用語 まとめ②「出国命令」「退去強制令」「収容令」

「出国命令」

(入管法24条の3、55条の2から6)

不法残留者が、帰国を希望して自ら入国管理局に出頭した場合は、以下の五つの要件をすべて満たすことを条件に、出国命令という制度により、入国管理局に収容されることなく出国することができる。

①速やかに出国することを希望して、自ら入国管理局に出頭したこと

②不法残留している場合にかぎること

③窃盗その他一定の罪により懲役刑等の判決を受けていないこと

④これまでに強制送還されたり、出国命令により出国したことがないこと

⑤速やかに出国することが確実なこと

出国命令により出国した場合には、1年間は日本に入国できない。

「退去強制令」

(入管法51条、52条)

退去強制令書が発付されると、入国警備官は退去強制を受ける外国人に退去強制令書又はその写を示して速やかにその外国人を送還しなければならない。

被退去強制者を送還する先は、その者の国籍又は市民権の属する国が原則。しかし、国籍国等に送還することができないときは、本人の希望により

ア 我が国に入国する直前に居住していた国
イ 我が国に入国する前に居住していたことのある国
ウ 我が国に向けて船舶等に乗った港の属する国
エ 出生地の属する国
オ 出生時にその出生地の属していた国
カ その他の国
のいずれかに送還されることとなる。

しかし、本人がアからカまでのいずれかの国への送還を希望しても、相手国が受入れを認めなければ、送還することはできない。

また、強制送還後、5年間(事情によっては10年間になる場合もある)は日本に入国できない。

「収容令」

(入管法39条)

違反調査の結果、容疑者(有効な旅券もしくは上陸許可をもたない)が強制退去事由に該当すると疑う相当の理由があれば、(容疑者が出国命令対象者に該当すると認めるに足りる相当の理由があるときを除き)入国警備官の請求により、その所属主任審査官が発付する「収容令」により、容疑者を施設(入国者収容所や地方入国管理局の収容場)に収容することになる。

つまり、現場の行政官や官僚の恣意的な判断で拘留できるということで、退去強制令書の発付後は収容に期限はなく、被退去強制者を直ちに送還できないときは、送還可能のときまで収容できるとされている。

また、仮放免できるかどうかは内部手続きで決まる。

<参考文献・URL>


『滞日外国人支援の実践事例から学ぶ 多文化ソーシャルワーク』日本社会福祉士会[編]中央法規出版(2012年)p34-35.