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ボクたちは今どこにいるのか#2:小田原文化財団 江之浦測候所

こんにちは

さて、前回からの続きということでボクが体験した江之浦測候所を雑談的に綴っていこうと思います。
江之浦測候所ってどんなところ、というのをお話させていただきましたのでよろしければ今回と合わせてご覧くださると嬉しいです。

夏至光遥拝100メートルギャラリー

それでは本題に入っていきますね。

|歴史の追体験

「遺跡を作り古代の人たちが見てきた景色を追体験する」

杉本博司氏は動画や掲載記事の中で、そのように仰っていました。
ですので、江之浦測候所を歩いていると遺跡のように積み上げられた石や移築された石造物(燈籠など)あるいは建築が点在しています。

屋久杉の大テーブル

それら杉本氏の集めた美術品はある時代に生きていた人たちが作り上げた造形物であり、建築は途切れそうになっている技法や古材が使用されています。
長い長い時間を越えた造形物や素材を通じて今のボクたち(現代の人)が見ている、まさに歴史の追体験をしていると言えます。

古信楽井戸枠
苔に木洩れ日が映り込む
石舞台
能舞台の寸法を基本にして計画

そして呼応するように自然が織りなす現象(光の差込みや海から吹く風とか)が点在している作品に混ざり合い、江之浦の地に溶け込みただただ穏やかに佇んでいるようにも見えてきます。

根府川石 浮橋

そう、歴史的視点の中には自然との関係性が同時に存在しています。

その辺りをもうちょっと話していきますね。

|時と自然がつくり出す

これまで日本人は自然を崇拝し、万物に神々が宿っていると信じてきました。

八百万の神々と言われるように海、川、山、森、太陽などに畏敬の念を持ち、人の生活習慣から造形物などまでに影響を与え、それは古代、平安、鎌倉、室町、、、そして現代へと続いてきていると思います。

コールテン鋼の「冬至光遥拝隧道」
ここから冬至の光が差し込み↓
コールテン鋼の「冬至光遥拝隧道」
ここまで冬至の光が抜けてくる

そうした背景をセットにして、杉本氏が集めた美術品や構想した建築物からは自然と人が共に生きてきた時(トキ)の経過を感じ、歴史という流れの一部に自分はいる(点と線的な)という体験が江之浦測候所の面白さの一つかなぁと思います。

磐座と楠木の大木
自然の大きなエネルギーを感じる
こうした道具に人が使用してきた余韻を感じる。

敷地を巡るのも一つですし、ビビッときた場所で立ち止まりで思いを巡らすことも良いと思います。
どこにいても自然と時の余韻を感じますので、ぜひ体験してほしいです。


|ひと呼吸の問い掛け

ここからはボクがちょっと気になったことをお話していきますね。

江之浦測候所から見える景色から、原初的だなぁと思うのと同時に、この先、人間はどこに向かっていくのかなぁ、なんてことも頭をよぎります。

コンセプトにあった、成長の臨界点、という言葉が頭から離れずいたからです。

ボクたちが今いる現代は、大きく進歩し成長してきました。
進化や発展は今後も進んでいくと思います。

光学硝子舞台と海景

一旦立ち止まる、ということも必要な気もしますが、その気配はあまり感じません。
ただ思うのは、加速的に発展を進める、にしても、どこに向かって?なんていう疑問が浮かびます。
例えば、そうした言葉の前に5W1H的な、問い、を入れても良いのかなって。

相模湾眺めながら巡る

なぜ、いつ、なにを、だれが、どこに、どうやって、という具合に問いかけを入れることで漠然とした、発展するや成長する、に対してもう少し解像度があがった方向性が見えるかもしれません。

崖のような高低差のある土地に建てる構造
懸造り(かけづくり)
清水の舞台が有名
春日社社殿

さらにはその問い掛けの、ひと呼吸、は‟世の中が”とか‟周りが”とかを一旦置いて、まず自分としてどうするのか、という主体的にモノゴトを考えられるのではないかとも思うんです。

そんな、自分なり、を見つけるには江之浦測候所って最適だなぁと感じます。

どこを巡っても相模湾に向かって視界が広がる。
思い思いな場所で向き合うのもオススメ
海景
きっと人の記憶の景色はぼんやりしてるのかもしれない

ここを訪ね、杉本博司氏の考えに触れてみて、その場に身を置いてこそ知る気づき、はどこか神社や禅寺の庭園にも似た感覚を覚えます。

季節によって様々な表情を見せてくれる場所だと思いますので、自然に包まれながら杉本氏の作品、空間を体験してみてはいかがでしょうか。

ボクもまた行きます。

石棒と硝子の社

ということで、今回はただただボクが感じた江之浦測候所のお話でしたが、この辺りで失礼しようと思います。

前回に引き続きここまでお付き合いいただきありがとうございました。

ではまた


小田原の街も素敵でした。
江之浦測候所と合わせて寄ってみではいかがでしょうか。



▼載せきれなかったのでフォトギャラリー的にご覧ください。

数理模型0004
オンデュロイド:平均曲率が0でない定理となる回転面
数理模型0010 負の定曲率回転面
竹林の木洩れ日
青天を衝け
大河ドラマの題字
茶室「雨聴天」躙り口
光学硝子の沓石
光学硝子の板敷
石の階段
ここに夏至の日の出の光が差し込む構想
ギャラリー脇の出入り口
行き止まりを示す棒すら作品
旧奈良屋門 版築の土塀
壁の経年に時間を重ねた渋さがある
敷石
規律さと無垢さ
観桜台
檜の懸造りで作られた展望台
古代ローマ円形劇場写し観客席
光学硝子舞台とセット
野点席
冬至の朝には暖を取るための焚き火の場となる
甘橘山 春日社
奈良・春日大社より御霊を勧請

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