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それでもオフィスに行く理由(5/7 ②)

1.集合した方が効果的な仕事がある
2.「図書館の勉強」効果
3.時間管理の効率化
4.組織活動を可視化する
5.孤独・孤立を解消する 1/22/2
6.帰属意識の醸成
7.会社の顔(象徴)となる
7+1.似て非なる「デジタルツイン」オフィス

5.孤独・孤立を解消する 2/2

ワーカーが手に入れた働く時間と場所の「選択の自由」。前回、自由の課題として「孤独・孤立」を取り上げました。
もう一つの課題は、自由に見合った「責任」の問題です。これは、「オフィスに行く理由」と直接関係がないように思えますが、新常態オフィスを考える上で重要な論点を示してくれます。

責任の問題

「全員毎日出社」という習慣で埋め込まれていた時間と場所が解放され、ワーカーのもとに舞い降りました。
ただし、この自由は、もちろんワーカーが自ら勝ち取ったものではありません。コロナ禍という外部環境の変化で、棚ぼた的に転がり込んだものです。

また、これはいわゆる消極的自由といわれるものです。消極的自由は「~からの自由」といわれるように、他人から干渉されない自由。
ちなみに、自由論にはもう一つ積極的自由という概念があり、これはより高い価値の実現のために行動する「~への自由」です。

その自由を上手く使えば、ワーカーの仕事を含めた生活を豊かなものにします。しかし、上司や同僚に干渉されない自由を謳歌するだけで、企業全体として業務生産性が下がっては、企業活動は成立しません。
ワーカーは獲得した自由に対して、相応の責任を果たす必要があります。その責任について、一度整理して考えておく必要があると思います。

この事態の根底にあるのは、企業によって管理されてきた時間と場所が、ワーカー個人の判断に委ねられようとしている点です。
有限な時間を巧みにマネジメントすることは業務生産性を高めますが、その執行の責任が分散したワーカー一人ひとりに委ねられたということです。

言い換えれば、ワーカー個々の時間マネジメントに、企業の生産性が支えられているということです。ワーカーの自覚が企業の将来を左右することを、ワーカーも企業も理解することが重要です。

それだけでなく、ワーカーの時間マネジメントは、個人の生活を豊かにし、自身の成長機会を作り出します。
「3.時間管理の効率化」でも述べましたが、仕事の効率化で生み出される時間を、学習機会や家事に配分することで、ワークだけでなく、ライフワーク全体の充実を図ることができます。

これまで、大家族主義をとる多くの企業は、ワーカーの人生を保証してきましたが、現在はそれが難しくなっています。
それは、企業に余力がなくなったことや、終身雇用制をとらなくなったことなどが理由にあげられますが、それだけではありません。
ワーカーの日常的な選択が、日々の生活の質や、自身のキャリア形成に与える影響が大きく拡張したことで、企業がワーカーの生活を丸ごと支えることが構造的に難しくなくなったと考えるべきです。

次は、「それでもオフィスに行く理由」の続きで「6.帰属意識の醸成」を上げる予定です。
どうぞよろしく。

(丸田一如)

<参考>
パーソル総合研究所「テレワークにおける不安感・孤独感に関する定量調査」2020年
WeWork Japan 「コロナ禍長期化における働き方意識調査」2022年

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