黒川かおる

黒川かおる

記事一覧

短歌三十首連作「犯人さがし」

第67回短歌研究新人賞応募作です。 犯人さがし/黒川かおる 先生に挙げろと言われ 挙げた子と挙げてない子のその後が産まれる チョークには毒が入っていると言う先生…

黒川かおる
2か月前
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『絶島 Ⅳ』の感想

5月19日の文学フリマ東京38で買わせてもらった『絶島 Ⅳ』の感想を書きます。素敵な本をありがとうございます。 表紙・目次僕は2号と3号も持っているが、表紙と目次か…

黒川かおる
3か月前
16

ひとりエモ

人の世に結婚があるのが憎い。 恋愛があるのが憎い。 友達が結婚して、予約の取れない店になった。別にこちらは恋愛感情とかではないのに、結婚、それだけで、友達、なだけ…

黒川かおる
4か月前
8

思いつき

たまに嘘に近いことを言う。 「お酒飲めないんです」と言うけど、それは体が受けつけないからどうしても飲むことができないのではなくて、「一応飲めはするし昔は飲んでた…

黒川かおる
4か月前
4

勝手に短歌認定

小田倉麗奈さんのブログの書き出しがいつも良いのは有名だけど、3月10日のは特に好きで、それについてずっと考えてる。 (注・櫻坂46には守屋麗奈(もりや・れな)さん…

黒川かおる
5か月前
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岡本恵さん「盲霧」(第六回笹井宏之賞・山崎聡子賞受賞作)の感想と選考座談会への批判

「盲霧」の感想これから、第六回笹井宏之賞で山崎聡子賞を受賞された岡本恵さんの作品「盲霧」(書肆侃侃房『ねむらない樹』vol.11掲載)の感想を書いていく。 はじめに…

黒川かおる
5か月前
53

昔部屋を探していたとき、家賃保証会社の審査に提出する緊急連絡先に友達の名前を書かせてもらおうと思っていたのだけど、不動産屋の人に「親族じゃないと厳しい」みたいな…

黒川かおる
5か月前
4

15年前に鉛筆が刺さった跡がまだ消えない

どの一人称もしっくり来たことがない。 仕事では俺と言う。元請とか客とかには僕とか私とか自分と言う。中学高校の頃からの友達には俺と言う。大学の頃からの友達には俺と…

黒川かおる
6か月前
4

超個人的・2023年坂道グループMV大賞

乃木坂46、櫻坂46、日向坂46のミュージックビデオは全て良いのだけど、その中でも好きなやつを決めちゃおうということで あほみたいに偉そうだけど、許してください。とに…

黒川かおる
8か月前
7

サンシャイン

西巣鴨に住んでいた頃、アパートのすぐ脇を都電荒川線が通っていた。 内見の時、不動産屋さんは都電の騒音を気にしていたけど、「いや、むしろ風情があって好きです。」と…

黒川かおる
8か月前
4

右脳水星短歌会『光るかもね』へのらぶ

11月11日の文学フリマで買った本の感想を魂の続く限りなるべく書いていきたくて、遅くなったけどその一冊目として、自分も参加させていただいた右脳水星短歌会の『光るかも…

黒川かおる
8か月前
19

きれい

カードローンの残高がじわじわと増えていて、いつから自分はこうなってしまったのだろうと京急の車窓から淡い空を見ている。 元々まとまって借金を作った時は、引越しや無…

黒川かおる
9か月前
5

ず嫌い

昨日の文フリの人混みで体力を使い果たし、今日はびっくりするくらい何もしないまま、気づいたら外が真っ暗になっていた。 布団の上でうあー、とうなりながらぼーっと壁を…

黒川かおる
9か月前
6

渋谷こわい

今日は夕方から渋谷でお笑いライブを見てから、神保町に移動して木下龍也さん・鈴木晴香さんのトークイベントに参加してきた。 人混みでめちゃくちゃ疲れるタイプだから、…

黒川かおる
11か月前
8

三十路までにしたいこと

「読んだ本の感想をnoteに書いてみませんか?」とnoteに煽られている。 書きたい。書きたいさ。 でも僕は本の感想とか書こうとすると何時間も平気で潰れるし、集中力を必要…

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てか暑くね?

泣くことがない。 高校時代以来、ほとんど涙が出ることがない。 それに伴い、なのか、感情も、普段ほとんど感じることがない。 だから少しでも自分の中の感情に出くわすと…

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短歌三十首連作「犯人さがし」

第67回短歌研究新人賞応募作です。

犯人さがし/黒川かおる

先生に挙げろと言われ 挙げた子と挙げてない子のその後が産まれる

チョークには毒が入っていると言う先生、女子を下の名前で

声変わりするより先に死ねという言葉が流行り青すぎる空

キーパーをやりたいと手を挙げたならどんなボールも来るようになる

どの指も触りたがっているような形でボールではなく土を

パンツまで濡れているとき雨粒は皮膚

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『絶島 Ⅳ』の感想

5月19日の文学フリマ東京38で買わせてもらった『絶島 Ⅳ』の感想を書きます。素敵な本をありがとうございます。

表紙・目次僕は2号と3号も持っているが、表紙と目次から世界観を感じてとても好き。表紙の花が違ったり、よく見ると下半分の草とかも若干違ったりするのも意味深(?)。

ふさわしいから/榎本ユミさん主体が自分の外部に対する繊細な感受性を持ちながら、必死に目の前のことに向かって集中し、ふとした

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ひとりエモ

人の世に結婚があるのが憎い。
恋愛があるのが憎い。
友達が結婚して、予約の取れない店になった。別にこちらは恋愛感情とかではないのに、結婚、それだけで、友達、なだけでフラれている。きづいてる?
かつて同居した友達が正月の度に「帰っていく」、そのたびに月並みに淋しくなっていた、それと同じようにみんな帰っていく。同じように家族から来た僕は、中産階級育ちの無責任さを温存したままどこに着地すればいいのか、毎

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思いつき

たまに嘘に近いことを言う。
「お酒飲めないんです」と言うけど、それは体が受けつけないからどうしても飲むことができないのではなくて、「一応飲めはするし昔は飲んでたけど、飲み始めると毎日飲まないとやっていけなくなるしそうしたらそうしたでずっと体も心も不調になって苦しいので、そうなる前に一滴も飲まないようにしてる」をつづめて「お酒飲めない」と言っている。ちなみに人生で4回目の断酒をはじめてもう少しで2年

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勝手に短歌認定

小田倉麗奈さんのブログの書き出しがいつも良いのは有名だけど、3月10日のは特に好きで、それについてずっと考えてる。
(注・櫻坂46には守屋麗奈(もりや・れな)さんもいるけど、僕が「麗奈ちゃん」と書くときは常に小田倉麗奈(おだくら・れいな)さんのことなので必ず「れいなちゃん」と読むこと。)

小田倉 麗奈公式ブログ | 櫻坂46公式サイト (sakurazaka46.com)

この部分、短歌と捉え

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岡本恵さん「盲霧」(第六回笹井宏之賞・山崎聡子賞受賞作)の感想と選考座談会への批判


「盲霧」の感想これから、第六回笹井宏之賞で山崎聡子賞を受賞された岡本恵さんの作品「盲霧」(書肆侃侃房『ねむらない樹』vol.11掲載)の感想を書いていく。

はじめに(韻律など)

「盲霧」は読み返せば読み返すほど恐ろしい連作だと思っている。

あたらしい言葉を読むのは怖い。だから言葉の意味を読んで、理解して、支配できたらいいなと思う。
それなのに言葉は音を持っていて、独自のリズムと論理で動きだ

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昔部屋を探していたとき、家賃保証会社の審査に提出する緊急連絡先に友達の名前を書かせてもらおうと思っていたのだけど、不動産屋の人に「親族じゃないと厳しい」みたいなことを言われたので、「緊急連絡先なのになぜ…?」と思いつつも、一応友達ではなく姉にお願いした。
後日保証会社から電話がかかってきて、「なぜ緊急連絡先が親御さんではないのですか?」と訊かれた。
意味がわからなかったので、「なぜ、とはなぜですか

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15年前に鉛筆が刺さった跡がまだ消えない

どの一人称もしっくり来たことがない。

仕事では俺と言う。元請とか客とかには僕とか私とか自分と言う。中学高校の頃からの友達には俺と言う。大学の頃からの友達には俺と言ったり僕と言ったりする。もっと後に知り合った人にはほとんど僕と言う。特に仲良い人の一部にはわしと言う。
小さい頃は自分の名前を言ってた。家族に対しては、小学校出るくらいまではそうだったかもしれない。その後は家族に対しては一人称がなくなっ

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超個人的・2023年坂道グループMV大賞

乃木坂46、櫻坂46、日向坂46のミュージックビデオは全て良いのだけど、その中でも好きなやつを決めちゃおうということで
あほみたいに偉そうだけど、許してください。とにかくどのグループも大好きということで。

まずはノミネート作品。

Cool/櫻坂46ゾノ(大園玲さん)のセンターを生かし、独自の世界観を提示しつつ、文字通りcoolな櫻坂を見せてくれるMV。
楽曲としては振りもかっこよく、3rd T

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サンシャイン

西巣鴨に住んでいた頃、アパートのすぐ脇を都電荒川線が通っていた。
内見の時、不動産屋さんは都電の騒音を気にしていたけど、「いや、むしろ風情があって好きです。」と言って契約した。
それはともかく、よく通る踏切があった。近所のコモディイイダに買い物に行くときや、地蔵通り商店街を散歩するときに通った、小さな小さな踏切。

しばらく住んだあと、仕事や色々なことに追われて、すごく死にたい時期がきた。その死に

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右脳水星短歌会『光るかもね』へのらぶ

11月11日の文学フリマで買った本の感想を魂の続く限りなるべく書いていきたくて、遅くなったけどその一冊目として、自分も参加させていただいた右脳水星短歌会の『光るかもね』の感想、というのはおこがましいので、好きという気持ちを書きます。
※当然ですがめっちゃネタバレを含みます。最高な本なので、読んでない方で読める方はぜひまず読んでください。
※歌の解釈含め、あくまで僕が感じたことであり、とんちんかんな

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きれい

カードローンの残高がじわじわと増えていて、いつから自分はこうなってしまったのだろうと京急の車窓から淡い空を見ている。
元々まとまって借金を作った時は、引越しや無職期間の生活費といったきっかけがあった。でも今増えているのは、単にアイドル等に散財していることによる借金だ。
生活がきつくてひーひー言っていた頃は、こうではなかった。ギリギリのところで、本を買うか酒を買うか食料を買うかを自分なりに判断できて

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ず嫌い

昨日の文フリの人混みで体力を使い果たし、今日はびっくりするくらい何もしないまま、気づいたら外が真っ暗になっていた。
布団の上でうあー、とうなりながらぼーっと壁を見ると、櫻坂の6枚目シングル「Start over!」のポスターの「2023.6.28 OUT」の字が目に入って、なんかその瞬間に「時間」というものがあることを強烈に思い出して怖くなって、ガバッと起きて今コインランドリーにいる。

だんだん

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渋谷こわい

今日は夕方から渋谷でお笑いライブを見てから、神保町に移動して木下龍也さん・鈴木晴香さんのトークイベントに参加してきた。

人混みでめちゃくちゃ疲れるタイプだから、心身のバランスを若干崩しつつ、帰りの電車の中、LINKIN PARKで耳だけでも落ち着かせてぼーっとしている。

先月、友達と旅行に行った。
こっちとしては親友と思っていたけど、数年前からLINEの返事も遅くなってたし、向こうはそうでもな

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三十路までにしたいこと

「読んだ本の感想をnoteに書いてみませんか?」とnoteに煽られている。
書きたい。書きたいさ。
でも僕は本の感想とか書こうとすると何時間も平気で潰れるし、集中力を必要以上に使ってしまい自律神経がぶっ壊れるので元気なときでないとできない。
という自分への言い訳だけれど。

この夏はなんだかいつもの年よりもジリジリと体力を削られて、最近まではずっと頭の中を蛇が這いずり回ってるような感覚だった。

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てか暑くね?

泣くことがない。
高校時代以来、ほとんど涙が出ることがない。
それに伴い、なのか、感情も、普段ほとんど感じることがない。

だから少しでも自分の中の感情に出くわすと嬉しくなるという、ちょっとよくわからないところがあり、それがネガティブなものであっても、「やった!感情だ!」と思ってしまう。

人類の上位0.1%レベルの人見知りで緊張しいで三人以上での会話が苦手なので、初対面の人たちとの会食となると、

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