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俳句 まとめ記事 一覧

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2019年6月の記事一覧

現代語俳句への旅 4

現代語俳句への旅 4


「 五月富士 」
~現代語俳句集~

母という素朴なひとよ五月富士

寝ころんで宇宙に一人夏座敷

人生をとおく泳いできたことよ

さいげつのいよいよしずか青すだれ

ものおとの絶えたふるさと雲の峰

鮎のぼる川のこれまでこれからよ

わらうこえ富士へひびくよ夕涼み



さいげつのはるかさに滝とどろくか

ぼうぜんとながめて誰も梅雨に入る

厳島しずかに夏の霧のなか

ところてん皿一杯の大自

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現代語俳句への旅 3

現代語俳句への旅 3

「 パリ祭 」
~現代語俳句集~

おおぞらをとおくきよめる風鈴よ

灯ともしてひとりの家はほたる籠

夕焼けてまるごと生きている地球

登山杖こころはすでにくものうえ

身ふるわす梅干しひとつちから玉

ひきがえる雲が流れてゆくだけか

かき氷きょうの大ぞら大うなばら



ひとくちでしずまるこの世かき氷

ひらくたびたびびと富士の絵扇よ

たましいをさきだてて行く炎昼よ

ランナーにみちまっ

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現代語俳句への旅 2

現代語俳句への旅 2


「 一 」
~現代語俳句集~

いちぞくとそらへだててぞ夕涼み

なつかしむおおゆうやけの空の奥

星のさいげつ人のさいげつ蛍とぶ

人類のまつえい一人キャンプの火

ひとり聴くきおくのはての風鈴屋

もてなす日おおきくひらく冷蔵庫

手にひらく白鳥いろのハンカチよ

むすめらがひらいていく世香水瓶



一人一人背負って行くか梅雨の空

傘さしておとふりしきる五月雨よ

ひた歩くこころの氷河

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