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相手のことを考えるから見えるものがある

 なんでみんなで飲みに行こうって言っていたのに先に帰っちゃうかな。本当空気読めよ。みんなで言って親睦を図ろうって直属の上司が言っていただろ。上司の機嫌は悪くなるし、評価も下がるだろ。本当に何を考えているか分からん。明日なんで先に帰ったのか問い詰められても知らないぞ。
「この前さ、うちの同僚のちょっと変わってる人間が部署みんなで飲みに行こうって言ってたにも関わらず、同僚が先に帰るからと告げて帰っちゃったんだよな。空気の読めない人間っているよな。」
「そうなんだ。まあ確かに空気の読めない人間っているよな。」
「そう。それで上司は機嫌悪くなるし、飲み会でも上司はその人の愚痴をずっと言ったりしていて、こっちまで気分悪くなるよ。」
「愚痴をずっと言ってたんだ。そういうのって気分悪くなるよな。酒も不味くなるし。でも俺のところも近いことはあるかも。」
 その帰った人の気持ちがなんとなくでも分かる。
「そうなんだ。どこにでもあるのかな?」
「どうだろう。でもあるかもしれん。」
 でもそうやって上司の愚痴を聞かされるからその参加しなかった人も行きたくなかったんじゃないかとも思う。わざわざ仕事の時間以外で上司の愚痴を聞かされたらたまったもんじゃない。
「その人ってたまには参加するの?」
「うん。たまにね。でもなんか楽しくなさそうなんだよな。そわそわしてるって感じで。また直属の上司が自分のところに来いって言うもんだから余計かもしれないけど。まあ根本的に相性が合わないのだろうな。上司も自分に合わせろって気持ちが根っこにあるからね。」
「だからじゃない。だから行きたくないんだよ。だって仕事の時間はもう過ぎてるわけじゃない。飲み会も仕事の内だって、さすがに今の時代言わないだろうからさ。だからそれにも関わらず興味のない上司の愚痴を聞かされるから嫌気がさしてるんだよ。」
「そうかな。」
「うん、まあ今まで聞いたのを俺なりに考えただけだから、あまり参考にならないけどさ。でもちょっとその人の立場や感情を想像してみるとなんとなく分かってくると思うよ。」
「確かに。まあ俺も正直直属の上司から愚痴を延々聞かされるのは嫌だもんな。しかも仕事と関係のない家族の話やその上司にとっての上司の愚痴だったりして。あいつも関係のない話をされてうんざりしているんだろうな。確かに話していたら、その同僚の気持ちが分かってきたわ。今までは大人なんだからと思っていたけど、そういうことでもない。」
 なんとなくその同僚の気持ちも分かってきた。でもこれってその同僚以外のことにも使えそうだな。得意先にも使えそうだし、俺の上司にも使えそう。相手の気持ちや立場を想像することで見えてくることがある。
 見えてきたらその適切な対処法が見えて、自分の評価や成績にも反映されそう。なんか聞いて得した感じだな。

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