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地域のモノが語っていること:富山市ガラス美術館

こんにちは

富山を巡った中で、訪れた建築の一つに建築家 隈研吾氏設計の美術館があります。
それは富山市街地に位置する「富山市ガラス美術館」

富山市ガラス美術館 外観
手掛けたのは建築家 隈 研吾氏

本美術館は「ガラスの街とやま」を目指したまちづくりの集大成として、富山市立図書館本館などが入居する複合施設「TOYAMA キラリ」内に整備し、富山市の中心市街地に位置することから、文化芸術の拠点としてだけでなく、まちなかの新たな魅力創出を担います。

富山市ガラス美術館HPより抜粋

今回はガラス美術館を体験してみて気づいたことを綴っていこうと思います。
時間が空いた時にチラッとのぞいてみてください。

では、はじめますね。


■ガラス美術館から学ぶこと

まずは富山市ガラス美術館についてから。

2階のホールに上がると最上階まで一気に吹き抜ける空間が広がり、周囲にはあらゆる方向に向いた格子状の木の板がグルッと囲んでいます。

反対に最上階からはトップライトの光が階下まで注がれ、木の板に当たることで陰影が生まれ、グルッと囲んだ格子状の板は森の木々の姿を連想させるようにも思います。

トップライトから光が階下まで

各フロアを見渡すと棚や壁面などが、ガラス、木、和紙、になっていて、どの素材も富山で生産されたものが使用されています。
興味深い点はそのことにより、富山の美術館という文脈と建築がしっかりリンクされるようになりますし、そこに説得力が出ます。

通路の壁面に棚
フロアによって和紙、木、カガミが使われている。

もう少し言うと、建物は構造体だけですとまだ名前のない骨組みですし箱です。
多くの要素が詰まっている建築の中で、地域にゆかりのある素材、が肉付けされると、建築空間に富山との関係が強まっていくと思います。

富山市立図書館もある

地域との繋がりを表すモノがあることによってその場所に存在する、意味合い、が深まる。
そのような解釈も出来るのではないでしょうか。


■構成されている中身は雄弁

羽板
経年変化で良い味に

で、自分のことに置き換えて考えみると。

ボクも、どこの素材を使ってどこで作ったのか、というのは設計するに当たって大事なポイントしています。
地域の素材や人が関わることで生まれる文脈があるからです。
一つの作品に関わっている人、素材、地域が見えることで名もなき作品に振り向いてもらえる理由になり得るかも、という考えからきています。

館内のベンチ
座面部天板には杉材が使用されている。

地元の素材を使いました!という商業的な謳い文句ではなくて、ガラス美術館のように、その場所に存在する意味合いの強さ。
つまり地域に根付いた建築、プロダクトなんだ、っていう文脈が人とモノ、空間との距離を縮めてくれる要素の一つになってくれるのではないかという感じです。

和紙の棚
羽板の棚

たとえ地域材を使用しない場合でもその地域の製作所や職人さんが関わった、ということでも関係性は作られる(根付きという意味で)とも考えています。

ガラス美術館のように、あるいは自分の作品でも出来上がった状態からでは見えないプロセスや関わっている事柄を言葉にしていくと、なかなか雄弁ですよね。

地域、が詰まった建築

でも、大切にしていきたい設計要素です。
そういうことをnoteだったりオンラインショップだったり対面だったりでお話していけたらなぁ、なんて思っています。

見えるものづくり、っていうテーマで。

木と和紙の椅子[ 紙木折々-しきおりおり-]
飯能市の西川材と小川町の小川和紙
埼玉県の素材で地域間のつながりを作ってみた

ということで
今回はこの辺りで失礼します。

ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

ではまた


▼富山県美術館のお話はこちらから


▼地域の素材を使った作品を商品化するまでの話

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