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『愛するということ』さらば恋愛マニュアル!愛についての教科書的ベストセラー

「愛」とは技術であり、「知力」と「努力」で手に入れるもの。

著者のエーリッヒ・フロムは、今から約65年も前にそう言いました。

ほんと?チマタには「恋愛マニュアル」があふれているのに、それを駆使したって、わたしたちは何度でも失恋するじゃないか。そう思ったあなた。そんな次元の話ではないのです。

「愛を経験できるのは運次第」と諦めるのは、まだ早い。

わたしたちを取り巻く社会には、恋愛に限らず、たくさんの愛が存在します。生きていれば、「愛するということ」は付きまとう。ならばきっと、学んでおいたほうが生きやすい。

今回は、ドイツの研究者、エーリッヒ・フロムの世界的ベストセラー『愛するということ』をご紹介します。


愛は技術であり、経験できるのは運ではない


「愛とは何か?」と聞かれて、すぐに答えが浮かぶ人は少ないのではないでしょうか。愛って何でしょう。著者は、現代人の多くが次のように思っていると述べています。

愛は快楽の一種であり、経験できるかどうかは運の問題。運が良ければ、そこに「落ちる」ことができる。

これは、愛について考えるとき、多くの人が「愛する」という能動的な要素ではなく、「愛される」という受動的な要素をハイライトしているから。

この『愛するということ』では、「愛は技術である」という前提にたって、誰もが知力と努力で手に入れられるものだと教えてくれます。

技術であれば、ほかの技術と同様に習得法がある


さて、愛が技術だというのならば話は早い。ほかの技術と同じく、習得法があるはずです。それは、次の2ステップ。

①理論に精通すること
②理論を実践すること

そして、いちばん大切な要素は、その物事が自分の究極の関心事であること。そりゃそうよね。興味関心がない分野の勉強とか、ぜんぜんはかどらないもん。習得できるわけがない。

理論に精通して、実践すること。書くと簡単だけど、やり遂げるのが難しいのは百も承知。それを踏まえたうえで、この本では「愛の理論」と「愛の修練」を教えてくれます。

「恋愛」だけではない、すべての「愛」が学べる教科書


「愛の理論」では、愛の歴史や種類を「孤立感」や「一体感」といったキーワードで深堀りしていて、教科書的面白さがあふれています。その中から、いくつかピックアップして終わろうかな。

響くものがあれば、ぜひお手に取ってみてください。

たがいに夢中になった状態、頭に血が上った状態を、愛の強さの証拠だと思い込む。だが、じつはそれは、それまでふたりがどれほど孤独であったかを示しているにすぎないかもしれない。
成熟した愛は、自分の全体性と個性を保ったままでの結合である。愛は、人間のなかにある能動的な力である。
愛とは、愛する者の生命と成長を積極的に気にかけることである。この積極的な配慮のないところに愛はない。

まだ3月ですが、個人的に今年のベスト3に入るんじゃないかというくらいの気づきをくれた一冊でした。

あー、良い本読んだ!!


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