屏障具:建具というものを考えてみた#02
こんにちは
建具というものを考えてみた、というテーマで書いてみました。
#1では 、建具とは何?というところから建具の意味、役割をお話しさせていただきました。
建具は空間を作る道具(装置)、
動く壁と言われ、実体のない空の場に建具で覆うから可視化され部屋の範囲がわかるようになります。
今度は建具を歴史の中から見ていこうと思います。
動く壁とか空間を作る装置とか、と専門的過ぎているのも否めないので、大昔の生活の中での使われ方が原型となっていて、しかもその行為は現代の自分たちも似たような事をしているよ、というお話です。
お付き合いくださると嬉しいです😊
■遡っては平安時代
ボクの中では、ドアのような長方形のパネル板が建具とは定義をしていません。
間を仕切る、区切る、覆う、包む、遮断する、これらの類を感じられるものを建具的なモノとして捉えています。
調べていくと、そんな建具的なモノは「屏障具」(へいしょうぐ)とよばれ、古くは平安時代まで遡ります。
その時代の建築は寝殿造と言われる様式で、建物の周囲も内部も閉じるモノはほぼありません。
床、柱、天井があるだけで後は、内部はがら〜んっとした空洞でした。
ということは、暑いし、寒いし、夏には蚊に刺されるしで、自然と一体となって、なんて言ってられなかったかもしれません。
そこに屏風、障子、衝立、几帳、御簾(みす)、幕などを配置して間仕切りや目隠しに使われていました。
そうした配置して部屋を作り整える行為を「室礼」(しつらい)と言われていてます。
さながら、家の中でキャンプをしている、と言えば伝わりますかね?
アウトドアでも同じように何も無いところに自分たちで過ごす範囲、場所を設営をすると思います。
または、お祭り、もです。
街の祭事となれば、神社や街の至る所に幕やのぼり旗、提灯などが設置されて一気にお祭りの雰囲気を作り上げます。
■扱いやすいからこそ
今も昔も共通しているのは
屏障具(仕切る家具)を使い区切りを作り、雨風をしのいだり、目隠ししてプライバシーを確保して、自分たちの場所を明確にしているということ。
また行事などになれば飾る品々をそれ用に変化させて儀式的な場所に変化させます。
そして何より薄くて軽くて折り畳める、そうした扱いやすさが大きな特徴だと思います。
扱いやすいからこそ、季節や行事に応じた模様替えが可能ですし仮設的です。
ここから時代が流れていき、大陸から新たな文化と技術が輸入され進化して、建築は書院造りが主流となり今のような建具も作られ、戦国の世においては武家中心の時で生死が身近な時代、建物も強固にまた権力の象徴として豪華絢爛な襖戸が現れていきます。
この室町から江戸時代辺りはまた別の機会でお話していけたらと思います。
ひとまずは建具の原型とも言える、平安時代の調度品の一つ屏障具という間を仕切る道具が空間を作り飾り立てていた、ということをお伝えさせていただきました。
1000年以上も昔のことなのに現代でも同じようなことしているという共通点を考えると面白いものです。
イベントや舞台の設営とかを見かけたとき、これは平安時代から続いている日本人の伝統的な作業なんだなって思ってもらえたら良いなぁと。
ちょうど今ならアニメの「平家物語」や大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が平安時代(末期)の建築とそこで人々がどのように暮らしていたか、そして背景に映り込む屏障具などが描かれていると思います。
機会があればご覧になってみてください。
それではこの辺りで失礼します。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
ではまた。
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