高橋 恭介 Takahashi Kyosuke

写真家。島暮らしを終えた18歳。 ご連絡はこちらに kyosuke0834@gmail.com

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    あの気持ち良さに名前をつけよう

    小中からの友達の家に。 近くて遠いような感じのやつ。最初はクールだと思ってたけど、本当はすごい熱かったやつ。なんか俺が仲良い人はみんな、近いのに遠い気がする。 ラーメンを食べ、ドラマや映画を観て、カラオケにいって、語り合う。いつまでも変わらない遊び方。 彼は演劇をやっている。大阪で彼の家に泊まった夜、お互いのことについて話した。彼の熱い演劇の話。俺も写真の話で返す。完全には理解できてはいないだろうけど、確かに繋がる感覚がある。 そして、一つ話題に上がった。「あの気持ち

      • 『なに本気になってんの?』って言われたのをずっと覚えてる。

        確かあれは小学4年生の12月だった。その時期はちょうど学校の持久走大会の練習期間で、僕は張り切っていた。 2時間目と3時間目の間にあるフリータイム(長めの休み時間)に僕は校庭で一生懸命走って練習していた。3年生のときはあまり結果が振るわなかった持久走大会で勝ちたかったのだ。 フリータイムの間に校庭を何周もし、汗だくのまま下駄箱に向かった。下駄箱の前まできたそのとき、汗だくで息の上がった僕に同級生の男の子が言った。 「なに本気になってんの?お前より早いやついっぱいいるんだ

        • 高校を卒業してから1週間が経った。離島だった。

          高校を卒業してから1週間が経った。 今僕は、誰もいない実家のリビングで西陽に照らされている。文字通り、「あっ」という間に時間は過ぎ去った。 中学3年の秋、僕は受験勉強の疲れと自分の想像の範疇に収まりそうな高校生活への不信感から「高等学校進学」という門の扉に背を向けていた。 勉強をすれば偏差値は上がり、選択肢は増えていく。夏にはいくつかの高校の見学へと足を運んだが、どれだけ幅が広がったところで心が躍るような高校を見つけることはできなかった。 そんな時だった、「こういう選

          • 【詩っぽい詩】普通の日々

            どうか教えてください。 どこのどなたでも かまいません、 普通の日々のはなしです 我々の暮らしの中のはなしです。 光がやってきました。 闇路を抜けて やってきました。 それであるのに どうしてでしょう、 彼は 私を釘付けにするのです。 あたたかく やわらかく つつまれるような、 そんな心地になるのです。 彼の出所など ... そう 気付かぬふりを決め込んで。 彼が 私の手を引きながら、 もと来た道に誘うのです。 そして 「先に行っておいてくれ」と。

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            【詩っぽい詩】朝方

            私はそう、あの交差点のむこう 誰にも知られない あの砂浜のよう。 流れ着き、また流れてゆく。 形づくり、またあの水平線へと帰ってゆく。 思い出は増え続け、 また 同時に消えてゆく。 あのとき 貴方はなんと言っていたか。 それが とても悲しく、 また 私を中心へと近づけてしまうのだ。 貴方の左手に 私の 儚くも、強がりで、 実質的な鼓動を走らせる。 そして、想像する。 「また 私は生まれてきたのだ」と。

            「鮭とかツナマヨとかあるけど、やっぱり塩握りだよね」みたいな話。

            当たり前のことだが、人にはそれぞれの「価値観」があり「趣味嗜好」や「物事のプロセス」、「人生の転機」も全く違う。 漫画『ブルーロック(2018〜)』で「人には人それぞれの公式がある」という言葉を目にしてしっくりときた。 自己啓発本などの多くは作者に都合の良い内容だ。 放送作家の知人が「社会で残っていくのは『派手なやつ』より『いいやつ』だ」と言っていた。 天才だと思っていた村上春樹が、エッセイ『職業としての小説家(2015)』の中で「小説家に1番必要な力は持久力なんだ」と

            秘密基地は無くなっていた

            たまに忘れそうになるが、今は島に住んでいる。海にも慣れてしまった。 中学生までの僕が過ごした街に帰った。 帰ってくるたびに街が寂しくなっていくような気がどこかでしている。 旅行店やお弁当屋さん、カブトムシの餌を買ったあの八百屋さんも閉まったきりだ。 眼鏡をかえたからだろうか、見えるものが少し変わって見える気がする。変わったのは僕なのか街なのか。 髪を切ったからだろうか、風をよく感じるようになった。奴らはどこからやってくるのか。 多分他の人には分からないだろうし、別に

            カネコアヤノは実在していたらしい。

            下北沢のライブハウス「shelter」でカネコアヤノのワンマンライブがあった。ライブハウスに入る前と出た後では世界が変わってしまったみたいだ。 カネコアヤノを聴きはじめたのは高校の友達に紹介してもらってからで、確か最初に聞いたのは『祝日』だった気がする。1回目はそんなに印象に残らなかったのだが、こんなにも聴くようになったのはいつからだっただろうか。そうだ、『わたしは光をにぎっている』(中山龍太郎)を観たときからだ。 わたしは光をにぎっている このタイトルは山村暮鳥の詩、

            不意に泣きそうになることがある。

            最近、不意に泣きそうになることがある。よくある。 とてつもなく苦しくて、悔しくて、やるせなくて、楽しい。 18歳というのは夢とか、勝利のこととか、好きなあの子のこととかを考えて、考えてもどうしようもないことを知りながらも考え続けてしまう時期です。俺も例に漏れずそうです。 そんなことを考えているときに泣きたくなる。 この深い闇にはまっていくなような感覚。拒絶して心から締め出そうとする自分と許容しようとする自分。 最近、『ブルーピリオド』という漫画原作のアニメ(12話)を

            自分の恋愛と音楽

            後輩から招待状を貰った 文化祭のステージを終えてから数日後の夜、後輩の女の子から招待状を貰った。「あなたを『第5回 恋愛について語る会』に招待します」と書いてあった。その子とはあまり話したことはなかったけど、以前からなんか興味?みたいなものを持ってくれていたみたいで。 しかも、それを音楽と一緒に紹介してほしいという。自分の恋愛と音楽について。確かに結構結びつきがある気がする。いや、直結している。 あいみょんの『君はロックを聴かない』に「僕はこんな歌で あんな歌で恋を乗り越

            干渉、鑑賞。

            干渉と鑑賞の間の写真 カメラを構える。干渉したいわけではない、だが鑑賞の方のカンショウでもない。同じ空間、同じ目線になりたいわけじゃない。一歩引いた場所で見つめる。想いを巡らす。だが、鑑賞ではない。 決してその場面に干渉はしていないが、切り取った世界は僕の見たままだ。 その「干渉と鑑賞の間に共感や感動の余地が生まれるのかもしれない」。そんなことを最近は考えている。カタチや質感もそうだが、その距離が温度をつくると思うのだ。近すぎると熱いし、遠すぎると冷たい。どうでもいいニュ

            文化祭でバンドをやった。

             この前の夏に文化祭でバンドをやった。同級生のギター2人と後輩のドラム。そしてベースの先生。僕はギターボーカル。バンドなんて一生やらないと思ってた。というかできないと思ってた。でもやった。20分で3曲を。今までにない体験をした。 カネコアヤノ『アーケード』     アーケードはとにかく演奏してて楽しい曲だった。歌詞も「ティーン爆発!」みたいな感じで清々しいのなんの。でも、最初に自分で弾き語りをしてみたときに「これは女性の声じゃないとダメだ」と思って、カネコアヤノを僕にみっち

            雑誌『To Be Dozen』が完成しました!!(購入ページ・完全予約限定生産)

            予約期間 8月1日(月)9:00 〜 8月7日(日)12:00 (購入リンクはページの最後です) こんにちは! 隠岐島前高校3年生の高橋恭介(たかはし きょうすけ)です。今回は、皆さんに重大なご報告がありあります。 なんと… 私が作った、『To Be Dozen』という雑誌の販売が決定しました! ①【なぜこの雑誌を作ったのか?】 私は、2020年の4月に隠岐島前高校に入学しました。 その頃は、ちょうど新型コロナウイルスが流行し始めて数ヶ月の時期。楽しみにしていた高校

            平木茂樹さん -地域で繋げるバトン-

            知夫でその人の名前を出すと、皆さんが笑顔で、「あの人は面白い人だよ〜。一度話してみるといい」と、口を揃えて一言。あまりにも皆さんの反応が同じなので、お会いしてお話を聞く前から、平木さんが”知夫を愛し、知夫に愛されている人”なのだということが容易に感じ取れた。 そのためとても楽しみであったし、平木さんのご自宅に着く頃には、私はもう取材モードに入りつつあった。しかし、初めましての挨拶を終えて私が案内された部屋にあったのは、「待ってました」とばかりに美味しそうな湯気を漂わせる大盛

            井上奈々さん -予定調和を壊した遊びを-

            島前から離れてみる「何より大事なのは、人生を楽しむこと。幸せを感じること、それだけです」。井上奈々さんにお話を伺って最初に頭に浮かんだのは、大女優、オードリーヘップバーンのこの言葉だった。 このインタビューが私にとって「自分は今を楽しめているか」という深海まで届きそうなほどの問いを見つめなおすキッカケになったのは間違いない。井上さんを紹介する際に、どんな肩書きを提示すればいいのか迷う。遊びのプロ、コミュニティで愛され続ける人、それとも仕事が定まらない人か。その生き方はまさに

            小松倫世さん(TAKUHI. cafe & lifestyle) -食の伝統、日々を楽しむということ-

            島らしさとは一体どんなものなのだろうか。伝統文化、大自然、はたまたその他の何かか。皆さんもこの島らしさ、魅力や愛すべき文化について一度は考えたことがあるのではないだろうか。 だが、意外とそういった魅力は日常に潜んでいても気づきにくいのかもしれない。例えば、普段の住民同士のやり取り、毎日のご飯、家から目と鼻の先の海。そんな島暮らしの心地よさのありかを教えてくれた場所が、西ノ島町大山地区にある「Cafe TAKUHI.」だ。                 ⬛️ 住む中で見