見出し画像

ESG投資とリターンの関係

先週は以下の著書に関して記者勉強会を開催しました。

その内容と全く関係ないわけではありませんが、記者からの質問の1つにタイトルに示したものがあります。私からの答えには2つの側面があります。

1つはそもそもESG投資は財務的なリターンだけではなく、環境や社会への好影響をも追求するもので、後者の要素が含まれているというのがESG投資の特徴です。伝統的な投資では財務的なリターンの最大化が主な目的でしたが、それに環境・社会面の要素を加えて修正したのがESG投資というわけです。ESG投資家も投資家である以上、財務的なリターンを気にしないわけにはいきませんが、それを必ずしも主目的にしていないという点は念頭に置いておく必要があります。

もう1つは財務的なリターンを上げる能力とESG投資というスタイルとは独立で考える必要があるということです。2000年代初めには「SRI(社会的責任投資、ESG投資の当時の呼び名)は儲からない」と考える風潮が強かったと記憶しています。当時はいわゆるITバブルの崩壊により、ESG投資であっても、そうでなくとも、株式相場の弱い地合いを反映して、好リターンを維持していたファンドマネジャーはそう多くなかったはずです。すなわちESG投資であっても非ESG投資であっても、損失を出すファンドマネジャーは多くいたということになります。それにもかかわらず、財務リターンのみにこだわっていないことを理由にESG投資を批判するのは短絡的と言えます。ファンドマネジャーによる投資銘柄の選別、投資タイミングの選別がリターンにとって肝要なのであり、ESG投資か否かはリターンとは直接関係ないことを強調したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?