なぜあの人がリーダーだとメンバーが生き生きと動くのか?
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どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。
共育LIBRARYりょーやん、元教師です。
令和になり、スーパーマーケットでセルフレジを活用する人たちが増えてきました。
ファミリーレストランでは、タッチパネルで注文を頼み、ロボットが料理をもってきれくれるお店もあります。
中国の深圳という都市では、注文、調理、配膳、片付けまでが全て自動化されているお店も、5年以上前から既に存在しています。
単純な仕事はAIに任せることができるようになる時代。
裏を返せば、AIに人間の仕事が奪われるかもしれない時代。
その未来で、AIが人間の代わりを務めることができないと言われている仕事が「マネジメント」です。
マネジメントは、組織やチームをよりよい方向へ導いていく力です。それも、メンバー間の人間関係を調整しながら。
そして、そのマネジメントには、バランスのよいリーダーシップが必要になります。
温和で人あたりがよいリーダー。
誰かに寄り添うことが得意なリーダー。
人を元気づけるリーダー。
人を管理することで動かすリーダー。
リーダーの形は様々です。
しかし、よいリーダーの条件というものは、実はほぼ答えが出ています。
そのたった1つの視点をもっていれば、「周囲の人間のリーダーとしての力」を見抜いたり、「理想のリーダー」に近づくための努力を行うこともできるでしょう。
この記事では、リーダーシップというものを構成する原理原則の部分をお伝えします。
会社、チーム、家族など、様々な組織で使うことができる考え方です。
「知っているだけ」で、「人間」を見抜く多彩な視点が生まれるはず。是非、最後までご覧ください。
リーダーシップは2つの構成要素でできている
サーバメント型リーダーシップ、変革型リーダーシップ、管理者行動論・・・
様々あるリーダーシップ理論の中で、最も分かりやすく、最も汎用性があると、筆者が考えているものがあります。
それが、「PM理論」です。
「PM理論」とは、日本の社会学者、三隅二不二(みすみしゅうじ)氏によって提唱された行動理論です。
「P」はPerformance(パフォーマンス)の略で、「目標達成機能」を示します。
「M」はMaintenance(メンテナンス)の略で、「集団維持機能」を指しています。
「目標達成機能」の具体的な行動を以下にあげてみます。
・ビジョンを示す
・目標を示す
・計画を立てる
・指示をする
・規則を定める
・解雇をする
これは、集団の向かう先を示し、引っ張り、鼓舞し、目標を達成させる力です。
決断力、冷静さ、分析力、計画性などの資質が求められます。
父性と置き換えてみてもよいでしょう。
対して、「集団維持機能」は以下のような行動を指します。
・悩みを聞く
・一人一人を尊重する
・傾聴する
・共感する
・感謝や労いの言葉を掛ける
これは、組織内の人間関係を調整し、相互の信頼や円滑なコミュニケーションができる雰囲気を培っていく力です。
人を思いやる気持ちや、集団全体を見て一人一人の感情の機微に気付く力、献身性などの資質が求められます。
集団や組織に安心感と温かみを与えるお母さんのような存在、つまり母性と置き換えることができます。
この2つの要素をどれだけバランスよく持っているかによって、リーダーとしての器の大きさを測ることができるのです。
4つのリーダーの資質区分
目標達成機能が強い場合は「P」、弱い場合は「p」と表記します。
集団維持機能が強い場合は「M」、弱い場合は「m」です。
この4種類の組み合わせを考えると、リーダーの資質を大きく4つに区分することができます。
それが
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❶pm型
❷Pm型
❸pM型
❹PM型
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
です。
順々に見ていきます。
❶pm型
「pm型」は目標達成機能も、集団維持機能も弱いリーダーです。
組織の方向性を具体的に示すことができない。
指示や業務内容が曖昧。
共感や寄り添う姿勢もなく、組織のメンバー同士のつながりをつくることもできない。
これでは、集団を動かすことができなくて当然です。
そして、成長を感じることもなく、メンバー同士の心の充足感も薄い。
このようなタイプの人間がリーダーを務めざるを得ない場合は、組織はみるみる腐っていき、たちまち瓦解してしまうでしょう。
❷Pm型
これは、目標達成機能は強いのですが、集団維持機能は弱いリーダーです。
このタイプのリーダーが率いる組織は、仕事の成果は出ますし、個々人の成長を感じることもできます。
ただ、組織内でも競争ばかりで、人間関係がギスギスしており、全員がライバルといった雰囲気が出ている可能性が高い。
一見、成果が上がっているので「うまくいっている」と勘違いしてしまいがちですが、組織内は、愚痴や不満、足の引っ張り合いが頻繁に起きがちになります。
そして、メンタルにダメージを負いやすく、病休になってしまったり、チームや会社を辞めてしまったりする人が出てしまいがちなのです。
令和5年度に話題になった「ビックモーター社」はこのタイプの顕著な例です。
成長はしているが、中はブラックという組織をつくってしまいがちなのが、「Pm型」のリーダーなのです。
❸pM型
❷の対極が「pM型」のリーダーです。
組織やチーム内の仲は悪くない
コミュニケーションも円滑に行われている。
しかし、成果や成長がなかなか実現できない。
それが「pM型」です。
チームではなく、「なれあい集団」をつくってしまいがちな傾向があります。
寄り添い、共感し、人と人をつなげる力はあるのですが、目標や方向性をはっきりと示し、時には厳しい決断もできるという「目標達成機能」が弱いのです。
部活などのチームなら瓦解することはないかもしれませんが、会社であれば、売り上げが上がらなくては倒産してしまう可能性があります。
現在の日本は資本主義社会。
利益や売り上げを求められる組織に所属している以上は、「M」だけでは生き残ることは難しいと言えます。
❹PM型
最強なのは「PM型」のリーダーです。
明確な方針やビジョン、目標を立てることができる。
その軸からズレているときは、速やかに修正できるような分析力も併せ持っている。
そして、成果を出すために、皆を激励したり、時には言いづらいことも、しっかりと理由を説明しながらも伝えることができる。
加えて、メンバー一人一人のことをよく観察しており、小さな貢献にも感謝を示し、労いの言葉をかけてくれる。
適度に雑談も交え、笑いもあり、程よい緊張感が組織内に発生している。
それが「PM型」です。
ただ、上に述べたような「PM型」はかなり完璧な状態を指しています。
ここまでの完璧さは、もって生まれた資質や、これまで歩んできた人生にある程度規定されてしまいます。
ただ、組織全体を少しでも「PM」が作用している状態にもっていく必要はあります。
「活性化した組織」をつくるために今からでもできることは何なのか。
次章では、それを解説していきます。
「P」と「M」の両方を発揮するためには
「PM理論」を生かして、組織やチームをよりよい状態にもっていく方法は2つあります。それが
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
❶自分の「P」と「M」のバランスを分析する
❷自分に足りない部分をもっている部下を生かす
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
の2つです。
❶自分の「P」と「M」のバランスを分析する
「自分がリーダーになると、なぜかギスギスしちゃうんだよなぁ・・・」
「仲はいいんだけど、なんか張り合いがないんだよねぇ・・・」
そう感じている人がいたとしたら、その人は、既に自分がどのようなリーダータイプなのかを分析できている人です。
なぜかギスギスしてしまう「Pm型」である場合は、メンバーに対しての声かけを大切にしてみる。
労いや感謝の言葉を多くする。
という「調整」を行うことができます。
「成長・成果が足りない」と感じている「pM型」である場合は、具体的な数値を入れた目標設定や、明確な指示やノルマを設定することで、調整を図ることができるはずです。
そして、そのような調整を図りながらも、ほんの1ミリでも「PM型」のリーダーに近づくことを意識して仕事をしていけば、自然と「P」と「M」の両方の力が付いていきます。
ただ、筆者は「人間が生まれ持っているそれぞれの良さ」を生かせば、過度な努力をしなくても組織は回ると考えています。
だからこそ、周囲の力を頼るのが次のやり方です。
❷自分に足りない部分をもっている部下を生かす
自分が「目標達成機能」が得意なリーダーであれば、右腕に「集団維持機能」が得意な部下を置くとよいでしょう。
逆に「集団維持機能」が得意なリーダーであれば、「目標達成機能」が得意な部下を置いて、リーダーに進言する形にすればよいと思います。
実は、うまくいっている組織や会社というものは、自然とこれらの役割分担ができている場合が多いのです。
例えば、社長が創業者であり、0から起業した会社であれば、その社長はかなり大文字の「P」をもっていることは明白です。
ただ、人間は「完璧な存在」ばかりでは、当然ありません。
大文字の「P」の経営者でありがちなのは、自分のもっているビジョンや目標がどんどん先に行き過ぎて、周囲との乖離が起きていくということです。
「成長」ばかりに目を向けていると、「チームづくり」に意識を分散できなくなります。
だからこそ、経営者自身の「P」がかなり大文字であるならば、しっかりと組織内の状態を管理でき、メンバー内の人間関係を調整できる「M」のプレーヤーを右腕に置けばよいのです。
HONDAの創業者である本田宗一郎さんの横に藤沢武夫さんがいたように。
ソニーを創りあげた井深大さんと盛田昭夫さんのように、です。
何も自分を否定する必要はなく、きちんと自身を分析し、自己調整するか、配置を調整するかを意識していけばよいのです。
まとめ
このPM理論を解説するために「会社」を多く例にあげて説明しましたが、これは全ての人間関係にあてはまる原理原則です。
教師であれば、
明確な学級のゴール地点や成長の道筋を分かりやすく子どもに落とし込み、それを実現するための再現性ある手立てを打っていく。
その上で休み時間には子どもと遊んだり、雑談したり、授業でも笑いやメンバー間の交流を大事にする。
家庭であれば、
子どもに教育の方針をしっかりと伝え、家庭内のルールをきちんと整備する。
子どもの意思を尊重し、物事の説明を丁寧にしつつ、毎日のコミュニケーションや家族で楽しい時間を過ごすこと、ちょっとした感情の変化に気付くことを忘れない。
人間が途方に暮れてしまうのは、「何をしたらよいのか分からなくなった」時です。
この「PM理論」の視点があれば、自分には今何が足りていないのかを分析し、バランスを調整するために具体的な行動を起こす方向性が分かるようになります。
自身や組織全体のバランス調整に、是非、使ってみてください。
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いつもいつも、最後まで読んでくださり本当にありがとうございます!
明日の記事は
「となりのトトロ」とヤングケアラーの意外な関係性
です。
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(2023.10.30~11.5 予定)
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【火曜日】
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