マガジン

  • 散らかったワタシの恋愛観

    読んだアナタは昔のジブンを取り戻す。 そんな空想たち。

最近の記事

循環散歩

例えば、足のサイズよりも小さい長方形の敷き詰められたタイルの間から覗く苔の生命力を 例えば、本来の蒼を覆い隠す一つとして同じモノのない暗雲の雄々しさを 例えば、時間を引き換えにして踏切の電子音を聞く事の出来た運の良さを それらは何でもない小さな事で 取るに足らない当たり前の積み重ねだけど それらに気づく事で私の歩は早まる。 次の一歩は踏み出される。 なれば、それらにも意味はあり 意味を与えた私は、誇りを胸にまた一歩。 それらと私は繋がっていて 私と世界を繋いでる。

    • ひとりになりたい夜がある【ショートショート】

      鏡を見ると、僕が泣いていた。 僕が泣いているんだから、僕も泣いているんだろう。 リアリティに囚われた決めつけとは裏腹に僕は笑っていた。 泣いている僕に怒りすら感じながら、その姿を笑うのだ。 例えば、自分から別れを告げたあの子の新しい恋に嫉妬するだとか。 例えば、あれだけ楽しみだったデートの弾まない会話だとか。 例えば、交際中にこそ憧れた浮ついた関係をただ後悔する日々だとか。 僕が泣いている。不当な理由で泣いている。 到底、理解が為されない悲しみに。 健全な大衆論理によ

      • エイプリル【ショートショート】

        段々と明るくなる劇場照明が映画の終わりを告げる。 一口に言えば、綺麗な映画だった。 男と女は相思相愛ながらも、壁にぶつかる。 一度は別れを決める二人だが、 最後は必然のような再会でハッピーエンド。 あぁ、 いくら大学生特有の長い春休みで時間を持て余していたからって こんな映画一人で観るんじゃなかった。 ぞろぞろと出口へ向かい 少し列を成している観賞客。 彼らを後目に僕はふと、君の事を思い出していた。 君との出会いはまさに映画のようで、 そうか始まったんだ、と あの頃の

        • プロフィール

          大学4年生。山羊座です。 頭の中には言葉があって、 でも飲み込んでばかりだから 吐き出したくて、始めました。 仲良くしてください。 よろしくお願いします🤲 書く事少ない… 思いついたら、追加します。

        循環散歩

        マガジン

        • 散らかったワタシの恋愛観
          4本

        記事

          アイとダイダイ[ショートショート]

          あの頃の僕らの門限は日暮れだった。 太陽を追いかけ、月が顔を出す。 あの頃、ませていた君は僕に良く引っ付いてきて 慣れない僕は照れ隠しで君を傷つけてしまったかもしれない。 周囲には明るく振る舞うくせに、君の前だと何故だがその能天気さも陰りを見せる。 でも、そんな関係性すらも嫌いじゃなかった。 これが永遠に続くものだと、あの頃の僕は疑ってもいなかった。 まさか君が転校してしまうなんて。 今の僕には門限なんてない。 夜更かしもするし、深夜の散歩も厭わない。 あの頃とは何も

          アイとダイダイ[ショートショート]

          トイボックスガーデン[ショートショート]

          縦15cm 横7cm 片手に収まるその小さな箱庭が僕の『オモチャ』箱。 成人した頃からか、だんだんと『オモチャ』は増えていった。 今日もあの、『オモチャ』箱から遊び相手を探す。 僕は『オモチャ』と喋る事が出来るんだ。 僕の『オモチャ』は話す事が出来るんだ。 楽しい事も悲しい事も何でもない事も、笑顔で聞いてくれる。 僕が好きな時、遊びたい時に遊んでくれるんだ。 だって、僕の『オモチャ』だからね。 どうするかは僕の自由だ。 そうだろう? 『オモチャ』は僕にとって都合

          トイボックスガーデン[ショートショート]

          マジョリティシンドローム

          マジョリティ:多数者。多数派。 子供の頃、マジョリティにずっといたかった。 浮きたくなかったんだ。 叩かれたくなかったんだ。 ハブられたくなかったんだ。 日本にいると殊更そう思ってしまうものなんだろうね。 日本人として生を受け、 日本人として教育を受け、 日本人として洗礼を受けた僕は マジョリティに身を置く事を三度の飯より求めた。 おそらく、大半の人がそういう考えのはずだ。 いや、大半の人がそういう考えだからこそ その考えはマジョリティたるのか。 あぁ、思考が堂

          マジョリティシンドローム

          表に現れる者たち

          僕の周りにはエゴイストたちがよく集まる。 昔から「人に嫌われたくない」を信条としていた僕は周りの空気をよく読むやつだった。 攻めか受けかで言ったら「受け」 肉か野菜かで言ったら「野菜」 男か女かで言ったら「女」 それが僕。 そんな僕はエゴイストたちを見て、勝手な奴らだと感じた。自分が世界の中心かのように振る舞い、したい事をする。 それが存外上手くいってしまうのだから憎らしい。 僕はポイ捨てもしなければ、老人には席を譲る。 しかし、良い事が起きるのは 周りに認められ

          表に現れる者たち