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【noteで学ぶ腸内細菌49(番外篇):地球の『異物』を浄化する細菌】

 こんにちは(o・ω・o)カエルです。

 今回は番外篇。
 
 カエルが興味津々で学んでいる『細菌学』と、カエルが興味津々で楽しんでいる『アニメ』に大変興味深い繋がりがあった。
 という情報があり、面白い話だったのでnoteにまとめます。
 
 ちなみに情報元はこちら。

 ジブリです!(ドン!)

 この動画の中で、『風の谷のナウシカ』の"腐海"のモデルになった環境のエピソードがあります。
※動画内6:12辺り

 ナウシカや腐海についてはあまり説明は要らないかもしれませんが念のために解説しておくと、

『風の谷のナウシカ』はスタジオジブリの初劇場版アニメーション作品。(正確には制作はトップクラフト)


"腐海"とは、作中の汚染された世界(崩壊した科学文明の末路)の中で、さらに人が暮らせない環境をかたどる"巨大な菌類の森"のこと。

 この腐海の中では、人は防毒マスク無しでは生存できず、マスク無しで腐海に立ち入れば肺が汚染され、10分ともたず死んでしまう。
 という毒された場所。
 
 しかし腐海の真実は、人間が汚染した世界を浄化するために生まれた(造られた)システムであり、腐海の底。腐海の地下には浄化された空気と水と土で構成された環境があった。

 というもの。
 まあ、この辺りを知らない日本人の方が少ない設定。
 
 
 で、この『腐海』のモデルになったのが、
水俣病に汚染された熊本県水俣市の水俣湾です。
※動画内10:11辺り



 水俣病とは、1956年に熊本県にて起きた公害病のこと。
 チッソ水俣工場の廃液に含まれたメチル水銀化合物に汚染された海で捕れた水産物を人々が口にし、メチル水銀化合物(有機水銀)による中毒性中枢神経系疾患を発症した「公害の原点」とも呼ばれ、犠牲者が多いことでも有名な病気です。

 1997年(平成9年)7月29日、熊本県知事が水俣湾の安全宣言を行い、同年10月から漁が再開されました。
 
 つまり41年もの間、水俣湾は『汚染された環境』だった訳です。
 
 
 
 さて、ようやく本題ですが、この汚染された水俣湾は長い時間が経過したから正常な海に戻ったのではありません。
 
 時間と共に有害な有機水銀が無毒化し、海の生物が人間にとって無害なものになったのではないのです。
 
 このnoteを読んでいる方にはもうお解りだと思いますが、この汚染された水俣湾を浄化し、風の谷のナウシカの腐海のモデルになったもの
 
 それこそが水俣湾に分布している『細菌』だったのです。

メチル水銀で汚染された水俣湾の海底のヘドロからは多くの水銀分解菌・耐性菌が見つかり、しかもそのメチル水銀を金属水銀とメタンガスに分解していました。
なお、金属水銀は気化して自然の物質循環に組み込まれていきます。

要するに、目には見えない微生物がメチル水銀という有毒な化学物質を分解することで水俣湾の汚染を浄化していたわけです。

※本文より抜粋

 さらに、この論文の中では以下のように解説されています。

水俣湾と対照地点の底質より
□Bacillus属
□Pseudomonas属
□Corynebacterium属

の細菌をそれぞれ分離し、これらの細菌の水銀化合物に対する耐性を比較したところ、水俣湾底質中では水銀に耐性 のあるPseudomonas属の細菌ばかりでなく、一般に水銀に耐性が低いBacillus属の細菌のなかにも水銀濃度に比例して水銀化合物に対する耐性菌が出現していることが明らかになった。

 つまりこういうことです。


✅水俣湾が工業排水で汚染された時から、細菌は環境を汚染する有毒な水銀を分解するために進化

✅40年以上の時間をかけ海を無害なレベルまで浄化した

 
 はえー(o・ω・o)細菌の力ってすっごい。
 
 水俣湾の海底、及びその周辺地域は、風の谷のナウシカの世界観の縮図だった訳ですね。
 
 はえー(o・ω・o)水俣病という公害問題から『風の谷のナウシカ』を創り出した宮崎駿すっごい。
 
 

 さて。
 
 我々ヒトの体外(皮膚)・体内・そして腸内には100兆個〜1000兆個、重さにして1.5kg相当の細菌が生息、共生していることが解っています。
 
 ヒトがヒトに進化する前から細菌と生物は共生し、共に進化してきました。

 では、
  
 現在の私たちの体内にいる細菌は進化しているのか?
 もしくは私たち自身が細菌に適応し進化しているのか?
 
 答えはYESです。
 
 例えば、

日本人の腸内細菌の最優勢菌は『バクテロイデス属』もしくは『フィルミクテス属』です。
 
ですが、アフリカ周辺に住む人の腸内細菌の最優勢菌は『プレボテラ属』の細菌であることが解っています。
 
そして日本人にとって特定の『プレボテラ属』の細菌は悪玉菌に近い働きをする、デメリットの方が大きい細菌であることが解っています。
(プレボテラ・コプリ菌はリウマチとの関係性が高い)
 
※なお、バクテロイデス属、プレボテラ属は同じバクテロイデス門の細菌

 
 地域や食生活、文化、これらの環境の差で、同じ人類でも細菌による恩恵の受け方が異なります。
 私たちヒト、そしてヒトに住む細菌たちは、今も独自の進化を続けているのです。
 
 
 細菌っておもしろー(o・ω・o)
 
 
 今回はナウシカの腐海のモデルになった水俣湾を浄化した細菌とその細菌の独自進化について紹介しました。
 
 水俣湾の海底には、その他の海底に住む細菌の100倍以上の水銀耐性を持つ細菌がいるそうです(1992年時点の論文)
 
 もしかしたら、水俣湾周辺の海産物を多く食べる人の腸内細菌は水銀耐性を強く有していたりするのかもしれませんね。
 カエルも熊本と海を挟んだ長崎の育ちなので多少の影響下にあったりするのかも、しれません(o・ω・o)水俣湾の漁が解禁されたのは25年も前の話なので、その細菌たちは既に淘汰されているかもしれませんが。
 
 なんて事を考えたお話でした。
 
 今回はここまでです。今後も面白くて、役に立つような腸内細菌のnoteを発信してまいります。

 最後に良かったら♡スキをお願いします。
 それではまた〜(o・ω・o)ノシ 

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