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日本に来る難民と入管行政の問題点:まとめ

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#日本社会の問題

入管施設の医療の問題~名古屋入管で亡くなったWさんの中間報告・その他資料~

名古屋入管で3/6にWさんが亡くなった事件について、マスコミにも多く取り上げられています。

私は福祉施設の職員だったこともあり、非常に遺憾に思います。なによりその対応の記録から「命を守る」という気持ちが全く見られないのが残念で、悲しいです。以下に、Wさんの件とこれまでの入管施設の医療の問題を簡単にまとめます。

Wさんの中間報告入管側が出した「中間報告」(の一部)はこちらのようです。(「公表」し

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「不法滞在者は犯罪者」という言説―”不法”の原因は厳しすぎる制度

最近の入管法改正に関するトピックが多くなるにつれて、ニュースのヤフコメやTwitter等の投稿で、「不法滞在者は、不法に入国・在留している時点で犯罪者なので、国外追放するべき」といった意見が散見されます。

中でも、現在入管法の改正で問題にされている(収容中で送還忌避している人と仮放免の人の合計)3,000人くらいといわれる「送還忌避者」のことは特に注目を集めているところだと思います。

参考)出

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なぜ日本の難民認定率は低いのか?(4/25追記しました)

そもそも、入管行政の問題の根幹にかかわる部分として、「なぜ、日本の難民認定率は低いのか?」について。

難民認定の厳格性-不信の文化日本の入管は、国境の管理によって自国民をテロやいわゆる偽装移民等から守る「国境の番人」としての役割にメンタリティが強く働き、入国阻止政策へと政策の方向性が向きやすいようです。

入管当局の最大の使命は国境の管理であり、当然ながら、疑わしき外国人の入国・在留には警戒的な

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読順②「人数」で見る入管行政の問題

2019年ベースでの人数把握のため、データをまとめました(たまに2017年や2018年のデータですが…)。これで、この問題の規模感が分かると思います。

2020年からのコロナの影響で収容者数が減り、仮放免者が増えたそうですが、その実数のまとめはまた後ほどしようと思います。

申請者総数約1万人・認定率0.42%2019年に日本で難民認定申請をした人は10,375人、難民として認定されたのは44人

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用語 まとめ①「全件収容主義」「第三国定住」「ノン・ルフールマン原則」

全件収容主義在留資格がない人や超過滞在者など、入管法に違反していれば、難民申請中といった個別の事情や、その人が逃げる可能性があるかどうかを考慮せずに収容してよいとする入管側の解釈を指す。

過大すぎる入管の「裁量」。政府からも法改定による見直し案も出されたこともあるが、現在も入管行政による「裁量」に任されている。

<根拠法>

a.収容令書による収容(30日以内、延長可):入管法第39条第1項、

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用語 まとめ②「出国命令」「退去強制令」「収容令」

「出国命令」(入管法24条の3、55条の2から6)

不法残留者が、帰国を希望して自ら入国管理局に出頭した場合は、以下の五つの要件をすべて満たすことを条件に、出国命令という制度により、入国管理局に収容されることなく出国することができる。

①速やかに出国することを希望して、自ら入国管理局に出頭したこと

②不法残留している場合にかぎること

③窃盗その他一定の罪により懲役刑等の判決を受けていないこ

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用語 まとめ③「一時庇護上陸」「仮滞在」

一時庇護上陸(入管法18条の2)

船舶や航空機の外国人乗員や外国人乗客に対し、在留資格が無くとも一定の条件を満たす場合に限り査証等を求めることなく、簡易な手続により一時的に上陸を認める許可のこと。

こ難民に該当する可能性があり、かつ、その外国人を一時的に上陸させることが相当であると思われるときに入国審査官が許可する。

しかし、一時庇護上陸許可数は著しく低迷しており、許可を得られる確率は低い。

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