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自分の話ばかり

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自分の話ばかりするひとは嫌われます。
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#高校時代

イラストレーターになっていた

イラストレーターになっていた

僕はイラストレーターになっていた。

開業届を出して、確定申告もしている。それほどたくさんの仕事ができているわけではないが、日本だけではなく、海外からも問い合わせのメールがやって来るようになって、フランスではまんが家デビューもしたし、中国ではアーティスト・エージェンシーに所属することにもなった(*1)。自主企画ではあるけれど、個展も何度か開催できた。さすがにもう、誰が見ても「イラストレーター」と呼

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彼がいた

彼がいた

これまで断片的に思い起こしてきた数々のエピソードに、筋道を与える。過去を振り返りながら自分のことを言葉にしていくとき、その過程でこぼれ落ちていった細部を僕は、「忘れてもいいこと」として扱っているのではないかと、ときどき少し気がかりになる。なんでも書けばいいわけではない。文字数や伝わりやすさを優先して、書かない判断を重ねていくのは、目の前の文章にとって必要なことだ。そうして書き上げられていく文章は、

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直球ですみません

直球ですみません

読書感想文で賞をもらう、なんて、教師に気に入られるのが得意なつまらない優等生のやることで、そこで身についた文章術は、のちに論文や批評を書くのにはむしろ邪魔だ。そんなことを言うひともいるのだろう。ところで僕は、高校生のとき、読書感想文で賞をもらった。もらったのは全国の賞じゃない、校内のささやかな賞(学年でふたり選ばれる)。「出しても出さなくてもいい課題」として出されたその課題に、夏休み、僕は勝手に「

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