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それでもオフィスに行く理由(3/7)

オフィスに行かなくても仕事が成立するのに、「それでもオフィスに行く理由」を考えてきました。

「集合した方が効果的な仕事がある」、「"図書館での勉強" 効果」に続いて、三つ目に上げるのは「時間管理の効率化」です。いずれも、仕事効率を高める効果があることが共通しています。

1.集合した方が効果的な仕事がある
2.「図書館の勉強」効果
3.時間管理の効率化
4.組織活動を可視化する
5.孤独・孤立を解消する 1/22/2
6.帰属意識の醸成
7.会社の顔(象徴)となる
7+1.似て非なる「デジタルツイン」オフィス

3.時間管理の効率化

解放された時間と場所

「全員毎日出社」という慣習によって、オフィスに埋め込まれていた時間と場所。それが、コロナ禍を経て解き放たれつつあります。
解放された時間と場所はどこにいくのか? それは、ワーカーの自由な選択のもとに舞い降ります。

働く時間や場所を選択できるようになると、ワーカーは一日の時間の使い方について、マネジメントが必要になります。
しかし、決められた時間と場所のなかで仕事していた人が、すぐにスムーズなマネジメントができるようにはなりません。

在宅ワークの功罪

在宅ワークではパソコン一台で、一人仕事はもちろん、会議もリモートで十分成立するので、やろうと思えばすべての仕事が在宅で完結します。空いた時間で、家事や育児をこなすこともできます。
そして何より、通勤が不要になり、首都圏で往復時間平均90分といわれる通勤時間を省くことができます。

一方で、在宅ワークは、日常生活との切り分けが難しく、公私の境目があいまいになりがちです。
在宅ワークが増えてくると、同僚や上司とのコミュニケーションも希薄になり、孤立や孤独の不安を感じるようになります。

本来、在宅ワークは、こうした功罪を見極めたうえで選択することが求められますが、ワーカー個人からみた時間効率は、通勤スタイルに比べ、在宅勤務が圧倒的に勝ります。

業務生産性を考慮した時間マネジメント

しかし、成果を含めたトータルな業務生産性を考えた場合、在宅ワークだけが効率的とはいえません。

重要なのは、確実に集合形式の方が効果的な仕事があるということです。対話や議論、アイディア出しといった創造したり、意見交換したりする仕事は相対で行う方が成果が上がります。また、表情やしぐさを含めてその人のことを理解しておく必要がある場合もあります。

ただし、創造的な仕事はすべてオフィスで行うという固定的な考え方も危険です。
マネージャーは、時と場所を巧みに組み合わせてプロジェクトや仕事を進め、メンバーのモチベーションを高めるともに、トータルで業務生産性を高めていくことが求められます。
まだ始まったばかりですが、時間マネジメントができる場合と、できない場合とで、大きな差が生じることは明らかです。

ワーカー自身の時間マネジメント

このことは、ワーカー個人にも当てはまります。働く時間と場所の使い方を向上させることは、会社にも、プロジェクトにも、個人にも共通したテーマです。
時間は誰にとっても有限、場所の働きは創造をはるかに超えるからです。

この点について、コニカミノルタジャパンは、「いいじかん設計」を提案しています。
「いいじかん設計」とは、働く時間を、3つの「じかん」に分類します。
その上で、コツコツ仕事をこなす「作業じかん」をできるだけ短縮し、その分アイデアを生み出す「創造じかん」と、視野をひろげる「自分じかん」を増やしていくというアプローチです。

そのため、現在の業務の質を落とさず時間を短縮し、生み出した時間を使って、業務の価値向上のための創意工夫を行います。そして、まだ足りない知識やスキルを学習することになります。

コニカミノルタジャパン「いいじかん設計」をもとに作成


こうして、ワーカー自身が時間マネジメントを行うことが、自分の成長と会社の発展につながっていきます。

そして、時間マネージメントは、仕事だけに留まるものではありません。
在宅ワークで省かれる通勤時間分を公私に分配しながら、仕事の充実とあわせて私の充実を図る。ワークだけでなく、ライフワーク全体の時間マネージメントがを進めることが重要です。

オフィスの役割

こうした中でオフィスはどのように定義されるのでしょうか。

まずは、個々のワーカーが進める時間マネジメントに対して、オフィスはそれに十分応える場所にならねばなりません。
従来のようにオフィスは経営側が一方的に用意するものではなく、ワーカーに使われてはじめて成立するように変化しています。
ワーカーに選ばれるオフィスになるために、ある意味でワーカーをお客様として、お客様の使い方や要望に応えていくというアプローチが必要になります。

次は、「それでもオフィスに行く理由」の続きで「4.組織活動を可視化する」を上げる予定です。
どうぞよろしく。

(丸田一如)

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