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フランス退屈日記♯5: 春だったね

ノルマンディーの陰鬱な空気が変わりつつある。街中を歩けば桜なのかは分からないが、桃色の花があの子の笑顔みたいに見える。フランスにも春が〜!

ここ1ヶ月の素晴らしい暮らしをどう説明しようか悩む。それほどにいい暮らしをさせてもらっていると思うし、堂々と「好きだ!」と言えるはずだ。二月には日本の友人たちと一緒に東欧に旅に出たが、旅を終えてから1週間後に僕のホームタウン(と言っていいのか)であるルーアンに彼らが来た。本当に楽しかったのだけれど、この半年でお互いが「日本とフランスにいるのにあまり遠くにいる気がしない」という違和感(それはいいことでもあるけど、悪いことのような気がして)について話し合い、僕が日本に帰るまでの後10ヶ月連絡を断つことにしてみた。SNS、インターネットは誰とでも繋げてくれるけど、「繋がっていない」そんな感覚が大事な瞬間だってきっとあるはずだ。どうしても伝えたいことがあるときは手紙でも書こうと思う。

といった具合にこの1ヶ月は日本にいる友人たちとほぼコミュニケーションを取らずに、(本当の意味で?)フランスの生活を楽しんでいるわけだ。先月から何が一番変わったかと言われれば、言わずもがな「家と暮らし」だ。

フランスに来てからお世話になっていたホストファミリーとお別れし、駅近のシェアハウスに引っ越した。結構いい立地と造りだが学生向けなのもあり安い。それもあって結構人気な物件らしく、僕が契約した時も「残り1枠で尚且つ他人の内見の予約がある」というギリギリの状況だった。家が決まってから3日で引っ越し、それから3週間。いやー、大満足。

シェアハウスにはフランス人、イタリア人、スペイン人、コロンビア人などいろんな国の人がいて(全員年上だけど)、彼はとても感じがいいし、家にいるときはフランス語と英語どちらも練習できる環境なのはありがたい。週末はルームメイトたちがそれぞれの友人を連れてくるので常に新しい出会いがあるので飽きない。今までは郊外に住んでいて、夕食の時間はホストファミリーに依存していたために夜は出かけずらかったが、今となっては中心地で尚且つ自炊!楽しすぎる!なんか一気に自由になった気がする。

最近はずっと美味しいナポリタンの研究に耽っているのだ。朝起きて近くのパン屋に行き、昼ご飯を確保したら語学学校へ。放課後は少しだけ写真を撮りながら帰り、スパーに寄る。時間があればフランス人の友達と遊んだり、クラブに行ったり、食事を作り合ったり、映画を観たり、恋愛もしている。本当に生活が充実しているときは時間の流れが早い。馬鹿みたいに何の捻りもない表現になってしまう。そしてあと1ヶ月も過ぎる頃には4月の風が心地よく肌をくすぐるんだろうと想像できる自分でいる。友達と呑みに行った帰りに韓国人のおばさんに道端で声をかけられて、そのままバーに連行されても一緒に楽しく飲んでしまうのだ。そしてそこにフランス人たちが「お決まり」とばかりに集まってくる。アーティスト、元役者の愉快なおじさん、元々はすごく美人だったであろう老婦人。そんな人たちとのこんな生活をフランスの埼玉みたいな街で送っている。

そう、だから要するに
「楽しくやってます!」です。

植物園で出会ったご夫婦


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