『蜜蜂と遠雷』松岡茉優、松坂桃李で映画化された、直木賞&本屋大賞W受賞作!ピアニストを描いた恩田陸の長編小説
2016年から17年にかけて、読書愛好家たちのピアノに関する知識は爆上がりだったと思うのです。
書店員さんが選ぶ、本屋大賞。その影響で。
2016年の第13回では、ピアノの調律師が主人公の『羊と鋼の森』が、翌年の第14回では、ピアニストが主人公の『蜜蜂と遠雷』が大賞に輝きました。
2年連続、ピアノを題材にした小説がベストセラーに。どちらも好きなのですが、先日、松岡茉優さんや松坂桃李さん出演の映画版を鑑賞し、また熱が上がってきた『蜜蜂と遠雷』の方をご紹介したいなと。
はじめにお伝えしておくと、どえらく長い小説です。「読むぞー!」ってときに、気合を入れて手に取るのがおすすめ。
ピアノコンクールを舞台に、4人のピアニストの自らとの闘いを描いた作品
物語の舞台は、とあるピアノコンクール。受賞者は、音楽界で大々的に注目される、権威あるコンクールです。
主人公は、このコンクールに出場する4人のピアニスト。
・風間塵(かざま じん):16歳
・マサル・カルロス・レヴィ・アナトール:19歳
・栄伝亜夜(えいでん あや):20歳
・高島明石(たかしま あかし):28歳
それぞれが、他の出場者に影響を受けながら、自分と闘い成長していく物語は、読み応えばつぐん。
特に、年齢制限でこれが最後の出場になる28歳の高島明石は、ピアノとは無縁の方でも、共感できる部分が多いんじゃないかな。ほかの出場者と違って、妻子持ちで、ふだんはサラリーマンとして働いている人物。
天才的な演奏をする出場者に打ちのめされながらも、今の自分にしか表現できない音楽があると信じて続けてきた、繊細でしなやかな人物描写が、とてもよかった。
さいごに、映画の予告映像を載せておきます。雰囲気伝わるかしら。高島明石は、松坂桃李さんです。
単行本は、どどんと二段組!ずっしりとした余韻に浸れる1冊
冒頭でどえらい長編と書いた通り、単行本は、上下巻になっても良いボリュームの、どどんと二段組み。実際、文庫本は上下巻にわかれたもんね。手に取ったとき、ちょっとひるんだ。
二段組みってなかなかお目にかからないもの。森見登美彦さんの『四畳半神話体系』以来の衝撃。あれを読破できた方なら、なんてことはないです。
ずっしりと心地の良い余韻、ぽーっとしちゃう満足度の高い読後感。「よし!読むぞ!」って、読書バイタリティにあふれた方、ぜひぜひ。
■この本が気に入った方には、こちらもオススメ
冒頭で触れたので、こちらも紹介しておきます。こちらは主人公がピアノの調律師として成長していく物語。
静かな世界に、ピアノの音だけが響いているような、しっとりとした世界観。個人的には、雨の日に読みたい1冊です。
タイトルがおしゃれよね。羊(羊毛)と鋼って、ピアノに使われている素材なんですって。ピアノの知識は皆無だったので、読んでいて「へぇ~」がたくさんで楽しめました。
■2012年の本屋大賞受賞作はコチラ
■次はコレ!この本が好きなら、こっちも好きなはずシリーズ
・『サロメ』原田マハ――絵画小説の名手が、実在の戯曲家オスカー・ワイルドと夭折の画家オーブリー・ビアズリーの関係を描いた長編ミステリー
・『騙し絵の牙』塩田武士――『罪と罰』で話題の作家が、主人公に大泉洋をあてがきした作品!出版業界を舞台に騙し合いが始まる!
・『三度目の恋』川上弘美――伊勢物語・在原業平をベースに、現代と昔を行き来しながら恋に落ちていく女性の物語を、芥川賞作家が描く
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