ひとりエモ

人の世に結婚があるのが憎い。
恋愛があるのが憎い。
友達が結婚して、予約の取れない店になった。別にこちらは恋愛感情とかではないのに、結婚、それだけで、友達、なだけでフラれている。きづいてる?
かつて同居した友達が正月の度に「帰っていく」、そのたびに月並みに淋しくなっていた、それと同じようにみんな帰っていく。同じように家族から来た僕は、中産階級育ちの無責任さを温存したままどこに着地すればいいのか、毎日が修学旅行みたいと言っているあいだに。
ある友達はあの頃、恋愛って気持ち悪い、「好き」って何?、って目を細めてた。
ある友達と何度も何度も夜に酒を飲んで、鬼ころし鬼ころし熱燗の鬼ころし、マイルドな自傷だったと思う。友達のニーチェやハイデガーの話は酔っ払って1ミリも覚えてないけど、あれはマイルドな自傷だった。
セックスで分かり合えると思わないまま歳をとった。人は向かい合っても相手を道具にしてしまう、それはしょうがないことなのになぜお金を払わないでそういうことを要求できるのだろう、と思ったままおじさんになった。
家から散歩をしていたら2キロぐらい離れたところにコインランドリーがあって、今度ここで洗濯しようと思った。都会の住宅街のなんでもたくさんあるところの、何か光のようなものを見つけた気になって、もっと歩いたら知ってる道だった。この道をこう出たらここに出ただけだった。結局帰ってきた。おじさんのひげはこの間にまた少し伸びていて、また剃らないといけない。

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