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全国建具展示会:建具っぽいモノ「障具」-しょうぐ-(優秀賞受賞)

こんにちは

本日から12日まで全国建具展示会が東京の浅草「東京都立産業貿易センター台東館」6Fにて開催されております。
ご興味がございましたらぜひお越しください。
※現在は終了しています。

展示会が始まったということで、これまで表に出せなかった展示作品の全容をお話していきたいと思います。

展示会前のnoteでは、作品のコンセプトは「建具っぽいモノ」を展示するとお伝えさせていただきました。

その、建具っぽいモノ、という作品は「障具」(しょうぐ)と言います。

障(さえ)ぎる道具という意味の作品名を付けています。
四角いカタチの建具というより几帳や衝立などの「屏障具」に近い道具で、間をつくる建具的な特徴もある作品であり、コンセプトモデルです。

そう、「障具」は従来の建具から切り離した時にどのようなモノが現れてくるのだろうか、という実験的な側面を持つ試作品でもあります。

▼屏障具に触れているので参考にするともうちょっと入り込めます。

その辺りを踏まえて、作品についてお話ししていきます。

少しのお時間お付き合いくださると嬉しいです。

それでは始めます。

■「障具」という建具の変化形

今回の展示会は、「建具のこれから」を考えてみる、を自分に課したテーマにしました。

この貴重な機会の場をお借りし、「空間を作り、場面を演出する建具の機能を兼ね備えた道具」である「障具(しょうぐ)」(建具っぽいモノ)を一つの視点として提案する、という試みです。

ですので、製品として世の中に出していくには、まだまだブラッシュアップが必要であることを前提に、ここをキッカケに色々なアイデアや人の関わりが生まれてくようであれば、一歩前進、と思っています。

展示全体像

続けますね。

「障具」(しょうぐ)は、木組みの枠(構造体)と縄や布などの覆う素材で構成され、一時的に場所を作る「仮設道具」です。
組立式のため畳める収納性や持ち運びが容易な利点があります。
さらに垂らし方によって形状が変形し、その自在性もあって用途に応じて場を変容させることを可能にした道具が「障具」であります。

自在な形状変化する特徴が使う人それぞれの場面によって、使い方、が異なっていても柔軟に合わせていけるのではないかと考えております。

全国建具展示会という場をお借りして、そうした「障具」の持つストーリー(機能)をお伝えする展示演出となっています。

では次に、その展示演出について触れていこうと思います。


■展示演出:縄の光線

「障具(しょうぐ)」は仮設道具であり、間仕切りや目隠しの障壁の一種として考案しました。

捻る、曲げる、広げる、などあらゆる方向に向けることで素材の形も多彩になります。
そうした性質を踏まえて、木洩れ日の光の差し込みやスポットライトの役割を持たせた「縄の軌道」をつくり展示物を引き立たせています。


そう、縄の「光線」により展示物に焦点が集まり「際立たせる効果」を生み、さらに仕切りつつも空間を繋げる建具の特徴や素材の質感も重なり柔らかな印象を抱かせる展示スペースを演出しています。

この展示演出では、「障具」が主役になっていない、ということが特徴的です。「障具」の役割を伝えるために主役として今回は木と和紙の椅子を同時展示しています。
その意図は、主役を引き立たせる脇役、または裏方である、という「障具」のポジションを明確にするためです。

つまりそれは、これまで「建具」が担ってきた役割でもあった、ことを再確認することでもあります。

■可能性の提案

建具には間を仕切る調度品(屏障具)の一つとして使われてきた歴史があります。

そうした背景から木枠の中で可動する「戸」以外にも「木を組む技術」と「空間を作る機能」を掛け合わせ、この先も建具が活かせる場面をつくれるのではないか、と考えました。

木を組む技術は構造体を作る事で、構造というのは、何かを支える、ことだと思います。

構造体くくりで考えるのなら、橋、電柱、信号機、樹木を支える添え木、鉄塔などが浮かんできます。それらは単体として何かを支えていて、裏方とか黒子的な存在という見方も出来ます。

支える姿

建具の造りもそうで木の骨組みで構成され、その上に紙や布やガラスなどの状態が続くように持たせています。

使う人によって場面は異なると思いますが、こうした機能的な特徴や利点を活かしていければ人それぞれの使用にも対応していけるのではないだろうか、と。

そう、在宅ワークでしたり、屋内外でのレジャー(家の中で楽しむ家キャンプとか)、または災害など緊急時用に役立つ道具として、役割を果たせる道具(製品)に発展させられたらと思うんです。

現状は試作、アイデア段階であるのは承知の上なのですが、
今後も色々な人の知恵やお力をいただきながら試行錯誤を繰り返した先に、生活スタイルの中で、社会の中で「建具っぽいモノ」が活用されていく未来をつくっていく一助となれればと。

興味を示してくれてます。

ということで、この辺りで締めたいと思いますが、
ここまでのお話にお付き合いくださりありがとうございました。

賞を受賞した建具
匠な組子技術

全国建具展示会は明日(12日)の15時まで開催されていますので、もしよかったらチラッとのぞいてみてください。
※現在は終了しました。

ではまた。

※追記
第54回全国建具展示会にてコンセプトモデル「障具-しょうぐ-」優秀賞をいただきました。ありがとうございます。


▼展示会前のお話はこちらから


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