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建具というものを考えてみた#01

こんにちは

前回は、自分の思っている基準って所変われば意外と当たり前ではない、そしてそれって身を持って体験しないと気づけなかったりするよね、そのようなお話をダラダラと綴らせていただきました。



では今回は建具のお話をしようと思います。

建具といえば、建築において枠が付いた開口部に取り付けられたドアや引き戸などを指す総称とされています。外部から部屋内の出入り口や通風、採光、またはそれらの遮断をする道具と言った感じです。
部屋と部屋を仕切るモノとしても昔から日本の暮らしの中で使われていました。

■建具って?

なぜこのようなお話を唐突にするのか、というと家業の倉島木工所は元々建具屋さんから始まり、現在でも障子や襖、その他建具製作をしています。

ボクの設計アイデアの原点は建具であり、建具から見た日本的な文化を考える、そこから発想を練っているところがあります。
ですので、日本民家を見て回った時に建具から得られた学びをどこかのタイミングでお話ししてみたいなぁというのが主な理由です。

では続けますね。

建具は先程述べたように、行き来や仕切り、といった部屋(または外)と部屋の間に存在するモノです。
特に昔の民家はそのほとんどが建具で仕切るようにしていました。
見学可能な民家建築をご覧なったことがある人でしたら想像出来るかもしれませんが、部屋が地続きで連なっている途中に襖や板戸があると思います。
あれが仕切るための建具です。

それが一定方向ではなく、二方向、あるいは三方四方と建具があります。通称「間仕切り戸」と呼んだりしますが言葉通り、間を仕切るための道具です。

例えば、普段は開け放しの状態で、食事をする時や寝る時には間仕切り戸を閉じる、そうするとそこはダイニングや寝室に空間が変化します。
さらに建具は枠に入れてあるだけなので冠婚葬祭のような大勢の人が来るような場面ではそれらを取り外して部屋をつなげて広間に変えることが出来ます。

こうして昔の人たちは季節や行事、普段において建具を使って空間を変容させながら日常を送っていたと言えると思いますし、その建具は生活者の意図に合わせて空間を作るための装置(道具)だった、ということにもなります。
そうした役割から建具は動く壁と言われたりもします。


■そっと置くだけでも

ここに格子や障子、襖、板などの種類が加わってくるともう少し用途の変化が起こりますが、まずは建具というモノの意味、空間を作る動く壁、ということをお話ししました。

今では固定された壁で個別の部屋を持つようになり、身内であってもある程度のプラバシーが保たれるようになったと思います。
ただそこまで遮断をしなくても良い場合には、そうした壁のように大掛かりでなくても、あるいは枠に入れなくとも境界は作れます。
例えばそっと衝立のようなモノを置くだけでボクたちは意識的に境界がある、ということを認識することが出来ると思います。

それは言葉にして発しなくても伝えるコミュニケーションなのではないか、入るな危険!的な注意喚起の看板ではなく「和やかに察する」ことを促すことが可能なのも建具の利点の一つではないかと思います。

現在は新型コロナウィルス影響でアクリル板が隔てパネルとして活用されています。
飛散防止しながら、透明アクリル板なのでお互いは見えているので、緩やかな繋がりは保っている、この点においてはあれもボクから見ると建具的な特徴の一つです。

このような感じで、民家の建具みた時の意味を今の身近なところに置き換えたりしながら建具の役割や効果をお伝えしていきたいと思います。

ということで、今回はこの辺りにして次回も引き続き建具にまつわるお話をしていきます。

お付き合いいただけたら嬉しいです。

それではまた


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