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『常設展示室』原田マハの絵画小説!フェルメールやピカソなど、実在の画家の作品をテーマにした6編の短編集

ぶだん、美術館って行きますか?

「ムンクの叫びが来てる!」とか、企画展だと幅広い層の人が足を運ぶイメージがあるけど、常設展示ってどうでしょう。それだけを観に行こうってこと、なかなか無いような気がする。

今回は、そんな美術館の常設展示室に展示されている絵画をテーマにした、原田マハさんの短編集『常設展示室』をご紹介します。

読んでいると「あ、なんか美術館行こうかな」っていう気分になる、吸い込まれるような魅力を持つ短編がそろってます。


ある絵画と出会い、心動かされる人物たちを描く


短編集ということで、全6話が収録されています。

主人公がそれぞれ実在の絵画に出会い、背中を押されたり、新しい出会いにつながったりといった姿が描かれていて、ジャンルとしては人間ドラマかな?ざっくりしていて申し訳ないけれども。

収録されているお話は、以下の通り。

ふだん絵画にあまり触れない人には、ピンとこない作品が多いかも。わたしもピンとこなかった。2話目の『デルフトの眺望』が、パブリックドメインにあったので載せておきます。

『デルフトの眺望』は、海外で忙しく働く主人公のなづきと弟のナナオ、そして妻に先立たれ、いまは要介護になった父を巡るお話です。

ヨハネス・フェルメール 「デルフトの眺望」 (1660-1661)


ふとした瞬間の、でも運命的な出会いを描く


著者の原田マハさんは、新潮社のインタビューにて、下記のように語っていました。ふだんは絵画との接点が薄い人でも、ふらっと立ち寄った美術館で、不思議と目を奪われる絵画に出会う瞬間を描きたかった、とのこと。

ごく一般の人でも、ひょんなことから美術館に行く機会ってありますよね。収録作の「マドンナ」とか、「デルフトの眺望」でも、ふっとそこに行ったら、その一枚の絵があったという書き方をしました。自分なりの人生を生きる人が、アーティストが残してくれた美しい泉と対峙する瞬間を描きたかったんです。

静かで、しっとりとしていて、寝る前の読書にぴったりの1冊です。


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