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MERY
2020年9月26日 15:53
鏡を見ると、僕が泣いていた。僕が泣いているんだから、僕も泣いているんだろう。リアリティに囚われた決めつけとは裏腹に僕は笑っていた。泣いている僕に怒りすら感じながら、その姿を笑うのだ。例えば、自分から別れを告げたあの子の新しい恋に嫉妬するだとか。例えば、あれだけ楽しみだったデートの弾まない会話だとか。例えば、交際中にこそ憧れた浮ついた関係をただ後悔する日々だとか。僕が泣いている
2020年9月7日 00:07
段々と明るくなる劇場照明が映画の終わりを告げる。一口に言えば、綺麗な映画だった。男と女は相思相愛ながらも、壁にぶつかる。一度は別れを決める二人だが、最後は必然のような再会でハッピーエンド。あぁ、いくら大学生特有の長い春休みで時間を持て余していたからってこんな映画一人で観るんじゃなかった。ぞろぞろと出口へ向かい少し列を成している観賞客。彼らを後目に僕はふと、君の事を思い出し
2020年9月4日 05:25
あの頃の僕らの門限は日暮れだった。太陽を追いかけ、月が顔を出す。あの頃、ませていた君は僕に良く引っ付いてきて慣れない僕は照れ隠しで君を傷つけてしまったかもしれない。周囲には明るく振る舞うくせに、君の前だと何故だがその能天気さも陰りを見せる。でも、そんな関係性すらも嫌いじゃなかった。これが永遠に続くものだと、あの頃の僕は疑ってもいなかった。まさか君が転校してしまうなんて。今の
2020年9月1日 05:41
縦15cm横7cm片手に収まるその小さな箱庭が僕の『オモチャ』箱。成人した頃からか、だんだんと『オモチャ』は増えていった。今日もあの、『オモチャ』箱から遊び相手を探す。僕は『オモチャ』と喋る事が出来るんだ。僕の『オモチャ』は話す事が出来るんだ。楽しい事も悲しい事も何でもない事も、笑顔で聞いてくれる。僕が好きな時、遊びたい時に遊んでくれるんだ。だって、僕の『オモチャ』だか