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CMを見る 第965話・9.16

「ふぁあああ。さてと」大あくびをしたあとにテレビの電源をつける。そのままテレビを見た。テレビは一応地上波である。地上波の放送でお気に入りなどはなく、適当に流れているのを見ていた。
 見ていて気に入らなければチャンネルを変えるという。ただそれだけだ。今映っているのはCMのよう。実は本放送の番組より、CMの方が好きかもしれない。そういう意味では変わり者かもしれないが、CMの良さは、短いこと。長くても普通は30秒だし短いと15秒、場合によっては5秒というのもあったように記憶する。まあ5秒だとさすがに短くてつまらないから、15秒のCMが大のお気に入りだ。

 CMの目的は宣伝だから結局は売り込みなのだろうけど、いくらCMを見てもその商品が欲しいと思ったことは無い。ただ短時間でみられる映像の面白さを見ているだけだから、相手が必死で訴えている商品やサービスについて頭に入ってこないのだ。

 5本くらい立て続けに見ていたが、やがてCMが終わり番組が始まった。ドラマのようだが、ドラマ嫌いである。なぜならばドラマの多くは連続ドラマで、話が途中で終わってしまう。そのあとたいていは次の週に続きがみられる仕組みであるが、それまで待たなくてはいけないのが嫌。このときは一般的な意見かもしれないが、間にCMが入ることを不快に思う。だったらお金を払ってでも、ドラマを1話から最終話まで連続してみる方が良い。だからドラマだとわかった瞬間チャンネルを変えた。

 するとチャンネルを変えた先でCMをやっている。またじっくりと見た。最初のふたつは良かったが、3つ目はさっき見たのと同じCMが流れている。当たり前のことだが内容は同じ。こうなるとちょっと「イラっ」とくるが仕方がない。ドラマを見るよりはずっとましなのだ。
 4本目も見たことのあるやつだ。だけど我慢。そのあと番組が始まった。今度はドラマではない。バラエティのようだ。見ようかどうか迷った。バラエティはその場で終わるから見ても害はない。だけどチャンネルを変えた。理由は単純で出てきた出演者の中に嫌いな人物が出ていたから。

 次のチャンネルを見る。またCMで、先ほど流れていたのと同じだがちょうど終ろうとしていた。そのあともCMが数本続いたが、見事に今日初めて見るものばかり。なんとなく嬉しくなる。別に内容には興味ないけど。

 やがてこのチャンネルでも番組が始まったようである。今度の番組はニュースのようだ。いや、ニュースのように見えるがちょっと違う。いわゆるワイドショーのようなものだろうか。何やら複数のゲストのような人が椅子に座って「ああだ、こうだ」と、今話題の情報に持論を語っている。
 こういうのも好きではない。語りたいのならテレビではなくネットで勝手に呟けと思ってしまうのだ。

 またチャンネルを変えた。これが最後かもしれないが、またCMのようである。今度は初めて見るもののあとは、見たことのあるCMが3本続いた。そのうち2本目については、もう4回も見ているのではないだろうか?相当儲けている企業何だろうと勝手に想像する。そのあとは初めて見るCMが続いた。

 さて番組が始まる。今度はスポーツ中継のようだ。スポーツであれば試合が終わればそこで終わるし、チームプレーのようなので、チームごとにおそろいのユニフォームに身を包んでいるからあまり顔がわからず好き嫌いを感じない。そのうえ体を動かして黙ってプレーをするから、持論を語るようなこともないのだ。ここで解説者が持論を語る可能性がある。だからスポーツ中継の場合は、チャンネルではなく、音量を最小に抑え聞こえなくした。

 延々と試合が続いている。やっているスポーツそのものにあまり興味ないから、試合運びもわからなければ、戦っているチームのこともわからない。画面では青色っぽいユニフォームのチームと赤色っぽいユニフォームのチームが戦っている。ただそれだけ。
 わけもわからないまま暇つぶしとばかり呆然と試合を見ていたが、だんだん飽きてきた。さてチャンネルを変えてみようかと、またチャンネルを変えてみると思い出す。そういえばCMのある放送局は4つと思っていたが、ローカルっぽい放送局の存在があることを思い出した。

  そこをかけてみる。ここでも大好きなCMが流れていた。それに地元のローカル放送局らしく、今まで見た全国的なCMとは一線を画している。これはいいぞとばかりしばらく眺める。見事に今までのCMとは重ならずオリジナルのCMが続いた。

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「あれ、寝てた?」CMを見ていたつもりがいつの間にか眠っていたようだ。時計を見ると深夜になっていた。そしてテレビは放送を終了したようである。ということでテレビの電源を消そうとするが、消したのではなくテレビがつく。「あれ?」このときに気づいたというより思い出した。昨日の夜ご飯を食べた後に、急激にあくびが出て眠くなったことだ。
 前の日徹夜同然に起きていたからその反動だったのだが、その何気なくテレビで主にCMを見ていたのは、実は現実ではなく夢の中のできごとだった。


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