?それだったらさ”〇〇”もさー」。新宿駅南口に腰掛ける派手な赤いドレスの女とスーツ姿の木偶の坊。何も起きずに目が覚めたら何か無駄にした気がする。足がついてしまうと、もうそこには一人だけの暮らしが広がる。寂しくはない。

みんなが夢中になって暮らしていれば、それでいい。誰にも見つけられることはなくとも、みんなが夢中になって。そんな社会主義的ユート

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フランス退屈日記♯5: 春だったね

フランス退屈日記♯5: 春だったね

ノルマンディーの陰鬱な空気が変わりつつある。街中を歩けば桜なのかは分からないが、桃色の花があの子の笑顔みたいに見える。フランスにも春が〜!

ここ1ヶ月の素晴らしい暮らしをどう説明しようか悩む。それほどにいい暮らしをさせてもらっていると思うし、堂々と「好きだ!」と言えるはずだ。二月には日本の友人たちと一緒に東欧に旅に出たが、旅を終えてから1週間後に僕のホームタウン(と言っていいのか)であるルーアン

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フランス退屈日記♯4: ボン・ボヤージュ

フランス退屈日記♯4: ボン・ボヤージュ

#4 、今回はフランスはあまり関係ない。今回休みの達人であるフランス人に倣って2週間のバカンス(休暇)を取った。最初にオーストリア、次にチェコとポーランド。なぜこんな変なタイミングかというと、ちょうど日本から数人の友人がヨーロッパ旅行に来ていたからで、「どうせなら会いたい」という話になったからだ。

・・・

 パリから夜行バスに乗ってドイツを経由(遂に経由だけで国を踏む)し、オーストリアの西、ザ

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フランス退屈日記♯3: 元日パリ、晴れのち曇り、のち雨。

フランス退屈日記♯3: 元日パリ、晴れのち曇り、のち雨。

 今年は日本より遅れること8時間。有名な凱旋門×シャンゼリゼ通りから少し外れたところで高校時代の友人と年明けした。

 前々日までオランダへ行っており、島に住んでいたときの知人の家に泊まりながら、現代写真の聖地で写真たくさん見てきた。ー色んな意味で素晴らしい国だった、死にかけたけどー。(含みが気になる人は会ったときに聞いてほしい)。
 そしてオランダからホームのルーアンに帰る手前、パリの年明けを体

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フランス退屈日記♯2: 一渦抜けたな、と。

フランス退屈日記♯2: 一渦抜けたな、と。

 最近のSNSは1年前に一体自分が何の渦中にいて、どんなことを思っていたのかということをご丁寧にも教えてくれる。そんなことがある度に「あぁ1年というのは短いようで意外と長いものだな」と不本意にも考えてしまうのだから成長というものがなくて困る。時間というのは本当はとても良い加減なものなんだろう。これはそう考えた方が楽だからという話で、地球がコーヒーテーブルのように平らであると村上春樹が便宜的に説明し

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フランス退屈日記♯1: ちゃんと人間か

フランス退屈日記♯1: ちゃんと人間か

 フランスに渡ってとうとう1ヶ月が経った。「早かったようで長かったなぁ」というのが正直な感想だと思う。1ヶ月もいると街の雰囲気や買い物、フランス語にも少しだけ!慣れるものだったりする。毎日朝早く起きて学校へ行き、休み時間は散歩したり、パン屋さんに行ったり、本を読んだりする。なんだか高校生に戻ったみたいだなと感じた瞬間、半年前の卒業式がやけに遠く感じられたりもした。あの日はどんよりした曇りの日だった

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