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4月12日 成熟市場のパン市場で成長するとしたら、どんな方向性が考えられるか?

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考えるための質問例はこちら。

→実は横ばいのパン市場。伸びるとしたらどのような方向性が考えられるだろうか?


東京都中央区日本橋兜町に事務局を置き、パン食の普及宣伝活動などを行うパン食普及協議会が1983年(昭和58年)3月に制定した「パンの記念日」です。
1842年(天保13年)のこの日、軍用携帯食糧として「兵糧パン」と呼ばれる「乾パン」が焼かれたのが日本で初めて作られた「パン」と言われ、これを記念した日だそうです。


パン。
米と並ぶ主食の1つです。

まず、市場規模ですが、矢野経済研究所の「国内のパン市場規模推移」によれば、2020年度見込で1兆5,262億円の市場規模があるとされています(下図)。


加えて、より利便性が高くホテルや外食産業など業務用に強い冷凍パン(半焼成冷凍と焼成後冷凍(製品冷凍))が市場を牽引する冷凍パン生地・冷凍パン市場は2020年度に1,630億円となっています(出典:矢野経済研究所)。


また、コメとの市場規模比較ですが、同じく矢野経済研究所の「米飯市場の市場規模推移」によれば、2020年度で2兆3,543億円となっています(下図)。


もう少し長期のデータを見てみましょう。
一般社団法人日本パン工業会の「パンの年別生産量」(昭和40年〜令和2年)をによると、食パンの生産量は昭和56年頃にピークとなりそれ以降は横ばい。
一方で、菓子パンが伸びましたがそれも横ばい、と全体で見ても平成13年ごろから横ばいであることがわかります。
また、学校給食パンもご飯食優先と少子化から長期的に減少していることがわかります(下図)。

同工業会では、「一人当たり生産量」、というデータも公表しており(下図)、そちらを見ても横ばいが続いていることがわかります。

パン、なんとなく伸びているイメージがあったのですが、単純な量、という面では横ばいなのですね。金額ベースで市場が伸びているのは、高級化、高付加価値化による単価の上昇によるものであることが分かります。

このようなパン業界ですが、最後に日本の食品製造業の中での位置付けを見て見ましょう。

食品製造業は、「素材型」「加工型」「飲料」「酒類」「その他」の5つに大別されます。実は、従業員数、出荷額ともに最も規模が大きいのが「加工型」であり、中でも「パン・菓子製造業」なのです。

農林水産省の「食品産業動態調査」によると、「パン・菓子製造業」に従事する従業員数は25.3万人で全食品製造業従事者の20.7%を占めています。
また、製品出荷額は5兆4,758億円と全体の15.1%を占めます。
(菓子も一緒となっているため数字が大きくなっています)

パン、完全に成熟した市場で大きな成長は見込めない市場であるものの、その中でも高級食パンなどの成長市場は生まれている、というところでしょうか。

→高級化以外に、パン市場で伸びるとしたらどのような方向性が考えられるだろうか?


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