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自作小説「アキラの呪い」のキャラを描く
【アキラの呪いあらすじ】
「俺の姉はろくでもない女だ」
歩が義姉の自殺未遂現場に居合わせたことをきっかけに、絶対に死にたい姉と絶対に死なせたくない弟の攻防戦が始まる。
第一話はこちら。↓
小説・「アキラの呪い」(20)
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退院が近づいてくると、姉は言った。
「3日後に部屋へ来るように」と。それはまるで独り言のようだった。告げる時、姉は窓の外を眺めたままで一度もこちらを振り向かなかった。頬のなだらかな曲線。俺はそのあわいが夜闇と見分けがつかなくなるくらい、何度も目でなぞった。彼女から呼び出されたことなど俺の記憶にある限り一度もないことだった。だからあの時、俺は少し動揺していたのかもしれない。結局その日、姉
小説「アキラの呪い」(19)
前話はこちら。
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赤黒く固まった血に塗れた敷物をゴム手袋越しに触ると、ずっしりとして重かった。そうしてその下から出てきたのは大量のペットシーツだった。犬猫が排泄をするときに下に敷くあれだ。夥しい数のペットシーツは血に染まりきっていた。
「…呆れた」
これから死のうと言うときに、部屋の心配なんかしていたのか、あの女は。その上、これを俺に処理させるとは。俺の心情にまで思いが至らないのが、
小説・「アキラの呪い」(18)
前話はこちら。
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目覚めると、白い蛍光灯が縦に伸びているのが見えた。消毒液の匂いが鼻をつき、今自分が何処にいるのか分かった。格子状の白いパネルを嵌め込んだ天井には見覚えがあった。以前入院した病院と同じだ。その光景から失敗を悟った。ーーー無駄なことをした。不要な痛みを経験し、不要な血を流した。それなのに必要な結果は2度目にも関わらず手に入れられなかった。その事実は私を酷く落胆させた。阻ま
小説・アキラの呪い(17)
第四章 彼女が望む理由
珍しく向こうから連絡を寄越したのは、帰省が終わってすぐのことだった。その内容は簡潔で「部屋の片付けをするから今週は来るな」ということらしい。今更部屋が片付いていないことを気にするような奴じゃないはずだが。ひとまず疑問に思いつつも承諾した。ーーーもしかして好きな奴でも出来たんだろうか?
なんて馬鹿馬鹿しい考えも一瞬頭を過るが、すぐさま打ち消された。あの姉と恋愛沙汰ほど食い
小説•「アキラの呪い」(13)
前話はこちら。
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朝飯は予定通り目玉焼きにウィンナーを添えた。両親の分も合わせて作ってしまう。二人とも今日まで休みで明日から仕事らしい。昨日そこそこ呑んでいたから、もしかしたらなかなか起きてこないかもしれない。食パン三枚を焼きながら、一杯だけコーヒーを淹れる。姉は苦味を受け付けない。それでかつては毎朝甘いホットミルクを飲んでいた。朝食のセッティングを終えると、俺は2階へ「姉さん。朝飯食